三男の居場所 1 図書室とまなざし教室

 三男を車に乗せて学校に行く日がつづいた。車から降りようとしない三男を私と先生でなだめすかせる日々だった。

 二週間が経ったころ、三男は母と一緒に図書室ですごすという妥協点を見つけた。

最初に校舎内で見つけた居場所だった。

 母である私と一緒に図書室で3〜4時間を過ごして給食前には帰宅する日々が3日ほど過ぎた。その日、あまり馴染みのない教師が図書室にやってきた。私が"こんな先生いたっけ?"と思った教師は特別支援学級の教師だった。

 特に本好きではない三男は退屈していて、それまであまり接触のなかった教師のオモチャの話に興味を示した。

「レゴブロックが好きなんだ。じゃあそれ、

学校に持ってきて、先生に見せてくれる?」

教師はそう言うと、レゴブロックを持ってきてよいという教室まで私と三男を案内した。

 こうして三男の小学校での居場所は図書室から"まなざし教室"と呼ばれる教室へとかわった。

 まなざし教室は校舎の1番奥にある空き教室だったが、その年その時期その日その時間によって、2人から多い時には5〜6人の子ども達がいた。

 三男は卒業までの時間の70%ぐらいをこの教室と、この仲間達とすごす事となった。


 

 

 

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