アングラの森 便利屋マダラあらすじとか

新潮社 小説家になって億を稼ごう 著/松岡圭祐( https://www.shinchosha.co.jp/book/610899/ ) に書いてあった手法の一部を参考にしてみました。詳しくはこちらを読んでみてください。


◆これはアイディア出しのターン

新シンさんみたいな黒髪長髪怠そうに話すアングラお兄ちゃん

狗神

兄の体を乗っ取ってる

兄「この家から縁を切りたい」

兄の力を貸して欲しい

狗「じゃあ~、妹ちゃんの、いっちばん大切なモノ……もらうよぉ?」

一番大切なものを貰うよ兄の記憶を消す

なんでこんなやつと縁があるんだろう


嫁(ねずみ)が来るぞ


たたりもっけ

正しく弔われなかった不幸な赤ちゃんの霊

不幸を呼ぶ


水子

格安堕胎の闇クリニック

胎児を儀式に使ってる

儀式とは? 山の上にある川辺で頭を砕いて古井戸の中へ投げ込む。

呪いによって夫と子を亡くし、精神を病んだ名家の女がたたりもっけとなった我が子を「復讐を手伝ってくれている」と勘違いして、我が子を強化するために胎児を集めていた

たたりもっけが出来ると母胎に障りが出る


ドレカヴァク マイリング ミリンガー(ミリング)

ノルウェー人の女 utburd

https://villains.fandom.com/wiki/Myling

 なんでこの事件が持ち込まれたのか

 妹のネット友達の風俗嬢がおかしくなった→安請け合いした


いつまで

餓死して放置されている人間の魂が化けた妖怪

鳥のような姿

以津真天


ひだる神

ダニ

取り憑かれるとどんどん腹が減る妖怪

食べ物を食べるか、米と手に三回書くといい


成谷家の人に嘘をつけない

狗神は力は本来の力を封じる代わりに静の体で生活している

静との契約内容→成谷家からの支配を緩める代わりに自分に協力しろ

 静→成谷家から静自身の記憶を消して一族に復讐したい

 なんで復讐したいの? 幼い頃に能力があるからと自由を奪われたり交友関係を制限されたから。

 それに抗おうとしない妹にも失望している。


犬→成谷家からの支配を緩めて堕落的に生きたいから協力してる


対外的な理由

 静→衰えた祖父の犬だった斑が父を食い殺そうとした

 祖父を護る代わりに斑を体内に封じ込めて眠りに就いた。

 犬に体を乗っ取られるのは一族の恥!それなら父を食い殺させて犬を討伐すべきというのが両親の考え。

 妹→兄は両親を護ったのにその言い草は酷い!でも両親は尊敬してる。


 白と黒のまだら模様 金色の瞳 イタチのような見た目 

 耳からニンゲンに入る

 妖怪や呪いを食べることが出来る


 黒髪長髪 赤みがかった褐色の瞳


実際

 家に復讐したい兄と自由になりたい狗のwinwinの関係

 最終目標:狗:自由で怠惰な生活 兄:家の破綻


母と父と祖母→既に記憶を奪われていて兄について話さない

妹→家族は白状だ!兄について話すらしないし、知らないとまで言う!

祖父は死んだ



成谷(なるたに) 沙羅

成谷 静(しずか)

成谷 斑(まだら)


 元々は戌谷姓だった一族。なんらかのきっかけで成谷という苗字に変えて身分や出自を偽装した。

 狗の姿をした怪物(けもの)を使役して悪霊を祓ったり、呪いを行使する。

 狗神とも言われている。


 マダラ

 黒髪長髪金色瞳身長180cm

 一人称:オレ

 本来の姿:白地に黒のフェレットみたいな大きさ

 静

 マダラと同じ見た目。目だけ鳶色になる。20歳

 一人称ボク


沙羅

 身長157cm 黒髪鳶色瞳 高一 中高一貫校

 三年前に兄が消える。今は兄の記憶が無い。

 一人称:わたくし 

 



