第4幕 京都都座と「ライト男」

      (1)


 京都の夏は暑い。

 白川は、生まれてからずっと今日まで京都で過ごしている。

 月に何度か、東京に行くが、東京が涼しく感じられる。

 やはり、京都は四方が山に囲まれた狭い盆地のせいだ。

 炎天下、十分も歩けば、汗で出来た下着をずっと着ている感覚である。

 ぬめっとしたまとわりつく、汗が全身を覆う不快感。それが京都の暑さだった。

 日本より暑いインド人が、

「京都の夏は暑すぎる」

 と云ってインドへ帰ったと云う逸話がある。

 文豪、谷崎潤一郎も京都に住んでいたが、夏の暑さに負けて、退散している。

 それでも白川は、これからも京都に住み続けたいと思っている。

「暑いねえ」

 龍二は、白川の別邸の庭に水をやりながら、云った。

「これから、どんどん暑くなりますよ」

 背後にいた白川は、笑いながら答えた。

「夏だけ、北海道に住みたい」

「それは贅沢です」

「確かにな」

 龍二は答えた。

「皆さん昼ご飯出来ました」

 桜子が走って来て云った。

 二人は、食堂リビングに移動した。

 素麺と夏野菜サラダだった。

「いつもすまないねえ」

「いいえ、桜子さんの作る料理は、梅子さんと同じ味がしてなつかしいよ」

「夏バテしないで下さいね」

「云い味です」

 と白川も同調した。

「あの時、力づくでも止めていたらよかったんだ」

「またその話ですか」

 龍二が酔った勢いで自宅に放火した。

 当時清水家のお手伝いをしていた桜子の母親、梅子は、すぐに家の外に龍二と逃げた。

 しかし、梅子は、

「あれを持って来ないと」

 と言い残して再び家の中へ。

 煙に巻かれて亡くなった。

「夜中に目が覚めて自問自答するんだ」

「何をですか」

 箸を休めて、白川が聞いた。

「梅子さんは、一体何を取りに戻ったのかと」

「前も云いましたけど、通帳とか、そんな類いのものでしょう」

 あっさりと桜子は云った。

「通帳類は、耐火性のある金庫の中にしまってあるんだ。無事だった」

「外に出したと勘違いしたんじゃないですか」

「梅子さんは、あれと云ったんですね」

「確かに、あれをと」

「名称を云わなかったのは、どうしてですかね」

 誰もが抱く素朴な疑問を白川は、龍二に投げかけた。

「わからん。それがわからんのだよ。警察の取り調べでもしつこく聞かれたが、わからなかった」

「母は、何か大事な物をひとまとめしてる袋のようなものを、持ってましたか」

 今度は桜子が聞いた。

「いや、なかったなあ」

「じゃあ、何どすやろう」

「聞いた場所には、大勢の人がいたとお聞きしましたが」

「ああ、近所の人が大勢いたよ。皆、梅子が戻るのを止めたんだ」

「名称を云わなかったのは、他の人に聞かれたくなかったからではないでしょうか」

「白川くん、いい、推理するなあ」

「事件当時、利之さんは、どこへ行かれたのですか」

「結婚を考えてた今出川恵美のマンションへ行ってました」

「恵美さんと利之さんとの結婚を反対された」

「ええ。今出川は竹松の専属女優です。これは絶対に駄目です」

「恋愛に垣根はないでしょう」

「白川さん、それは理想論です。竹松の創業者の血を引くものが、自分とこの商品に手を出しては駄目です」

「今でも駄目ですか」

「駄目です。こればかりは、私の目の黒いうちは駄目です」

「でも、今の世の中当人同士が結婚しようと思えば、親が幾ら反対しても出来ます」

 しれっと桜子が云いのけた。

「確かにな。でも利之は云ってくれたんだ。親父が反対する内は結婚はしないとな」

「利之さんは、古風な方ですね」

「それだけが私の救いだ」

「あなたはこれからどうするんですか」

「ああ、白川さん、云うの忘れてた。取締役就任おめでとう」

「私も云いそびれました。おめでとうございます」

 二人揃って頭を下げられると、白川は少し恥ずかしさが、頭をもたげた。


 朱雀主演・初監督映画「カブク」のプレミアム上映会が、竹松直営の銀座にある「江戸歌舞伎座」が行われた。

 上映当日、劇場前の道路は、一時封鎖されて、道路、歩道にレッドカーペットが敷き詰められた。

 朱雀先頭に、歌舞伎役者二百人がそぞろ歩きして、朱雀の横には満面の笑みを浮かべた嵐山がいた。

 歌舞伎役者の殆どが、このセレモニーに参集していた。

 まさに、嵐山の演劇における力を見せつけた。

 顔を左右に振りながら、笑顔を絶やさない嵐山の顔には、

(どうだ、すごいだろう)のドヤ顔があった。

 一方反対方向からは、竹松専属女優の宝が池道子、修学院有子、今出川恵美の竹松三羽女優を始めとする、竹松映画に出演した女優、タレント総勢百名がそぞろ歩きを開始していた。

