第40話 幕間 陽菜目線②
……あたしって実は馬鹿なんじゃないか。
そう思ってしまったのは、ショートホームルーム前のわずかな時間で、あたしたちの教室まで来て、りっくんに抱きつくるなちゃんを見たからだった。
やっぱり、同棲を中断するなんて言うんじゃなかったかも。
なんて、自分で言い出した事なのに、既に後悔し始めている自分がほんとに嫌になる。
けど、大好きな人と結ばれたいっていうのは、誰もが持ち合わせている当然の恋愛観で、そこについてはほんとに理解が出来てしまう訳で。
けれど、嫉妬もしてしまう。
というか、抱きつかれて困ってる風に見せかけて、実は満更でも無さそうなりっくんも大馬鹿だ。
あれは絶対いい匂いとか、柔らかいとか、なんなら当たっている胸の事を意識している顔。
幼馴染なんだから、それくらい分かるもん。
「……やっぱり、同棲を中断するのはマズかったですかね」
勉強を教えてもらおうと、あたしの席に呼んでいた有彩がぽつりと呟いた。
「……かもね」
2人して顔を見合わせて、ため息を吐き合う。
かと言って今更どうしようもないんだから、仕方ないって割り切れる訳でもなく。
じゃれ合うようなりっくんとるなちゃんを見ていると、どうしようも無く胸が痛むから、必死に見ないようにして。
球技大会の練習で身体動かしてストレス発散だー、なんて思ってたら、りっくんから「頑張れ」って言葉をもらっただけで、落ち込んでた気分なんて一気に吹っ飛んじゃって。
……やっぱりあたしって、単純だよね。
よし、有彩やるなちゃんに負けないように、あたしも色々と頑張ろっと!
勉強に運動に、それからりっくんの為に美味しいお弁当を作るんだ!
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