長男の居場所 2 ひまわり教室での生活

 実はひまわり教室で長男がどのように過ごしていたのか具体的に私にはよく分からない。ただ少なくとも冬休み前までは楽しそうであった。

 

 長男の通ったひまわり教室には長男の他に2人の子どもが来ていた。1人は小学6年生の男子、もう1人は長男と同学年の男子だった。

 3人とも同じ中学校区だった。ひとつ下の男子は小学校区も同じ。つまり本来なら三男と同じ小学校であるはずなのだが、その子をまなざし教室で見かけたことはなかった。小学校自体に行けなかったのかもしれない。 

 3時頃に迎えに行くと広い広場で3人でノビノビと笑顔でサッカーボールをけっている事も多くあった。



 男子ばかり3人だけだったというのが良かったのか、3人は仲良くやっていた。休みの日には誰かの家に集まって遊ぶ時もあった。

 

 ある秋の日、長男が庭に置いてある花の苗が欲しいと言った。ひまわり教室横の花壇に植えるのだと。

 その日から花壇の手入れをするようになり、やがて肥料が必要だという話しになった。ひまわり教室のあった公園事務所には給食の残飯から作った評判の良い肥料が売っていたのだ。長男が言った。

「それ買ってほしいって先生に言ったら、その肥料について調べて必要性を上手く報告できたら買ってくれるって、おっさんの先生が言ったんだ」

 おっさんの先生とは、時々ひまわり教室に来る教室委員会の先生らしい。

 その日から長男は家のパソコンで肥料についての資料を集め、ひまわり教室で3人で協力してまとめあげた。そしてひまわり教室の先生とおっさんの先生の前で発表をし、肥料を手に入れたのだった。

 その日迎えに行くと、先生が言った。

「長男さんが前に出て発表したんですよ。堂々と落ち着いて発表してましたよ。スライドも上手に作ってあったし」

 

 イキイキと楽しそうに生活する長男を見ているうちに、私にも少しづつ心のゆとりが得られるようになっていった。

 

 

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