 先頭には、東山守・和夫親子がいた。

 二つの演劇、映画グループは、ぴったし江戸歌舞伎座正面で対峙した。

 その時劇場正面から、清水利之新社長と、蹴上監督がゆっくりと出て来た。

 二人は、それぞれ嵐山、東山親子と握手。

 その後、総勢が劇場前に集結した。

 日本を代表する歌舞伎役者、女優、タレントが江戸歌舞伎座に集まった。

 取材は、国内だけで約百社、海外マスコミが二百社あまりが殺到した。

 海外のマスコミが国内より多いのは、昨今の日本の和文化が世界で大人気になっているせいであった。

 上空では、各社のドローンカメラが五三台旋回撮影していた。

 総勢を代表して朱雀が挨拶した。

「皆さん今日は。歌舞伎役者の花園朱雀です」

 劇場前には、一万人を越える一般ファンが詰めかけた。

 嵐の拍手が起こる。

 この模様は、全世界に生中継された。

 また日本を代表する「西宝」「西映」の社長も招待されていた。

「私、今回映画で初主演、初監督を務めました。この貴重な機会をそして出会いを作ってくれた東山プロデューサーに感謝します」

 そこで朱雀は、横にいる和夫に顔を向けて挨拶した。

 和夫は照れ笑いを浮かべた。

 それを父親の守は目を細めて柔和な眼差しを送った。

「自分で云うのもなんですが、歌舞伎の原点とも云うべき、華やかな江戸歌舞伎を映像で再現してます。どうか皆さん、映画館へ足を運んで下さい」

 この時、白川は、利之の後見を務めるために、江戸歌舞伎座のロビーにいた。

 外の様子は、場内にある百インチモニターテレビで見ていた。

 白川は、スマホで検索した。

 一分前のセレモニーがすでに、ネットで千件近くアップされていた。

 速報性では、すでにネットがテレビを凌駕していた。

 ツイッターなどの書き込みは、天文学的数字で、全世界から発信された。


「竹松の演劇対映画戦争」

「仁義なき演劇・映画バトル」

「ドヤ顔三人→嵐山、東山守・和夫」

「朱雀、監督は全部東山和夫に丸投げ」

「和夫がプロデューサーの時点で、この映画終わったな」

「ていうか、和夫が関わった映画で、ヒット作品ってあるの?」

「(子犬三兄弟)が唯一のヒットです」

「よく、蹴上監督が出て来たな」

「そりゃあ竹松から年間一億貰っているんだから出て当然でしょう」

「一億ではなくて三億です」


 次から次へとアップされる。

(よくもまあ、これだけアップされるもんだ)

 と白川は思った。

 セレモニーと記念撮影が終わると一同がどっと江戸歌舞伎座のロビーに雪崩れ込んだ。

 入り口で、白川は、嵐山の横に並んで招待客に挨拶していた。

 混雑を緩和するために、入口は二カ所にしていた。

 嵐山、東山親子は、それぞれ別れていた。

 自ずから、招待客も二つに自然に別れた。

 演劇関係者は嵐山へ、映画関係者は東山親子へだ。

(呉越同舟)

 即座に白川の脳裡にその四文字が宿った。

 それは、おかしくもあり、悲しくもあった。

(何故両者ともそこまで、張り合うんだ)

 白川はまるで部外者の様な醒めた目で、ぼんやりと見ていた。

 映画が始まる。

 江戸時代の歌舞伎の創始者でもある、出雲の阿国の時代の話だ。

 映画の中で、幾度となく朱雀の舞いが写し出された。

 舞いの様々な角度、本人から見た客席の人達の表情、大天井からのカメラワーク、扇子持つ手のアップ、朱雀の汗にまみれた表情、舞いの後ろ姿、果ては、ミニ空中撮影など、映像でないと見れない

