解説:梅花に託つ

劉宋りゅうそう初期に、文帝劉義隆りゅうぎりゅう(及び長沙ちょうさ劉義慶りゅうぎけい)を中心とした文学サロンが生み出されました。このサロン内で特に名を博したとされるのが、謝霊運しゃれいうん顔延之がんえんし、そしてこの鮑照ほうしょうでした。ただし前者二名は宋書内に一巻を割くほどの列伝が立てられているにもかかわらず、鮑照は立伝すらされていません。周辺状況から、のちの政変に巻き込まれ非業の死を遂げた、その程度がわかるくらいのものです。


しかしその詩は、現在になおも二百余編が残っている、と言うことです。自分はまだそのほとんどに手を付けられてはいないのですけれど、ふと出会ったこの詩が、やけに鮮烈なイメージをもたらしてくれたので、その情景を残したい、と書いてみました。


内容としては、まぁ要するに自分自身の想いも透かしてます。何せ自他ともに認める引きこもりですからね、なかなか色んな方と接する、と言うのができない。一時期頑張ってみたときもあるんですが、あっという間に疲れたのでダメでした。そしてそういう人間の描く作品は、よっぽどでなければひと目には触れられないです。


それに対して、どう思うか。いろんな考え方は出来ますけど、そう言った気持ちの中で、この詩に描かれていた「寒い中に気高く咲く梅の花」と言うイメージが、すっと脳の靄を払ってくれる感じがして。


自分の中で、少しずつではあるけど、漢詩を受容できる素地が整ってきたのかな。そんな気がしてきました。



余談。漢詩の中でも特に著名な陶淵明、彼らよりやや前の人です。この三人のうち、特に顔延之とは親交がありました。かれ自身は宮仕えを嫌い、田舎で隠遁生活を営んでたんですけどね。



○頂戴したコメント


宮澄青依様 2020年2月7日 22:15

「わたし」は鮑様の何なんですかね(によによ)

妄想が湧きます。


梅はいいですよねぇ……。桜は二週間たらずでばぁ〜って散りますけど、梅は一ヶ月以上持ちますしね!匂いが良いし、梅干しができますね!



宮澄青依様 2020年2月8日

つまり、香り豊かで、誇り高い梅の花なのです


グサグサ刺さる、というのはこういう気持ちのことを言うのかもしれません。

詳しく述べるとネタバレになってしまいそうなので控えますが、この「気持ち」はこのカクヨムに登録している人の大半は持ったことがある気持ちなのではないでしょうか。


ただ詩のみを残した謎多き詩人鮑照を題材にした、孤高で誇り高い一作です。


この作品での鮑照の書き方が大変良く、素敵だとじったんばったん悶えております。まるでその姿は漢詩に描いた、梅の花のようで。峻厳な寒さを乗り越えた後、香り豊かに、誇り高く、美しく咲き誇る……。

どうやら、解説によれば、悲しくも非業の死を遂げてしまったようですが。



個人的に「わたし」が鮑照様のなんなのかとっても気になります。いろいろ妄想を膨らませてしまいます。



美しい漢詩と、描かれた鮑照のあり方に心を励まされます。

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