◆やったこと

 全体を三つに分けて40文字×3行で書く→さらにそれを40字で10・20・10で分解していく→最後に行の間を好き放題こまかいことを書いて行く

 5W1H 誰がどこでなにをなぜどのようにしたか


便利屋マダラ

 →https://kakuyomu.jp/works/16816452220006873317


あらすじ

1 沙羅が新宿の繁華街へやってきて安アパート前まで行って斑を訪問して交渉をする

1 沙羅安アパート前斑の部屋から嬌声うんざりする沙羅ノックをして部屋に入ると甘い匂い

 沙羅が眉を顰める。薄汚れたアパートのドア。薄い壁の向こうから響いてくる女嬌声。扉を乱暴に手の甲でノックする沙羅。

 間延びした返事。少し掠れた軽薄そうな響き。勝手に入ってきてイイヨと言われてドアノブを握ると施錠がされていない。

 ホウホウと鳩だかフクロウだかわからないけれど鳥の鳴き声がうるさい。


2 斑がラリって女といちゃつくキレる沙羅女をたたき出して依頼について話す親への文句

 扉を引くと足の踏み場もないくらい服やゴミが散乱した廊下。甘い匂いが濃くなる。奥からチラリと斑の肩が見える。大きな黒一色で掘られたアゲハチョウ。腕には赤い彼岸花の隅。

 伸びた黒い髪が見える。不快に思いながら沙羅は足を進める。徐々に開けていく視界。鼻に掛かったような女の声。斑に跨がっている女。だらしない顔をしている。ニヤニヤとしてる斑。女の腰を長く節くれ立った指が支えている。

 ソファで座りながら行為をしている斑と見知らぬ女。ベッドの上で寝ているあられもない姿の女がもう一人。シャワー室からもう一人女が出てくる。

 怒鳴る沙羅。冷めた顔をした斑。背中には曲線が美しいトライバルの模様が描かれている。多分月とか太陽とか星なんだと思う。

 気怠そうに伸びた前髪を掻き上げる斑。嬉しそうに腰を振る女を止める。女は眉にピアス、スプリットタン、肩に薔薇の入れ墨。

 シャワーから出てきた女も乳首とヘソ、鎖骨の真ん中にボディピ。シャワーから出てきた女がベッドで寝ている女を起こす。ベッドで寝ていた女の手は不自然に膨らんでいる。まるで円形の何かを埋め込んだみたいに見えて不気味だと沙羅は思う。

 だらだらとした女が不満そうな表情で出て行く。女たちに手を振る全裸の斑。

 斑の裸から目を逸らして服を着るように言いつける。

 渋々下着だけ履いてソファーに座る斑に沙羅は腕組みをしながら用事があると言う。


3 斑自室やる気の無い斑契約の説明協力できないと渋る沙羅は対価を払うというと斑にやつく

 ソファーに座れと言われるけど嫌そうな顔をする沙羅。ノリが悪いとふざける斑。斑の金色がかった眼を睨み付けて「依頼です」という。

 沙羅の取りだした金に興味を示さない斑。一瞬焦りを見せた沙羅を見て斑が口角を上げる。瞳がギラついた気がして寒気を覚える沙羅。

 斑が立ち上がる。馴れ馴れしく沙羅の肩を抱く。耳元で囁かれる。兄の声だけど兄の話し方では無い。強烈な嫌悪感と兄を慕う気持ちの板挟みで表情を歪ませる沙羅。


4 一番大切なモノを捧げるという契約。一度だけ静に体を返すと約束する斑。条件説明

 友達の調子が悪い。依頼を引き受けたけど悪霊は姿を見せない。

「なぁに金の代わりに、あんたの覚悟を見せてくれりゃあいい」

「あんたの覚悟は本物かぁ? 兄に会いたいくらいで一番いっちばん大切なモノをオレに捧げられるのかい?」

「嫌ならいいんだよ。オレも成井の化物ケモノには変わりない。主以外からの命を断ることは出来てもぉ、契約を無理強いするなんてできねぇからなぁ」

「さっさと帰んなぁ。嬢ちゃんには嫌な場所だろ?」

「わかりました。私の覚悟は本物だもの。それで兄様と会えるなら安いものです」

「いいよぉ」

「あんたが呼んだら一度だけ我が主にこの体を返そう。だが、主は眠りにつく責務を負った身だ。長くても一日しか起きていられねぇ。それでも一番大切なモノを捧げるのかい?」