 アングルのオンパレードは、圧巻だった。

 白川も嵐山も今回は寝ていなかった。

 最後まで観賞した。

 映画観賞会の後、銀座西急ホテルで、完成記念パーティーがもようされた。

 立食だった。

 混雑していた。

 主演の朱雀が動く度に、後ろにぴったりとついた竹松の社員は、花園朱雀」と書かれたプラカードを掲げていた。

 これにより、混雑した場内でも朱雀がどこにいるかが、一目了然であった。

 これを見て白川は、何だか朱雀が可哀そうに思えた。

 白川の前にも朱雀が来た。

 白川も朱雀も色々と話したかったが、こう大混雑では、とても話せる状態ではなかった。

 朱雀は離れた。

 太秦常務が来た。

「白川取締役やっと見つけました」

 太秦は、片手にビールグラスを持っていた。

「すごい混雑ですね」

「やはり映画と演劇が結託するとすごいですね」

 と云って、太秦はグラスのビールを飲み干した。

 丁度その時、下鴨弥生がお盆にビールを持ってやって来た。

「はい、太秦常務、お代わりどうぞ」

 とビールが注がれたグラスを差し出した。

「君は、何やっているんだ」

「ご覧の通り、給仕してます」

「そんな事、ホテル専属の給仕に任しておけばいいだろう」

「東山和夫専務の命令ですから」

「そうだったか」

「白川取締役にもどうぞ」

 とビールグラスを差し出した。

「有難う」

 弥生は、人混みの中に消えた。

 それをじっと見守ってから、

「白川さん、明日昼間時間ありますか」

「ええ、明日は、京都に帰るだけですから」

「折り入って頼み事があります」

「何でしょうか」

「メールで日時知らせます。では」

 それだけ云うと太秦は、消えた。

 入れ違いに嵐山が、ひょこっと顔を出した。

「おい、今、太秦と何を話していたんだ」

「別に。カブクの映画の話です」

「あれいいなあ。大ヒット間違いなしだ」

「それ、本心ですか」

「ああ少なくともNINPОよりは入るぞ」

 嵐山は大笑いしながら消えた。


    (2)


 翌日、白川は、太秦と落ち合った。

「これからある人に合わせたいんです」

「誰ですか」

「衣笠元映画プロデューサーです。ご存じですか」

「ええ知ってます。竹松きっての映画プロデューサーでしょう」

「そうです。しかし和夫の怒りを買って、今は竹松銀座駐車係です」

 蹴上監督「ライト男」シリーズ、「幸せの黄色いリボン」松木清太郎原作「楼閣」など、最近の竹松のヒット作品のほとんどを、プロデュースしていた社内きっての名プロデューサーだった。

「会いましょう」

 白川は力強く答えた。

 竹松銀座駐車場は、元は、竹松の映画館であったが、シネコン再編成で閉館した。

 その後、幾度と再開発の話が出たが、いづれもとん挫していた。

 ライバル西宝は、東京、大阪で自社の不動産を有効活用を始めていたが、この部門では竹松は完全に出遅れていた。

 白川と太秦が行くと、すでに衣笠が正面で待ち構えていた。

「白川の坊ちゃま、御無沙汰してます」

「お元気そうで」

「から元気ですよ」

 太秦は、近くのホテルのラウンジを案内した。

 ウエイトレスがコーヒーを持って来て出て行くと早速本題に入った。

「衣笠さんは、確かライト男のプロデューサーもしてましたよね」

「ええ、左遷されるまでずっと」

「和夫さんと何かあったんですか」

「あいつ、ライト男の時代劇版の映画を作ると云い出したんです」

「それは初耳です」

「映画部では有名な話です」

 太秦が解説した。

「それで、僕にプロデューサーしろと云い出しまして」

「何で?目立ちたがり屋の和夫なら、率先してやるでしょうに」

「やはり蹴上監督の目が怖かったんでしょう」

「で、その件が蹴上監督の耳に入ったんですね」

「そうです。蹴上監督が激怒しましてね。すると手のひら返しで、和夫は、ライト男の時代劇版は、僕が企画立案したとが云い出したんです」

「つまり、あなた一人に罪を被せた」

「そうです。完全な冤罪です」

「ひどいなあ」

 白川は、小さくため息をついた。

「何しろ竹松の映画部は、東山親子が完全に牛耳ってますから、僕が何と言おうと、無理でした」

「和夫は、衣笠さんのプロデューサーぶりに嫉妬してたんですよ」

 太秦が喋り出す。

「嫉妬ですか?」

「ええ。ライト男を始め、この十年間の竹松のヒット作の殆どは、衣笠さんのプロデュース作品ですから」

「和夫の悪い所は、他人の才能を認めていない所です。父親の守さんは、尊重するタイプですがね」

「もう僕は、最悪の人に睨まれたんです。もう駐車場係やめようかと思うんです」

「衣笠さん、ここでやめたら負けです。もう少し辛抱して下さい」

「いやあもう限界です」

 衣笠はうつむいた。

「白川さん、あなたにこの窮地を救って欲しいんです」

「私にですか」

「あなたが取締役になると聞いて、私は少し光りが見えたと思ってます」

「太秦さん、あなたは映画の人で常務取締役でしょう」

「白川さん、竹松の映画は、もはや沈没寸前、いや、もう船は傾いて沈み始めてます。このまま東山親子を野放しにしておくと、演劇をも道連れにしますよ」

「沈没かあ」

「切羽詰まっています。どうか東山守、和夫親子を竹松から追放して下さい。お願いします」

「私の様なひらとりでは、力がないですよ」

「皆で力を合わせるのです」

「お願いします。本当は、この話は、演劇の嵐山副社長に話を持って行くべきですが、私からしたら、嵐山さんは雲の上の様な存在です」

「わかりました」

 と白川は、云ったものの、こればかりは、すぐに動かすわけにはいかない。

「この事は、内密に願いますよ」

「もちろんです」

 白川は、二人と別れると東京駅に向かった。

 新幹線に乗り、列車が動き出すとほっとする。

 こうして座っていて、一分ごとには、京都に近づいているのだ。

 白川にとって、東京はビジネスの場所で、休息の場所ではなかった。

(さてどうしたものか)

