エピローグ

「おお、ここはどこだ?」


 かつて、勇者ヒーローに憧れた少女がいた。

 少女は強くなって、誰よりも強くなって、その結果、誰よりも迷惑な存在になった。自分勝手な正義を暴力で振りかざし、悪の根源を周り共々ぶっ壊していく。

 少女はそれでも自分がねじ伏せるべき悪を求めている。


『ちょっと待って。今情報を収集する』


 それに付き従う拳大のモニターが六つ。かつて女神をサポートした人工知能が、異形のボアの泥で感情を発現させた個体。そのうち、少女の直情に魅入られたものらが彼女の道を照らす。

 優秀過ぎるカーナビは、災厄少女をよりスムースに玩具に近付けていく。


「へへ、どっかに悪い奴いねーかな?」


 次元渡りの大魔王。いつしか少女はそう呼ばれるようになった。

 無軌道に次元を渡っては、暴れるだけ暴れてまた次元移動していく。少女が飽きるまで、つまりは永遠に。

 全盛期の力を取り戻し、封印も解かれ、今も成長を続ける化け物。


『あやか、こんなのがいるらしいよ』

「お、いいね。腕が鳴る」


 明日には、貴方の次元で大暴れするかもしれない。


「じゃ――――行くか!」


 エンターテイメントとして楽しむか、暴虐に苦しむか。

 それは貴方の心の持ちよう次第である。






了。

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【並行世界の侵略者】ネガ・ボア ビト @bito

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