「成井家次期当主に二言はありません」

「ああ、結構な啖呵だ。嬢ちゃんと契約しよう。一度だけ、主に肉体を返すってなぁ」

「それと、嬢ちゃんではありません。沙羅様、もしくはお嬢様と呼びなさい」

「あいあい。わかったよぉお嬢様ぁ」


5 帰宅する沙羅。実家では誰も兄のことを知らない振りをするので憤る沙羅。兄との思い出

 実家。大きな門を潜って庭へ入る。鯉の泳ぐ池を通りすぎて引き戸を開く。

 沙羅の服に斑の部屋にあった匂いがついていたのか父の足元に丸くなっている化物けものが小さく唸り、父が眉を顰める。

 母親がどこへ行ったか聞いてくる。「兄様のところよ」と答える沙羅。

 両親は「いい加減にしなさい」とか「あなたに兄はいないわ。二度と口にしないように」と言ってくる。

 心配して自分に駆け寄ろうとする母親の肩に父が手を置く。無言で首を横に振る父を横目に見ながら乱暴に古いがよく磨かれた階段を上って自室へと入る。

 扉を乱暴に閉める沙羅。清潔な白いベッドに横たわると髪の毛から斑の部屋の残り香がふわりと香ってくる。

 兄は祖父を食い殺そうとした化物に立ち向かい、その犬を自分の体に封印した。

 化物に祖父を食わせて祖父ごと殺すべきだとか、化物師として恥だと罵られた兄は胸を押さえながら家を出て行った。

 そもそも化物は成井家の者には逆らおうとすると体に激痛が走るような造りになっている。静の行動から斑は先祖返りをして妖怪になったと両親は結論づけた。

 化物は成井家の者に危害を加えられない、主人に無礼な態度を取ると体に激痛が走る。嘘をつけない。

 兄が去って、すぐにちゃらんぽらんな兄の見た目を化物がやってきた。

 四十九年の封呪。兄の自我が眠っている限り化物けものは悪さを出来ない。

「まじない、のろい、悪霊祓いなんでもござれ。便利屋の斑でございやす。先祖返りしたあっしの命を助けていただいたお礼と言ってはなんですが、成井家のみなさまには対価次第で我が主の力をお貸ししたいと思っております。どうぞお見知りおきを」

 恭しく頭を下げた斑の頭に父が激怒して塩をぶっかけて、母は泣き崩れたのを思い出す沙羅。

 敬愛する兄の顔で軽薄そうに笑う斑を許せないと思った。


6 沙羅が犬を持てない理由説明。沙羅が親に内緒で依頼をする理由。兄を実家に戻したい

 沙羅は気性が激しい。化物は感情の昂ぶりに反応して相手に付けいるので沙羅は感情を表に出さない修行中。兄が出て行ったあと、しばらくしてから次期当主だと突然申し渡されたけど化物を持てないため修行をすべきだと言い渡された。

 沙羅としては兄に戻ってきて貰いたいと思っている。でも父は兄のことを「そんなものはいない」と言って沙羅を叱咤する。いつのまにか家では兄なんていなかったことにされてしまった。祖父も死んで、兄を可愛がっていた祖母も施設に入所している。誰も兄がいたことなんてなかったみたいにしてるのが許せない沙羅。


