詩コン 5月号


『被』2020.5.10


布団にくるまると

怖いものから隠れることができた


麻袋をかぶると

周りが見えなくなってしまった


そんなもんですか?

そんなもんですね。


上着にくるまると

身をあたためることができた


暗幕をかぶると

いないもの扱いされていた


そんなもんですか?

そんなもんですね。


◇ ◇ ◇

書いたときから時間が経ってしまったのでよく覚えてない……。難しいお題だと感じていた気がします。被ったり、被さったり、漢字そのものからイメージを広げていった感じです。

こんなもんですか?

こんなもんですね。

◇ ◇ ◇


『無題』2020.5.16


言葉をアウトプットし始めた頃

大人びて大人げない子どもだった。

けれど、遊ぶ楽しさを知った。


恋も愛もとほざいていた頃

瑞々しい桜桃のように乙女だった。

知らなければ何か、まだわからない。


青い薬瓶に詰めていた頃

てきとーでいいんじゃないかと気付いた。

おかけで、大きな葡萄が実った。


赤い菊を集めていた頃

てきとーだったけど熱は下がらなかった。

おかげで、黒髪は額に張りついてしまった。


いま、この世に似合う色を探している。

半分くらい進んだけど、まだ、見つからない。

最後まで進んでも、たぶん、見つけられない。


だから、まだ、たぶん、つづく。


◇ ◇ ◇

基本的にタイトル後付けで、無題で書き始めることが多いのに、お題企画で無題と言われるとどうしていいかわからなくなるというね。

10代の頃に書いた詩を切ったり貼ったりしてコラージュみたいにしようかと最初は思ってたんですがやめて、結局このような詩集のタイトルで遊ぶというところに落ち着きました。

◇ ◇ ◇


『無題』2020.5.16


どっちが良いとか悪いとかないし、

好きな方を楽しめばいいと思うんだけど、

「?」より「!」ってなるものを私は書きたい。


◇ ◇ ◇

詩の話ですが、こんなこと書いたらハードル上がってしまうやんけ私ぃッ!!!

読んだ後に「ちょっと何言ってるかワカラナイネ~~」ってなるよりも「そんな風にもなるねぇふぁ~~~~」ってなるような詩を目指して……目指してる、わけではないな……。後者の方が読むの好きだから、書くのも後者の方が好きなのかな。

一行の文字を3文字ずつ増やすという謎の几帳面さを発揮しております。

◇ ◇ ◇


『無題』2020.5.16


人というのは、いつか死ぬものです。

人といえども、いつか死ぬものです。


僕は常々、死んだ方が楽ではないかしらと、思っています。

けれど、痛いのや苦しいのは嫌なので死にきれずにいます。


嘘です。

嘘ではありませんが、嘘です。


君の言葉があるので、もう少し生きてみようかと、思っています。

君が残したものを頼りに、君が見ていた世界を見てみたいのです。


本当です。

嘘ではありません。本当です。


人というのは、いつか死ぬものです。

人といえども、いつか死ぬものです。


知っていましたとも。

僕はそれを望んでいるのだから。


今から死ぬよと言われて死なれるのも困ります。

僕の知らないところで死んでいくのも困ります。


つまり、君は僕のために、生きていればよかったのだと、思います。

君もそうは思いませんか?


◇ ◇ ◇

短編『残滓』のスピンオフ詩です。「僕」から「■■」に宛てたものになります。『イロドリ』や『シキサイ』では書けないし無題だったのでやりたい放題ですね。

文字数合わせることをやってますが、推敲はあまりしていません。だって読み返すほど私が悲しくなるんだもんめそめそめそ。

抵抗ない方は『残滓』読んでいただけると嬉しいです。https://kakuyomu.jp/works/1177354054896742473

◇ ◇ ◇


『連』2020.5.22


あ のつぎ い

ほんと?

ん かもよ

ず でもいい


1 のつぎ 2

ほんと?

0 かもよ

3 でもいい


続いてるんじゃない

続けてるんだよ


ド のつぎ レ

ほんと?

シ かもよ

ド でもいい


A のつぎ B

ほんと?

Z かもよ

T でもいい


繋がってるんじゃない

繋いでるんだよ


◇ ◇ ◇

もしかしたら縦組みの方が読みやすいかもしれないです。

連なってるものって何がある? と考えて出てきたものたち。うーん、平凡な発想ですよなぁ……。非凡さとか高尚さを目指しているわけではないですけれど。今更ですが、水の玉が連なってるイメージが湧いてきました。そういう物理的な連なりの方向性でも書けば良かったかな。

◇ ◇ ◇


『存』2020.5.30


生き長らえてみたところで、

このまま保てるわけでなし。

子どもに戻れるわけでなし。

知らぬ、存ぜぬ、通用せぬ。

それでもたったひとすじを、

我につながれたひとすじを、

つなぎとめてみたいと思う。


◇ ◇ ◇

つなぎとめたいと思ってないです。心情吐露系ではなく、漢語林で漢字そのものについて調べて、出てきた読みなどの言葉パーツを拝借し、手持ちの材料とあわせてこねくり回して書きました。粘着系ならぬ、粘土系……?

◇ ◇ ◇


『存』2020.5.30


在ることを続けたいのか


亡いことを続けたいのか


決めるのは誰?


手をかけて


こしらえてごらんよ


どっちでもいいから


◇ ◇ ◇

「存」を調べていて、「在る」より「続く」ような意味合いが強いのかなと感じたので、「続けたい」というフレーズが出てきています。拵えるの方は、ダジャレというか言葉遊びというか漢字遊び。

2つも書いてますが、このお題難しかったです。5月は難しいお題が多かった、というよりも、詩を書こうとして書くことそのものが難しい。

◇ ◇ ◇



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る