いきなり詩 東京封鎖のあと

転がるプラスティック、

横たわるバス。


静かに

静かに

日常は霞み消え

そして誰もいなくなった東京は

世界樹の迷宮となる


かつてのことに

樹々が想いを馳せるとするならば

それは微小な丸い悪魔だったという


樹々はただ人々が

人々が手を繋ぐ姿を見つめるだけだった


シブヤは調和の聖地となり

ギンザは混沌の拠点となり


東京は夜に沈んだ


ある神社の入り口で

人の営みを見ていた木が

楠が


ふと人類の側に寄り添う心を抱き

今はもうない何かのなかで


一粒だけ 東京のために 涙をこぼした

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