7 家の説明。犬の説明。兄が何をしたかの説明。寝ていた沙羅は学校へ行く

 朝目が醒めた沙羅は怠い気持ちで起き上がる。兄の夢を見た。兄が自分を褒めてくれる夢。

 鳩なのか梟なのかやけに最近鳥が増えたように思う。

 モヤモヤしながら学校へ行く。父と母と顔を合わせないようにして学校へ行く。


8 学校の入り口で斑が待っている。見た目が派手なので騒がれる。斑と共に喫茶店へ行く

 校門で生徒達が騒いでいる。何かをチラッと見て女の子はきゃあと黄色い声をあげて、男子はギョッとしたような表情をして校門の壁によりかかって立っている男を見てから学校へ入っていく。

 鳥の声が耳障りだ。

 沙羅は嫌な予感をさせながら校門の前まで行く。予想した通りそこには斑が立っていた。

 胸元が大きく開いた服。胸からは狼を模したトライバルの墨がチラッと見えている。

 斑は顔を上げて沙羅を見つける。へらっと力の抜けたような笑い方をして右手を挙げた。

 沙羅は斑の腕を掴んで引っ張る。耳元で「目立つことをしないでちょうだい」と言って斑を近くの喫茶店へ連れて行く。


9 手掛かりの提示。沙羅の兄への変質的な愛情。犬の怖さ。小さなトラブル

10 喫茶店を出る二人。次の週末に潜入するから来いと言われて渋々頷く沙羅

 喫茶店の奥まった席まで斑を連れていく沙羅。押し込むように斑を座らせてコーヒーを二つ頼む。

 ふざける斑を睨み付ける沙羅。斑はヘラヘラ笑いながら鳥の羽根を出す。

「見覚えはあるか?」

 首を横に振る沙羅。試されているようで不快。

「処女のお嬢様にはちょぉっと難しいかもしれないけどさぁ……この服を着て家、抜け出してくんない?」

 露出度の高い格好。嫌な顔をする。

「できねえなら、どーしよーもねえし、オレとしてはここで終わりでもいいんだけどさぁ」

 やると言った沙羅。ニヤニヤする斑。金を払って店を出る。授業はとっくに始まっていたけれど実家に電話をされた様子はないのでホッとする沙羅。

 沙羅を数人の女子が取り囲む。イヤイヤながら兄だと告げて解散。


2 斑が本来の力を発揮するために静の力を解放して妖怪に戻って化物を食らって殺す

1 クラブに潜入する斑と沙羅。インモラルな雰囲気。重低音。いちゃつく男女。

 そっと夜に家を抜け出す。具合が悪いと嘘を吐いたことを後悔する。

 門をよじ登って外へ出ると斑がポケットに両手を突っ込んで立っていた。イラッとする沙羅。

 タクシーを拾って乗る二人。繁華街まで向かう。


2 顎で指された女を見る沙羅。顔色が悪い。沙羅も息苦しそう。斑が黒い靄を食べる

 上着を脱いで派手な格好を露わにされる。文句を付けようとすると斑が袋の中からウィッグとタトゥーシールを取り出して沙羅の肩に張り付ける。

 それからメイク道具を取りだして、簡単なメイクをされる。鏡を見せられて別人のような自分に少し驚きながらも、兄の見た目で兄らしくないことをされて沙羅は不満。

