44日目 トーカさんイライラする


 とーかさんはイライラしていた。

 

 なぜ、じじいはいびきがうるさいのか。


 あと、なぜ、じじいは自転車のブレーキの音がうるさいのか。


 第10話前くらいに書いた、ショートして壊されたヘッドフォン事件。

 あのヘッドフォン Beats アップル製へっどふぉんをしても、いびきが聞こえて眠れないのだ。


 頭に来て、寝ているじじいの顔を右手で引っ叩いてやった。

「おいコラじじい!いい加減にしろよコノヤロー!眠れなくてしょうがねえじゃねえか!なんでとーかさんがこんな時間(午前5時40分)に日記書かなきゃいけねえんだよ、てめえのせいじゃねえか!」


 嘘だけど。でも時間は本当。眠れないのも本当。いびきに対応するためにこっちが眠剤飲んで眠らなきゃいけないなんてことがあっちゃならないよ。


 ナースに訴える。

「勘弁してくださいよ。とても寝られませんよ」

「うーん、その時はナースコールしてください。身体を横にしたりすることでいびきが治ることもありますから」

 トーマさんの左目が赤く光る。

「あのねえ、これだけのいびきが体の向き変えただけで円満に解決すると、お思いで!?」

「ありますよー、そういうものですよー」


 これでは話にならないと思った。


 それで今日記を書いているのだが、どうもこの病院はいよいよだめかもしれない。患者が荒れているのはわかるけど、どうもナースも荒れているような感じを受ける。


 食事なんてその最たるもので、以前のこの病院の面影はほとんどない。土曜日以外は。ひたすら豆、豆、豆。戦時中か。納豆やら、なんやら、サラダにはとりあえず豆が入る。豆がない日はない。日というか、豆が出ないメニューはない。


 中国からの輸入が途絶えているからという説も出てくる始末。

 

 この病院は都会のオアシスだと思ってる。病院、というくくりではあるけれど、一月くらいは、じっくりやすむことができると思っている。それがなくなるとしたらここの患者はどこへいくのだろう。



しかし、もうこの日記も、5万文字になるのだなあ。前作「精神病院の中」と合わせればぜんぜん、一冊の本になる。なんとかならないだろうか。


 最近ジョグ、ランニングに精を出すとーかさんでした。



予告


ある大計画の遂行を目論むトーカさん

しかしそのための外出に病院は条件を突きつける。

それは!?


次回「第44話 出るか、辞めるか。」



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