 いづれ、今回の件は、嵐山に話さないといけない。

 嵐山の協力なしでは、やれない事である。

 八月は、蹴上監督のライト男の都座での撮影がある。

(話はそれ以降か)

 車中で何度も浅い眠りをしては、起きた。


「よーい、スタート」

 蹴上監督の声の後、カチンコが鳴り撮影がスタートした。

 ここは、京都都座の正面玄関。

 主人公の照明技師、ウシオが入って来る。

 受付嬢の女性とのやり取りが始まる。

「いらっしゃいませ」

「よお、姉ちゃん元気かい」

「切符をどうぞ」

「切符はねえよ」

「切符売り場は、出られて右手にございます」

「右手?」

 ウシオは、自分の右手を目の前に持って来て、ふらふらしだす。

「その右手じゃあないですよ」

 受付嬢くすくす笑い出す。

 正面玄関の中のロビーを仕切るドアが開く。

「ウシオさんじゃないか」

「よお、老いぼれ支配人元気かい」

「カット!」

 先ほどの撮影された部分を見て、蹴上監督は、

「オッケー」と叫ぶ。

 と同時に照明、音声、道具らが一斉に作業にかかる。

 蹴上監督と白川、ウシオ役の俳優の宇多野忠らが右手の一階ロビーに移動した。

 ここは、鴨川べりのロビーで、カーテンを引くと鴨川と四条大橋が一望出来た。

「やはり都座は、いいねえ。風情があって。手を加えなくても、絵になる」

 蹴上は、そう呟いた。

「確かにねえ、再度監督から京都と都座を舞台にして撮ると聞いて、嬉しかったんです」

 静かに宇多野が答えた。

 スクリーンで見る、あのはじけた感じのウシオ役とは、全く違う雰囲気だった。

「映画って、撮影が細かいんですねえ」

 改めて白川は、映画撮影の大変さを云った。

「芝居は、ずっと続くけど、撮影は細かいです。おまけに順番に撮らない」

「いきなり、ラストシーンから撮る事だってありますから」

 丁寧に宇多野は説明してくれた。

 竹松映画の人気シリーズ映画「ライト男」は、五十九作めである。

 主人公のウシオは、全国の会館やホールを渡り歩く、照明のセンタースポット係の職を持つ。

 時には、ストリップ劇場の照明もやる。

 そこで、マドンナ役の女性と恋に落ちるが、必ず失恋してしまうのである。

 シリーズ最長映画としてギネスにも登録されている。

 シリーズ始まってすでに五十年以上が経つ。

「段々と世の中がシステム化されてしまって、ライト男も続けにくいご時世だな」

 蹴上はひとりごちた。

「コンピュータ化されて来たからなあ照明も」

 宇多野は同調した。

「ウシオの仕事のセンタースポットも昔は、炭素棒を上下につけてそれをスパークさせて光りを出すんだ」

「へえーそれは知りませんでした」

 と白川は云った。

「その調整が、職人技だったんだな。それが今では、クセノンランプと云うものに変わってしまうんだな」

 八月は、前半は、都座は休館である。

 撮影場所は、多岐にわたる。

 屋上、楽屋、舞台、舞台袖、調光室、機関室、センタースポットルーム等である。

 映画の中でウシオが持つ赤茶色のトランクを持たせて貰った。

 意外にも軽いので白川は驚いた。

「なあ軽いだろう」

「軽いですねえ。びっくりしました」

「年々体力がなくなって来るんで、そのトランクの重さも年々軽くなるんだよ」

「映画では、重いか軽いか解りませんもんね」

「撮影では、都合六つばかしのトランクが用意されるんだよ」

「自分で持つ時の撮影は、一番軽いものを持つんです」

「そうなんですか。それは知りませんでした」


   (3)