 クラブの扉を開くと重低音が体の内側に響く。声が聞こえないし、なんだか空気が悪い。

 肩が重くて頭が痛くなっていると、肩に斑が手を置く。気安くしないでと言おうとする。沙羅の肩に乗っている黒いねばねばしたものを剥いで口に放り込む斑。

「お嬢様、相変わらずあんたはこういうのに好かれるんだなぁ? オレとしては軽食を楽しめるからいいケド」

 ムッとする沙羅。良くないモノに憑かれるのは巫女としての資質で、化物けもの師としては不適格な為。


3 楽になった沙羅が女に話しかける。堕胎なら安くやれるよ?眉を顰める沙羅。来る斑

 キョロキョロしていると、不健康そうな女が沙羅にふらふらと近寄ってきた。

 微かに甘い香り。嫌な感じだなと思いながら耳を貸す。

 驚いている沙羅の代わりに斑が受け答えをする。

「ガキが出来ちゃって堕ろすならいいところ知ってるヨ」

「よく探してるってわかったねぇ。お姉さん超能力でもあるの?」

 ステージでは自らの体にフックを刺している女性が吊り上げられてクルクルとゆっくり回転している。

「サスペンション、見るのはじめてでしょ?」

「は、はあ」

「多いんだよねえ。こういうイベントに慣れないのに来てる子。ほとんどアレ……探してるんだぁ」

 女が口を開くように笑う。二股に分かれた舌がチラリと見えて沙羅は驚く。

 それに気が付いた女は舌を見せつけるようにして笑うと「あっちだよ」と斑にしなだれかかりながら答えた。

「ねーえ! 真面目そうな子じゃなくてあたしとしよーよ。後腐れ、ないよ」

「いいよぉ。今度、またここで会えたら運命ってコトで」

 舌を絡み合わせる口付けをしている二人を軽蔑するように見る沙羅。腰を撫でて媚びた声を上げる女から斑を引き剥がして女が指を指した方へ向かう。


4 斑が勝手に堕胎の予定を入れる。妊娠してない沙羅。捜査に必要だと言われて承諾する

 厳つい男が二人立っている。眉間と鼻と眉にピアス。上半身は裸で派手な炎や蛇の入れ墨。

 斑がヘラヘラ笑いながら近付いていくと警戒したように顔を顰めた。その後ろにいる沙羅を見ると、何か納得したように頷いて「他言無用だぞ」とだけ言って二人を仕切りの奥へ通してくれた。

 煙と独特な臭みが漂う空間。思わずハンカチを取りだして鼻と口を押さえる。

 ガリガリの目元がくぼんだ女が沙羅を見てケラケラ笑う。近寄っていって耳打ちをする斑の言葉を聞いて、女が目を丸くした。

「まじめそうなのにこーんな男に孕まされちゃって……かーわいそー」

 長い爪が沙羅の頬をなぞるように触れる。無言の沙羅を見て何が面白いのか更にケラケラと笑った女は「3でいいよ」と指を三本立てて沙羅に向かって言った。

 音が大きくて耳元に口を寄せられるのが不快だと沙羅は思う。

 斑が女の手に3万円を渡すと「ちがーう」と言ってそれを突き返す。斑は「いいの?」と言ってにやけると女は斑の首に両腕を回して口付けをする。しばらく口付けを交わして言葉を交わしていた二人から目を逸らして衝立の隙間から見えるショーを見る。

