こレかラも・・・。

二人でベッドに横になっている。

俺と・・・凛。

彼女の友達と、友達の恋人。

そんな関係の二人が同じベッドに・・・、何も身に着けず横になっている。

俺と愛衣子さんの関係を知っている人が見たら、これを裏切り以外の何と言うのだろうか・・・。

涙を流しても、凛は俺の「お願い」を聞き入れてくれはしなかった。

俺が逆らえない「モノ」を持っているから・・・、凛の言う通りにするしかなかった・・・。

愛衣子さんとの時間を満喫した直後に、凛の部屋で凛と行為をする。

気が狂ってしまう・・・。

愛衣子さんの為だと自分に言い聞かせて凛に抱かれる。

けれど、もうその行為自体が愛衣子さんを裏切っている。

本末転倒だ・・・・・・。

あの時、「何でも」なんて言わなければ・・・俺は愛衣子さんと笑いあえて、凛とも気さくな友達でいられたのかもしれない・・・。

俺は、選択を誤ったんだ。


「結、これからは私が呼んだらちゃんと来るんだよ?どこにでも・・・。」


隣に寝ていた凛が抱き着いてくる。


「あ~あぁ、結と同じ高校に通えてたらもっと一緒に居る時間が増えたのになぁ~。」


「友達」としてでは無い凛のその言葉は、今の俺には酷く痛く突き刺さる・・・。

もう、前のような関係には戻れない・・・。

愛衣子さんと居る時は笑顔を絶やさず、凛と居る時は悲しみや苦しみ、全てに耐えなければならない。


「ねぇ結・・・、もう一回・・・いいよね❤」


返事を返す事も無く、俺は凛に抱かれた・・・・・・。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


次の日から、俺は凛の言いなりだった。

愛衣子さんとの待ち合わせ時間よりも前に凛に会い、人目につかない所に連れ込まれてはキスをされたり・・・。

愛衣子さんとのデートの途中で呼び出されて行ってみればその場で抱かれたり・・・。

仕舞いには三人で居る時に、愛衣子さんが席を外した直後に周りからは見えない様に俺を弄る・・・・・・。

それでも耐えた。


「私、結君と出会えて良かった・・・ふふふ///」


笑顔でそう言ってくれる・・・彼女を悲しませたくないから。

時々考える事がある。

もしも、愛衣子さんと出会っていなかったら、愛衣子さんと付き合っていなかったら・・・俺はどうなっていたのか・・・。

今となっては、叶わない「もしも」・・・。

もしかしたら俺の人生は、「夜夜須凛兎」という人物に出会った時には既に・・・決められていたのかもしれない・・・・・・。


「ごめんね・・・愛衣子さん・・・。」


誰も居ない、愛衣子さんに告白された公園でそう呟いた俺は・・・声を抑えて泣いていた・・・。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


築年数がそんなに経っていないであろう家。

表札には、「夜夜須」の文字・・・。

俺の家ではない・・・にも関わらず、まるで我が家だと言っても不自然に見えないくらいに自然に家の中へと入っていく。

靴を脱いで真っ直ぐ廊下を進み、突き当り右にある階段を上り2階へ・・・。

そして一番奥の部屋にノックも無しにドアを開ける。

部屋の中には・・・、


「待ってたよ、結❤」


既に下着だけの恰好の凛が居た・・・。


「・・・。」

「最近呼んでから来るのが早くなったね、そんなに私に会いたかったんだ❤」

「・・・違う・・・早く済ませたいだけだよ・・・。」


言いなりになっている俺のせめてもの抵抗・・・。

無論、俺の本心・・・。

だが凛は、そんな事知る由も無い・・・。


「アハハ❤照れなくてもいいのに❤・・・それじゃあ結・・・シよっか❤」


俺の元まで歩み寄ってきた凛に手を引かれ、部屋の中に入れられる。

ゆっくりとドアが閉まっていく・・・。

もう逃げられない・・・・・・彼女からも・・・・・・こうなってしまった現実からも・・・・・・圧し潰されてしまいそうな自分からも・・・・・・。

・・・ガチャッ・・・。

ドアが、完全に閉まる・・・・・・。


俺は今日も彼女の笑顔を守る為に―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――彼女の友達に抱かれる。

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