 都座で蹴上監督の映画撮影と並行して朱雀主演の「カブク」が全国公開された。

 白川のパソコンには、毎日売り上げがメールで報告された。

 和夫の予算は、その後修正されて興収25億となった。

 しかし、とてもそれは無理な話だった。

 それでも、竹松にとっては、久々の興収10億越えが見えて来た。

 最終的には、十二億から十三億の線だと白川は睨んだ。

 太秦から依頼された事が頭の片隅にこびりついていた。

 多かれ早かれ、嵐山に報告しなければいけない。

 意を決して嵐山に電話した。

「おお、今電話しようとした所なんだ」

「実はおりいって会ってお話したいと思うんです」

「俺もお前に話があるんだ。明日出て来いよ」

「わかりました」

 その夜、蹴上監督主催の晩さん会が祇園の小料理屋で開かれた。

 白川は、蹴上、宇多野の間に入った。

 冒頭、蹴上は、

「また都座で撮影が出来る喜びを今かみしめております。何と云っても京都、都座は、どこを切り取っても絵になる。だからシリーズ最多の三回目の京都、都座になりました。ここにおられます白川支配人の協力で出来た事です。支配人有難うございました」

 蹴上が、白川を振り返り頭を下げた。

 続いて宇多野が挨拶した。

「実は僕も都座のファンです。シリーズ最多の三回目ですけど、四回、五回と続けたいと思います」

「それまで生きているかなあ」

 蹴上がぽつりと呟いた。

 場内から、失笑が起きた。

「生きてます。百まで生きて下さいよ」

「無理だよ」

「いいえ、お願いします」

 続いて白川が挨拶した。

「私は、小さい頃からライト男のファンでした。まさか自分が都座の支配人をやるとは思わなかったです。そして、こうして撮影に立ちあう事も夢に思わなかったです。演劇、映画が一体となってやると相乗効果で、竹松の映画はさらなる飛躍と大ヒット間違いなしです。どうも有難うございました」

 宴は、和やかな雰囲気の中で始まった。

「前のシリーズでも撮ったけど、屋上から撮る絵もさまになるねえ。京都は、東京と違って高層ビルがないからいいよねえ。まだ都市が、呼吸出来ている」

「呼吸ですか」

「そう。東京は、高層ビルが林立しすぎて、もう息絶え絶えなんだな。瀕死の状態だな」

「それは、思いますね。月に一度東京へ行きますが、早く京都に帰りたいと思います」

「白川さんは、ゆくゆくは江戸歌舞伎座の支配人になるんでしょう」

「いえいえ、まだまだです」

「遅くなったけど取締役就任おめでとう」

「有難うございます」

「監督、ライト男最後は、大願成就、結婚するんでしょう」

「いやあ、そこまでまだ考えてないなあ」

「白川さんはどう思う?」

「ラストは、見た人がそれぞれ考えるオチでいいんじゃないですか」

「うん、それいいねえ」

 どこまで蹴上が同調したかがわからない。

 翌日、白川は上京した。

 竹松東京本社で嵐山と会った。

「お早うございます」

「おお、座れ。どうだ、ライト男は順調に撮影が始まったか」

「おかげさまで。蹴上監督も宇多野さんも上機嫌でした」

「それはよかったな。まず俺からの話だけどな、今都座の十二月の披露顔見世の番組を作っているんだけど、朱雀が駄々をこねて困っているんだ。朱雀が云うには、白川支配人が頭を下げたら出ると云ってるんだ。人身御供になってくれるか」

