夢を食む夢

覚醒

目が覚めると、見慣れた天井が見えた。

今日は土曜日。仕事は休みだ。

時計を見ると昼の十二時をすでに過ぎていた。とてつもない空腹感を感じる。そういえば、昨日の夜も何も食べていなかった。（だからあんな夢を見たのかしら・・・）

冷蔵庫を開けると、昨日夜食にと買ったおにぎりとサンドイッチを発見した。この独り暮らしの部屋では他にしゃべりかける人もいない。私は寝ぐせを手櫛で直しながらテレビをつけて、黙々と遅い朝食を取り始めた。

なんども食べすぎたせいか、コンビニで買ったおにぎりとサンドイッチは全く味を感じない。テレビではニュース番組が流れている。指が切り取られた死体の連続殺人事件の報道だ。チャンネルを切り替えると、別なニュース番組では常人が食べないようなものに執着を見せる異常食・・・摂食障害の特集を放映していた。

おにぎりやサンドイッチ程度では空腹は満たせない。

どこかに行って何か食べよう。

家を出ると季節柄、結構な寒さだった。上着代わりのパーカーのポケットに手を突っ込む。右手にごろっとした感触があった。