第2話 「眠れない」じゃない「眠りたくない」躁鬱

俺は、行政書士だ。

でも、金がない。

金がない法律家など、信用されない。


だから、金を貯める必要があった。


そこで、大手電電公社に潜り込むことにした。


そこでの仕事は多忙で過酷なものだった。1週間に一人ずつ、同期が姿を消していった。

最初30人入社したのが、今は5人になった。


忙しい、大変な仕事は、俺にとってなんでもなかった。


給金がよかったからだ。

時給は約2千円に近い。

まあ、それでも安倍内閣がほざく、「サラリーマンの平均年収は400万でアリマス」に比べたら、アレだけど、生活が前職に比べたら各段によくなった。


なにしろ給料が出て、行政書士のために最低5万金庫に放り込むとする。事務所代と家賃と光熱費を払っても10万使える。プレステ4を毎月買っても生活ができるのだ。


いや、もっと行政書士の方に金を入れろよ。


そこはそれだとして。




やがて、生活に変化が現れた。

眠れないのだ。


違う。


寝たくないのだ。


家に帰る前に、酒屋で、カクヤスで、500円のスパークリングワインを 買う。つまみのチーズも買う。9パーの缶チューハイも買う。コカコーラ社の鬼のやつだ。



帰って、めちゃくちゃな部屋の床をキックして、どけて、座って、まずワインを開ける。半分も開けるうちに、意識が飛ぶ。目覚めると、1時半だ。


さて、どうすっかなあ〜


→NETFLIXである。

NETFLIXであり、Youtubeであり、プレステ4のプレイ動画配信であり、幽遊白書の過去作品であり、ドラえもんであり、音楽ゲームバンドリであり、プレステVRであり、バイオハザード7であり。


もう、やることがあまりにもありすぎて、ひとつひとつが楽しすぎて、夢中な、午前3時。これが、平日なのである。


そして4時になり、5時になる。


あきらかにおかしい。


それでも仕事は休まなかった。

1時間だけでも、と、必死に寝た。


そうこうしているうちに、精神の異常は、身体に現れ始めた。


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