「ええ、いいですよ」

 あっさり白川が認めたので、嵐山は拍子抜けしたようで、

「えらくあっさりと。本当にイエスで大丈夫か」

「大丈夫ですよ」

「よかった。これで俺の顔も立つ。よし、でお前の話は何だ」

 白川は、太秦の件をかいつまんで話した。

 話を聞いていた嵐山の表情は厳しく固まった。

 そして聞き終わると、

「で、お前はどうしたいんだ」

「このまま映画の暴走を放っておくのもいかがなものかと」

「映画が当たる、当たらないは、時の運でもあるんだ。幾ら外野が騒いでも、じゃあ代わりに作れるかとなるとそうは、いかない」

「和夫は、映画を作れる人材を遠ざけてしまいました」

「衣笠の事を云っているのか」

「そうです」

「これで、もし次の映画が当たったら、どうなる」

「カブクですか」

「そうだ。十三から十五億ぐらい行く勢いじゃないか」

「それは、嵐山副社長ら、演劇部の全面協力があったから達成出来た数字でしょう」

「俺を持ち上げてどうするんだ」

 満更でもなさそうな顔である。

「嵐山副社長もご存じですよね。和夫のデスク」

「よろこび組の綺麗どころの事か」

「あれは完全な経費の無駄使いですよ」

「お前も変ったな」

 嵐山は、しみじみと白川を見つめた。

「別に変ってません。早くしないと竹松は、映画が演劇の足を引っ張って沈没しますよ」

「まあ待て。そう急ぐな」

「でも、早くしないと」

「七段目見た事あるか」

「忠臣蔵の七段目ですか」

「一力茶屋ですね」

「討ち入りを決めたはずなのに、大星は、お茶屋遊びを続けて敵の目をそむく」

「なるほど」

「それぐらい慎重にな。この件に関して今後メールのやり取りはやめよう。電話のみだ。わかったな」

「それから符丁を作ろう」

「符丁?何ですかそれは」

「東山親子の事だから、・・・」

「親子どんぶりですか」

「それは下品だな。えええっと・・(連獅子)にしよう。この件は、これからは、(連獅子)と呼ぶ太秦にも伝えておけ」

「わかりました」

「なあ白川くん」

 ここで嵐山は、言葉を区切った。

「これは、極秘中の極秘だ。決して家族にも云うな。清水龍二にもな」

「わかってますよ」

「これは、下手すると俺もお前のくびも飛ぶぞ。それだけ危険な賭けだ」

「はい」

「火中の栗を拾う覚悟あるのか。引き返すなら今の内だぞ」

「いいえ、やります」

「熱いぞ、むちゃくちゃ熱いぞ。火傷するかもしれんぞ。それでもやる自信はあるのか」

「あります」

「よしやろう」

 嵐山は、ぽんと白川の肩を力強く叩いた。

「嵐山さん、これから拾う火中の栗は、腐っていますかね」

「さあな。拾ってからでないとわからん」

 と云って、嵐山は豪快に笑った。

 その後、嵐山は嵐山で独自に情報を集めると云った。


   (4)


 ライト男の都座での撮影は、順調に進んだ。

 今日は、都座屋上にあるお社での撮影だった。

 ウシオとマドンナ、北大路みゆきとのからみである。

 熱心にお社に向かって拝むウシオ。

 そこへ楽屋からみゆきが出て来る。

「ウシオちゃんも、最後は神頼みかい」

「よう、そうだよ。人間は弱いからねえ。最後は精神の拠り所を求めるものなんだよ」

「私は神様なんか信じない」

「じゃあ何を信じて生きて行くんだ」

「私は自分だけ信じる」

「強いねえ。けど云い事教えてやるよ」

「何ですか」

「この都座には、劇場の神様がいるんだよ」

「本当?」

「本当だとも」

「嘘!」

「嘘じゃない。俺の目を見ろよ」

 じっと見つめるみゆき。

「なあ、嘘じゃないだろう」

「よくわかんない」

「劇場の神様は、信じている役者なら、窮地を救ってくれるんだ」

「ウシオさんのような裏方でも」

「ああ、救ってくれたよ」

「例えば、どんな事」

「真っ暗な中で、その役者にスポットで撮らないといけないんだ。何も印がない。稽古通り、その役者は、約束のところへ行かなかったんだ。俺は稽古通りの角度で撮ろうとした。しかし、その時、センタールームをチュー太郎が走った」