 熱気、血、重低音、アルコールの香り。兄の纏っていた清らかでシンとした空気を思い出す。ここは兄も私もいるべきではない。

 歯噛みをしながら斑を見ると「明日、じゃあ予約させてよ」と言っているのが聞こえた。耳を指で弄び、唇で食む。兄の顔で、兄の体でそんなことをしないで。

 睨み付けていると、女と斑が揃って沙羅を見る。

 女に何かを耳打ちして、斑が戻ってくる。手に触れようとしたので沙羅は斑の手を叩き落とす。

 ヘラヘラ笑いながら、背中を押されてクラブの外へと出る。


5 クラブから出て説明を求める沙羅。友達を斑に侮辱されて感情を高ぶらせる沙羅と笑う斑

「どういうことなのです?」

「手掛かり。お嬢様のが世話になったトコを探してやっただけだよぉ」

「だから、詳しく話しなさいってことよ」

「背伸びしてヤンチャしたおつむと股のゆるいガキがその報いを受けたってことじゃねーのかなぁ」

「……彼女たちは傷付いているのよ? 私の友人を侮辱しないで」

「事実なんだがなぁ……随分おやさしいことで」

 斑は沙羅の肩を抱いてタクシーを拾う。タトゥーシールとウィッグを返してメイク落としを貰う。 


6 夜中に家の前まで送り届けられる沙羅。兄との思い出に浸りながら斑も両親も恨む

 門の横にタクシーが到着する。斑に手伝われながら門をよじ登って帰宅する沙羅。

 また明日と言われて不服そうに門の跨がりながら斑を追い払う。

 シャワーを浴びて嫌な気配と煙草やアルコールの匂いを洗い流す。

 兄と出かけた思い出は、祖父母の家へ行くときの記憶くらいだった。口角を僅かに持ち上げて静かに微笑む兄を思い出して、湯船に顔半分を浸す。 

 それから、今夜の軽薄な表情の斑を思い出して憤る沙羅。

 兄がやはり必要だ。自分は巫女として化物を降ろすことは出来るけど使役は出来ないと思い知った沙羅。

 この事件を解決して家族に兄の有能さや兄が必要だって思い知らせようと決意する。


7 翌日も斑に呼び出される沙羅。堕胎クリニックへ行く。具合の悪そうな女が怒鳴り込む

 学校へ行くフリをして家を出た沙羅。バスに乗って新宿まで。

 ロータリーで待っていた斑が手をひらひらと揺らす。不快になりながらも、兄を思わせる格好をしているので少しだけ悪い気はしない沙羅。

「墨を覚えられても困るしぃ?」

「あなたにまともな回答を求めた私がバカでした」

 タクシーで昨日のクラブにいた女から案内された場所へ移動。雑居ビルの間を歩いて辿り着いたのはラブホテル……横の小さなボロアパート。

 アパートの前にある駐車場には黒塗りの車が数台停まっている。車内から視線を感じる沙羅。

「気付かないふりをしろ」

 斑に言われるがまま緊張した面持ちでアパートの古ぼけた扉の前に立つ二人。

 チャイムを鳴らそうと指を伸ばす。鳴らす前に扉が開いた。

 2Kの部屋。玄関を開けてすぐキッチン。和室にいるように言われて引き戸を開けられる。座布団が乱雑に置かれた部屋。

 扉を開いたやる気のなさそうな老婆が施錠をしようとすると、勢いよく扉が開かれる。

 外から入ってきたのは痩せぎすで目玉が少しくぼんだ緑髪の女。



8 怒鳴り込んできた女がどこかへ連れて行かれる。沙羅の名前が呼ばれる。斑と診察室へ

 女はいきなり怒鳴りだしてキッチンの奥にある引き戸を叩き始める。玄関の外から体格の良い男達が来て女を羽交い締めにした。

 斑が鼻を鳴らす。匂いを覚えたようだった。男達によって女は引きずり出された。外から不気味な鳥の声が聞こえた。


9 妊娠していないことがバレる。斑が医師と目を合わせる。医師の顔がとろんとする。

 診察室へ入るように看護師らしき女に言われて、さっきまで女が叩いていた扉を開く。

 斑は「すげえ騒ぎだったね。よくあるの?」と世間話。

 女がぶっきらぼうに沙羅に診察台に横になるように言う。血の痕と匂いが微かに部屋に漂っている。

「ねーえお姉さん、オレの眼、ちょぉっとだけ見てくんない?」

 女がうっとうしそうに斑の顔を見る。次の瞬間女の表情がとろんと蕩けた。

「斑? 私の許可なくニンゲンに手を出すことは……」

「だーいじょうぶぅ!ちょっとうとうとしてもらっただけさ。さあ、お嬢様許可をくれろ」

「許可します。その女の記憶を偽装しなさい」

「はぁい。いいよぉ」

10書類を盗み見た斑。沙羅に処置をしたつもりの医師。何事もなかったように病院を出る

