お題:ご飯

 いい匂いがする……。

 ここ、何処だろ……?

 私は確か……死んだ……?

 じゃあ、ここは天国……?

 段々と意識がハッキリしてきた……知らない豪華な天井だ。

 何処の言葉か分からないけど、何か聞える……。


「■■■■■■」


 私の顔を覗きながらオシャレなドレスを着た女の子が話し掛けてくれてる。

 ……ごめん、私、その言葉分からないの……。


 あっ、お粥かな? よく分からないけど、くれるのかな? うぅ……お腹が空いてきた。ちょっと怖いけど、ありがたくいただきますっ!


 ☆★☆★☆


 ぷはぁ~、美味しかった。

 ごちそうさまでした。


「■■■■■■」


 女の子が私に手招きしてる。

 着いて来いってことなのかな?

 ご飯くれたし、着いてってみるか!


 すんませんでした。いや、ほんと、すんませんでした。

 どうやらここ、何処かの国のお城みたい。身振り手振りによる会話(??)によると、私はこの城の門の前に倒れてたらしい。

 ほんと、ありがとうございます!


 一応のお礼(??)をジェスチャーで伝えると女の子が満面の笑みになった。可愛ええのう!


 んー、やばい。文字も読めない。女の子が自分の名前らしき文字っぽいものを指差してくれてるんだけど……読めない。これっぽっちも読めない。いっそ清々しい程に読めない。

 まぁ、ジェスチャーで通じるからいいかな。でも、やっぱり言葉が通じないってのは不便だなぁ。


 ☆★☆★☆


 女の子と暫くどうにかコミュニケーションを取れないかと検証してたら、いつの間にか夜になっていたらしい。


 連れてこられた場所は物凄く豪華なダイニング。そして、そこにいるのはさっきの女の子と両親らしき二人の男女。そして、目の前にはバターの乗ったステーキが。


 ジェスチャー的にもう食べてもいいのかな? かな?

 それじゃあ、いっただっきまーすっ!

 もぐもぐもぐはぐはぐはぐ、ごっくん。

 な、何だこのお肉は……! 絶妙なやわらかさに脂。それに加えてバターの風味を掻き消さない程度のちょうどいい塩胡椒……! まさに、高級食材の玉手b──

 いってぇっ!? 誰だ! 私の頭を殴ったやつは!

 え? 誰もいない? そんなわけあるか。でも、本当に誰もいないしなぁ。気の所為かな……? まぁ、いいや。今は目の前のご飯に集中しよう。


 ……こうして、〝私〟こと〝飯田葵〟の転生後一日目が終了したのであった。

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