「何ですかチュー太郎って」

「ネズミだよ」

「キャー!」

「慌てた拍子に、スポットが動いてシャッター開いたんだ。ところが、それがドンピシャリだったんだ」

「うわあよかったじゃないの」

「だろう。だから都座には神様がいるんだ」

「私も拝むわ」

 ウシオとみゆきの後ろをネズミが走る。

「カット!」


 撮影本番中、白川はカメラの後ろで、必死で笑いを堪えていた。

 カットの声で、どっとあちこちから笑い声や、話声が湧いた。

「そんなにおかしかったかい」

 ウシオ役の宇多野が白川に聞いた。

「宇多野さん、拝んでる時、背中で演技してたでしょう」

「さすがは、都座の支配人だ。よく見てるねえ」

「やはり毎日芝居見てる人は怖いなあ」

 笑いながら、蹴上が云った。

 助監督が、走ってやって来て、蹴上に耳打ちした。

「もう来てるの」

 蹴上の表情が一瞬強張った。

「はい、今エレベーターで上がって来ます」

「誰が来てるんですか」

 白川が聞いた。

「東山副社長と東山専務です」

「白川さんは、二人が来ると聞いていたんですか」

「いいえ、聞いてませんけど」

「僕も聞いてないなあ」

 と話している処へ二人がやって来た。

 白川のこころの中をひんやりとした得体のしれない物がじんわりと腰を下ろした。

 別に何も悪い事をしていないのに、一刻もここを早く立ち去りたい気分だった。

「やあ白川支配人。お久しぶりです」

 和夫は、いつもの笑顔でやって来た。

「どうも蹴上監督、宇多野さん御苦労様です」

 都座の屋上で、東山親子、白川、蹴上、宇多野が会うのは、もちろん初めてだった。

「いきなりどうしたんですか」

「京都インターナショナル映画祭の開催の打ち合わせで、親父と京都入りしてまして、少しだけ時間があいたので、都座に来ました」

 和夫が説明した。

 京都インターナショナル映画祭とは、和夫が音頭取りして、この秋に、開催を予定している。

 竹松、西宝、西映の大手三社の映画会社がタッグを組んで、京都で本格的に開催される映画祭である。

 映画祭は、今や東京、大阪を始め多くの都市で開催されるが、京都の映画祭は、他と違う特色があった。

 まず学生の街、京都のため、世界の大学生が作った映画が上映される。

 さらに観光客が監督で、京都を題材にしたドキュメンタリー映画も上映されるのだ。

 オープニングは、宝が池の京都国際会議場で、上映と講演会が行われる。

 期間中、竹松、西宝、西映直営のシネコンはもとより、京都らしく、世界文化遺産の寺社でも上映される。

 竹松と西映の京都撮影所では、ワークショップも開催される。

 都座でも、数日間、映画上映とワークショップが開催される。

 さらに、鴨川、桂川、知恩院、仁和寺、八坂神社などでは、野外上映がある。

 京大、同志社、立命館、龍谷、京産大など京都の主な大学では、有名俳優、監督による講演会、トークショーもある。

 文字通り、期間中は京都は、映画の街と化す。

「僕は、竹松の社員だけど生まれて初めて都座の屋上に上がりました。親父はどうなの」

 和夫は屈託のない笑顔で父親の守に訊ねた。

「都座へは、何度か来たが屋上は初めてだなあ」

 和夫と守は、屋上から見える鴨川と、四条大橋を眺めた。

 ここにいる人達に夏の熱い日差しが照りつけた。

「今は、京阪電車は地下を走っているが、昔は鴨川べりを走っていたんだ」

 守は、一人呟いた。

「線路の両側を桜の樹木が覆いかぶさるように連なっていたなあ」

 守の言葉に蹴上も反応した。

「ライト男の最初の京都シリーズでは、ウシオが、京阪電車と共に走るシーン撮りましたねえ」

 宇多野も、懐かしい目で見ていた。

「時は移ろう。人は老いる。しかし自然は昔のままだなあ」

 一同は、暑さを忘れて暫し、都座の屋上から、鴨川の流れを見つめていた。

 お昼休憩を兼ねて、東山親子は、白川、蹴上、宇多野、北大路みゆきを都座の向かいにある、レストラン「菊水」に招待してくれた。

「皆さん、連日撮影御苦労さまです。ライト男は、竹松のドル箱映画です。これがなければ、竹松は、従業員にボーナスは出ません」

 開始に当たり、和夫が一言喋った。

 隣で、守は、にやけていた。

 白川の席は、蹴上、和夫に挟まれた。

「カブク大ヒットですね」

 まず白川が和夫に話しかけた。

「いやあ我ながら、ドンピシャリでしたね」

「竹松久々のヒットです」

 と云った瞬間、云うんじゃなかったと後悔した。

「そう、僕はどん底作品ばかり作って来たからなあ」

「時代劇がヒットしたのは、本当に嬉しいよ」

 蹴上が会話に入って来た。

「まだ公式には発表してないのですが、(カブク)をシリーズ化しよ

 うと思っているんです」

「シリーズ化ですって!」

 思わず白川は、自分の耳を疑った。

「シリーズ物は、大変だよ」

 蹴上は、ライト男のシリーズ物を手掛けているために、身から出た本心だった。

「その事、朱雀さんに話したんですか」

「いいえまだですよ」

「あの人は、歌舞伎が本業だから、シリーズ化は難しいと思いますよ」

 やんわりと白川は、否定的意見を述べた。

「ええ、わかってますよ」

「たぶん、断られると思いますよ」

「それもわかってます」

「じゃあシリーズ化は無理でしょう」

 と白川が畳みかける。

「だったら、主役を替えたらいいんです」

 あっけらかんと和夫が返答した。

「えっ、どう云う事ですか」

 和夫の真意が見えず、すぐに白川は聞き返した。

「シリーズもの映画で、途中で主役が代わるのは、過去の日本映画、ハリウッドでもよくある話なんです」

「そうなんですか」

「あの有名な007映画だって、主役どんどん代わって来てるでしょう」

「でも二作目で、早々と主役が交代すればよくないだろう」

 蹴上は、正論を展開した。

「じゃあ、サイドストーリー的なものにすればいいんです。今流行りでしょう」

 どこまでも浮世離れの和夫だった。

「まあ歌舞伎にもありますからね、サイドストーリー的なものは」

 白川は、和夫をフォローした。

「でしょう。ハリウッド映画でもよくやる手法なんだ」

「僕は、反対だなあ。歌舞伎役者は、やはり舞台が勝負どころなんだな」

 蹴上は、容赦なく和夫を批判した。

「確かにそうです」

 今まで沈黙を貫いた守が短く答えた。

「毎日、この都座に通って、誰もいない都座の舞台を見ているとね、無性に舞台の演出がしたくなるんだな」

 蹴上は、自分の本心を吐露した。

「それは、本当なんですか」

 白川は確認した。

「ああ本当だとも。芝居はいいよねえ。順番通りに時間と共に進むからね」

 映画は、フィルムなので、後で幾らでも修正出来る。

 だから、撮影初日に、いきなりラストシーン撮影もある。

「だから頼むよ、白川くん。朱雀の意向を聞いてくれよ」

「直接聞いてみたらいいでしょう」

「それが、幾ら電話、メールしてもなしのつぶてなんだ」

「そうなんですか」


    (5)