 斑は机上に置いてある書類をいくつか見てスマホで写真を撮る。あと衝立の影に隠されている黒いビニール袋の中を斑が覗く。鉄と生臭さが混ざった匂いが強くなる。

 椅子で待ってる沙羅の隣に斑が座りパチンと指を鳴らすと「帰って良いぞ」女が言った。二人は大人しくアパートの一室から出る。


11 近くの裏路地で息を顰める二人。黒塗りの車が来て何かを回収して運んでいく。

 二人は帰るフリをして背後を確認する。誰もついてきていないことがわかると細い路地に斑が沙羅を引っ張り込んだ。

 しぃと唇に人差し指を当てて斑が路地の外を見る。黒い車が一台入ってきて駐車場で何かしてる。黒いビニール袋を幾つか車に詰め込んで札束を渡してから、車は発進した。


12 タクシーに乗って車を尾行する二人。車はどんどん山奥へ進んでいく。森の中で止まる車

 車が走り去るのを見て、斑と沙羅は路地から出てタクシーを止める。

 車はほぼ見えないが、斑がタクシーの運転手にとある住所を伝える。

13 離れた場所でタクシーを帰らせて当たりを散策する。小屋から男が出るてきてきた

 車の数が少なくなってきた。高速道路から下りてしばらく走っていると見覚えのある車が遠くに見える。山の中へ入っていくようだった。

 離れた位置でタクシーを止めて二人は下りる。まだ陽は高い。山の中へ入って細いハイキングコースをゆっくりと上っていく。

14 男たちを尾行する。具合の悪そうな男女が無表情で胎児の遺体を石に叩き付けている

 川辺で変な音を聞く。気配隠しの術を使って川辺へ近付く。もうろうとした表情の人たちが何かに石を叩き付けている。鳥の声がうるさい。

 よく見ると赤黒い肉塊。人の様な姿。胎児だと気が付いて沙羅が青ざめる。

15 吐き気を抑える沙羅。小屋を見て見ようとする二人。小屋の中から女が出てくる。

 口元を抑えている沙羅を放ってどんどん進んでいく斑。川辺を進んでいくと小さな小屋がぽつんと立っている。走り去る車を一人の褐色の髪をした女が見送っている。

16 中年女が異常っぽい。吐く沙羅。斑がニヤニヤして周りを見渡す。斑には妖怪が見えてた

 中年女が話しかけてくる。片言。沙羅がその場に吐く。斑がニヤニヤとして沙羅の脇の下に腕を入れて立たせる。

17 静を呼べと言われて拒否する沙羅。女の背後に頭が肥大化した胎児の顔をした梟が現れる

 静を呼んだ方がいいという斑。首を横に振る沙羅。

 瞳孔が開いたままの女の後ろに化物が現れる。

 肥大化してむくんだ赤黒い赤ちゃんの顔。胸元からちぎりパンみたいな腕が二本突き出ている。


18 フクロウの名を呼ぶ女。ふくろうが鳴くと周りから三本足の胎児の体を持った梟が出る

 化物に女は名前を付けている。化物の頬を優しく撫でて、女は沙羅たちの方を見る。

 バサバサという音がして鳥たちが羽ばたく。二人目がけて人間の腕が胸元から生えた梟が飛んでくる。

19 沙羅の耳の中に入ろうとする妖怪。沙羅を抱えて逃げる斑。早く静を呼べと迫る斑

 何匹かは斑が腕を凪いで叩き落としたが、それを逃れた化物が沙羅の胸元に両足で爪を立てる。

 小さな赤黒い腕を伸ばして沙羅の口元に触れようとする化物。大きな化物が女から離れてこちらへ近付いてくる。

20 静が出てくる。斑が本来の姿に戻る。静が妖怪の正体を見極めて斑が化物を喰らう

「これはオレの器じゃないからいーけどさぁ……」

 化け物の腕が斑に伸びる。沙羅が顔を青くしながら「兄様を戻して」と叫ぶ。

 青白い閃光が辺りを照らす。ホウホウというけたたましい梟の鳴き声。

 胸元の羽根が膨らんで羽根の付け根を浮かす化け物。女が目を剥いて呪いの言葉を吐いてくる。

「斑、喰らえ」

「いいよぉ」

 白い体に黒い斑模様があるイタチのような体、本来の姿に戻った斑が化け物に駆けていく。

 雄牛くらいの大きさになった斑が大きな口で化け物の頭を一口でかみちぎる。

 唖然としてへたり込む女の頭に静が手を当てる。女は青ざめた顔のまま倒れる。


3 沙羅は静の記憶を全て失い、斑が自分の一族と関わっていることに疑問を持ち首を傾げる

1 静は沙羅に胎児の霊への対処法を教えて去ろうとする。沙羅が止める。静は首を振る。

「たたりもっけは棄てられた遺体を供養すれば消える。警察に通報するだけでいいだろう。依頼人はお前の友人とのことだが……本家を通していない依頼なら依頼料は諦めた方がいいだろうな」

