第3話 突然の訪問

 ピンポーンというインターフォンにスマホをいじっていた手を止めた。今の時間に家に来る奴なんて多分勧誘か何かに決まってるから無視することにしてまたスマホに集中することにした。でも、またインターフォンが鳴って、何だよと思いながら仕方なくベッドから降りた。


「勧誘なら間に合ってまーす」

「あの、あの、遠藤奈々子さんの担任の大塚ですが」

「は?大塚?」


 なんで大塚?てか、いきなり教師来るの?しかもこんな昼間なのに。時間はまだ昼すぎたばかりの時間だった。


「あ、遠藤さんですか?」

「あーちょい、まち」

「あ、はい」


 とりあえず、玄関のドアを開けることにした。開けると何だか焦り気味の大塚がいた。


「あの、遠藤さん、どうして学校に来ないんですか?」

「いきなり?」


 玄関を開けたらいきなりそう問われた。まぁ学校行ってないことが原因で来たんだろうということは分かってたけれど、いきなり問われるとは思ってもいなかったから逆に拍子抜けしてしまった。それだけ担任として見過ごせなかったのかもしれないけれど、タイミングとかあると思うから、いきなり問うのはどうかと思う。でも、まぁ普段の大塚だったらありえそうだったりして。あのクラブの大塚ならもっと強気で「遠藤さっさと出てこい」とか言いそうだけど。普段のおどおどした大塚だったら、色々シュミレーションしながら来て、ここに来た途端に飛んだんだろうなとか思ったらあたしの方が、気が抜けた。


「まぁとりあえず上がったら?」

「あ、はい・・・お邪魔します」


 大塚はためらいながらもあたしの後ろをついて来た。とりあえず、ソファーに座ってもらった。


「あの、遠藤さん、学校なんで来ないんですか?」

「はい。お茶」

「あ、ありがとうございます」

「今日は頭痛かったから」


 とってつけたようにウソを言うと大塚は納得してないみたいな困惑したような顔をしていた。


「それって本当ですか?」

「せんせー疑うんだぁ」


 ひどいなぁと笑ってみせたらまた真剣な顔をした大塚。


「疑うというか・・・遠藤さん最近サボってることありますよね。どうしてですか?」


 は?何それ意味わかんないでそれ問うわけ?


「大塚それ本気で言ってるの?」

「え?」

「わからないで言ってるのか聞いてるんだけど」

「えっと」

「あーもう!クラブのこともしかして忘れたわけ?あんな態度とられて、今みたいにおどおどされても腹立つんですけど!」


 声を荒げたあたしに大塚は怖がっていた。なにそれ高校生を怖がるとか。てか担任

 だし教師なんだからそれはありえないでしょう。そう思うと尚更腹が立つ。


「あんな強気な態度とれるくせにあたしが怖いんだ」

「こ、こわくはないです」

「じゃあなんでそんなびくびくすんのさ」

「それは大きい声で言われたからで・・・」

「はぁ・・・」


 あたしが苛立っても大塚は委縮するばかりだった。


「え、遠藤さん」

「何?」

「あの時は友達に頼まれてしたことだったんです。」


 大塚が言った言葉の意味が全くわからなくて尚更イライラしてしまう。ちゃんと喋ってくれよ


「で?」

「あの、友達があの恰好で来てと言うので行ったんです。けど、高校生があのお店にいるのは良くないということで。あ、でも、私が担任だから注意しないといけないと思ったからしたことで」


 なんとなく言わんとすることは分かるけれど、おそらく、クラブのオーナーが大塚の友達で高校生がいることに気付いて注意しようとして?それを大塚が行ったという事だろう。けど、なぜにあんなに高圧的な言い方?いつもの大塚からは考えられないくらいの強気な態度だったんだけど。


「大塚って二重人格か何か?それとも学校では猫かぶってるとか?」

「え、その・・あの時は」

「聞こえなーい!」

「あの時は仕方なかったんです・・・」

「仕方なかった?」


 意味がますます分からない。仕方なかったってなんだよ。


「あの、あそこでは態度がメヒョウじゃなきゃダメなんです」

「は・・・?」

「あの、瑠美が、えっと私の友達がメヒョウみたいに強気でと言ってまして」

「うん・・・?」


 怒りも忘れて考えるけれど、大塚の言ってる意味がますますわからなくなった。てかこいつ説明するの下手すぎ


「あのさ、最初から話してくれる?」


 冷静になったあたしに大塚は少し安心したのか、事の次第を少しづつ話しだした。

 大塚の話はとりあえず分かったんだけど、え、めっちゃ面白くないこれ?


「で、杏南様はメヒョウでないといけないからあたしをあの場面で学校みたいにおどおどして注意することができなかったと」

「や、辞めてください遠藤さんまで杏南様とか。」

「そこ!?」


 そこは怒るとこじゃないでしょ普通。


「ねぇねぇ大塚」

「あ、あの、一応先生って言ってくれません?」

「今更!?」

「ずっと思ってたんですけど・・・」

「じゃあ、大塚がまたメヒョウしてくれた考える」

「・・・嫌ですよ」

「じゃあ、学校行かなぁーい」

「ちょっと、遠藤さん」

「どうする?」


 大塚は困った顔をしている。でも、こんな面白そうな事なくない?めっちゃ楽しいじゃん?この大塚があの大塚になる瞬間見るのとかまじで興味あるし。


「でも、クラブはダメですよ?」


 大塚が考えた末に出した結論は、私にまたメヒョウの大塚を見せるという事だった。


「じゃあ、今度大塚ん家に行くから」

「え?」

「だってクラブダメなんでしょ?じゃあ大塚ん家しかなくない?それとも外で?」

「いや、外はちょっと・・・恥ずかしいです」

「じゃあ決まりね。今週末行くから住所教えて。」


 そう言ってあたしは大塚の連絡先と住所を聞きだした。さて、今週末はまたあの強気な大塚が見れると言うわけなんだけど、強気と言うより、あたしは大塚のあの外見が見たかったりする。とりあえず悔しいけど美人だし。あの時は動揺してちゃんと見れなかったから今度はじっくり見てやろうと思う。


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