 翌日白川は、朱雀の携帯電話、メールしてみたが繋がらない。

 そこで今度は、朱雀の東京の個人事務所に電話した。

「白川です。朱雀さんおられますか」

「ああ白川さん、お待ちしてました。今朱雀は、大変なんです」

 事務所の係の女の子が答えた。

「どうかしたんですか」

「実は、昨日から、朱雀は体調を崩して病院に入院してます」

「東京のどこの病院ですか」

「それが、京都なんです」

「京都!京都のどこなんですか」

 受付係は、京都御所の東側に建つ、(御所病院)を教えてくれた。


 白川は、御所病院の朱雀をお見舞いした。

「まあお忙しい時に、すみません」

 朱雀はベッドの上で正座していた。

「無理しないで下さい」

 慌てて白川は、朱雀を抱いた。

「白川さん嬉しい」

 一二畳ほどの広さの個室で、半分がベッド、残りが、応接セット

 と文机がある。

「どうしたんですか、朱雀さん」

「たぶん、カブクの映画撮影と舞台挨拶とかで、疲労困憊でしたから」

「気をつけて下さい」

「ええ、わかってるわ」

「実は朱雀さんにお願いがありまして」

「何でしょうか」

「お願いは二つあります」

「まあ欲張りねえ。云ってよ」

「はい。一つ。今年の披露顔見世歌舞伎に出て下さい。二つ目。カブク映画をシリーズ化するんで、出て下さい」

「いきなり、披露顔見世ですか」

「駄目ですか」

「一つ目は、条件次第ね。二つめは絶対いや。もう映画はこりごりよ」

「ですよね。映画と云うより、和夫が駄目なんでしょう」

「そう云う事」

「条件ってなんですか」

「大文字の送り火。ここで一緒に私と見てよ」

「そうかあ。今日は八月一六日かあ」

 八階にあるこの病室は、掃き出し用の広い窓だった。

 くっきりと、東山の大文字が見えた。

「ここから、こんなに大きく見えるなんて知らなかったなあ」

「京都人の白川さんでも知らない場所があるのね」

「はいもちろんですよ」

「ねえ、一緒に見てよ」

「わかりました。ご一緒しましょう」

「うわああ嬉しい」

 朱雀は、無邪気な子供の様に、パチパチと拍手して小躍りして喜んだ。

「嵐山副社長が、今度の都座の顔見世で鯛蔵と共演しろと云って来たの」

 鯛蔵とは、鴨川鯛蔵で、今一番歌舞伎役者で人気がある。

「私、鯛蔵苦手なの。あの人、暴力的なのよ。昼も夜も。だから共演したくないの」

 白川は、(夜の)のフレーズにひっかかりを覚えた。

 午後八時。

 繁華街の看板や、ビルを照らす光が消える。

 点火される。

 白川は、朱雀と並んでしばし無言で見入る。

「ああ夏が終わる」

「これを見るとそう思いますね」

「そしてまた年を取る」

「まだ八月ですよ。朱雀さん気が早いですよ」

「夏が終われば、もうあっと云う間に秋が来て冬が来る」

「せわしないですね」

「老いて行く私」

「どうしたんですか、朱雀さん」

「私ねえ、この頃特に思うの。老いる。死ぬ事」

「えらく今夜の朱雀さんは、ナーバスですね」

「男はいいわよ。年と共に貫禄が出て。女役の私は怖いの。老いて朽ちるのが」

「朱雀さんは、綺麗ですよ」

「本当?」

「本当です」

「人間はどうして老いるの。死ぬの」

「死なないと、次の世代がつっかえるから」

「白川さんって、時折真面目な顔して面白い事いうのね」

 朱雀は、小さく笑った。

「死ぬのは仕方ないけど、老いるの嫌」

「朱雀さんは、その美しさを保つために、お酒飲まないし、ジムに通って身体を鍛えている」

「それも単なる時間稼ぎ。いづれ朽ちて行くものなのね」

「花の命はうつりにけりなの世界ですね」

 朱雀が白川に身体を預けて来た。

 見ると朱雀は、目を閉じて涙を溢れさせていた。

 そっと白川は指先で涙のしずくをすくい取った。

 朱雀は、白川の口づけを求めた。

 燃え上がる大文字の炎を見ながら二人は折り重なった。

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