「兄様……見ていてくれたのですね」

2 静に抱きつこうとした沙羅を無視して冷たい声で斑を呼ぶ静。斑が静を呼び捨て にする

 抱きつこうとしてくる沙羅からさっと身を躱して、斑を呼ぶ静。

「どうした、静」

 沙羅は違和感を覚える。化物けものが、主人を呼び捨てにするなんてあってはならないこと。さっきも思った。

「妹の世話、ご苦労だった」


3 違和感を覚える沙羅。静は微笑んで「さよなら」とだけ告げる。静は斑に命令をする

「沙羅、さよならだ」

 驚いている沙羅を見て、柔らかく微笑む静。目の前に突き出された右手に籠もった気配に反射的に後退りをする。

「斑」

「あいよ」


4 斑が自分の前に走ってくる。絶望をする沙羅。静は崩れ落ちた沙羅を見下ろす。

 駆け寄ってくる斑から逃げようとして、伸ばされた尾で足首を掴まれる。


5 「一番大切なモノと引き換えだと言ったのはお前だろう」と沙羅に言う静

「にい……さま」

 戸惑っている沙羅に、静は「一番大切なモノと俺を引き換えにしてくれたのはお前だろう?」と微笑む。


6 斑が「あんたで最後だ」と嬉しそうに言う。分家には残ってると静に言われて笑う斑

「お嬢様、あんたで最後なんだ」

「残りは分家の連中だな」

「ああ……でもまあ、怖くねえなあ」

 長い濡れ羽色の髪をかきあげる静。風がどうっという音を立てて吹き抜けて、絹のように細い髪が靡く。


7 待ってと言って手を伸ばす沙羅。目の前に斑の真っ赤な口内が迫ってくる。暗転。

 斑の大きく開いた口が目の前に迫る。並んだ鋭い牙とぬらぬらとした赤い舌。生臭い吐息。

 そのまま意識が途切れる沙羅。


8 タクシーに揺られている中で目を覚ます沙羅。周りにはパトカーが集まっている。

 タクシーの中で沙羅が目を覚ます。隣に座ってる斑に「終わったのですか?」と聞く。

「お疲れのようで……。後は警察が呼んだ坊主がガキ共を供養してこの依頼は終わりだよ」

9 静のことを忘れた沙羅。代償を支払って事件を解決したはいいが、動機を忘れている沙羅

「それにしても……胎児を遺棄して呪いを振りまくなんて……。でも、助かったわ。さすが便利屋の斑、ね」

「お嬢様が一人前の化物師になるまでは贔屓にしていただきやす」

「お嬢様なんていきなり呼ばれても気持ち悪いだけだわ。やめなさい」

「へいへい」


10 斑に丸め込まれて納得をする沙羅。囁く斑。鼻を鳴らして去って行く沙羅。

「それにしても……なんであなたみたいな怪しい男にわざわざ頼んでしまったのか……後悔はそこね」

「腐れ縁ってやつでしょう? 昔お世話になった恩返しで格安で手をお貸ししているんじゃないですかぁ」

「じゃあな、沙羅。次の代償は一番大切なものにでもするかい?」

「あなたみたいな怪しいやつにそんな代償払うわけないでしょう。今回はご苦労でした。さっさと去りなさい」

「あいよ。では、便利屋斑、またのお声掛けをお待ちしております」

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自作についての覚書のようなもの こむらさき @violetsnake206

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