キリグの咲いた庭先で

小河

キリグの咲いた庭先で


私の庭に新しい子が咲いた。


地球に流れ燃える血潮にひびがはいる

全ての母の子宮のなか

暗闇しかない場所に

それはそれは無垢な透明が産まれた。


それはそこから沸き立ち、上に向かっていく

何も知らないから求めて向かっていくのか

はたまた何も知らないから

わからず向かっていくのか

それは音をあげて青に向かっていく。


その先にはいろが待っていた

彼に色がついたのだ

純白の自由を手に入れる。


はじめてのものしかないからか

流れ早くすらりするりと流れてく

当てもなくするりすらりと流れてく

集って散って流れてく。


時の流れと共に彼は薄墨色になっていた。

知識と感情を知った色

そんな自分に飽きたのか

そろそろ下におりたいと零す


その声は全ての父に届いていた

願いは彼を薄浅葱に染めていく


それは誰かを救い、守るものとなる

ぴちりぱちりちりちりちりん


そしてぼくは辿り着く

まだ何も知らない無垢の上

溶けて与えて育てていく

ぼくのみたもの感じたもの億千の記憶たち。



私の庭にキリグの花が咲いたのだ。

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