本当の南

休息の間で南と食事をする


南はご機嫌だ


「どうしたの、南?」


南がこちらを向く、相変わらず綺麗だ


「私、私らしく生きる事が楽しくて」


どういう事?


「南が南らしいって?」


「学校での私はどんなだった?」


「そりゃ、俺は自慢したい位の女の子だよ


 俺の幼馴染の南だって、南は完璧だよ


 もちろん迷惑かかるから言わないけど」


「でも、私って、そんなに魅力的かしら?」


「そりゃそうだよ。南だって自覚あるだろ?


 綺麗だし、男の子に絶大な人気あるし」


「そうかしら、島村君なんか、私には全然興味ないみたいよ」


「嘘だろ、南と島村あんなに噂になったのに」


「島村君は誰にでも優しいのよ。そこに私が付け込んでいつも隣にいただけよ」


「ええ?」


「島村君の近くなんて、みんな遠慮して近づけないわよ


 私はずうずうしいから平気で、近づく、


 島村君の側にいると女の価値が上がるのよ」


「そんな、南はみんなの憧れだよ。そんな事言わないで」


「高野君まで私の演技に騙されてたの?」


「騙すって、南は俺にとっても憧れだよ」


「そうかしら、私は高野君と一緒に遊んでいた頃の自分の方が魅力ある女の子だったと思うわ」


「子供の頃の南はどちらかというと残念じゃないか」


「あっ、ひどい」


「ごめん。だって、南、BL好きの超おませさんで、かなりやばい発言多かったよ」


「今も全然中身変わってなかったとしたら?」


「まさかBL......」


「今でも大好き♡」


「ええええええええええ」


「嘘だろ、嘘と言ってくれ、俺の南がーーーーーーー」


「誰の南よ。全く、これだから男の子は......」


「でも、あの頃と同じっていうとまさか南は島村とかどういう目でみてたの?」


「高野君とか秋山君とか絡ませた妄想してよだれ垂らしてはわよ心の中で


 私が島村君とくっつく?


 そんな馬鹿な事する訳ないじゃないの


 彼は観賞用及び妄想の対象よ、私ごときがくっつくなんてありえない」


俺は南の告白に驚いた。南はいい女を演じていただけ、そんな......


「そもそも、男って、見る目が無いわよ


 私より泉さんがどれだけ魅力的なのかがわからないなんて


 彼女は本物よ。あの娘は私みたいに偽りの無い素で生きてる


 だから魅力的なのよ」


泉とはクラスで南の次に人気がある女の子だ


 『クールビューティ』そう呼ばれている


 面差しは整いすぎてやや冷たさを感じる位


 性格もクールでまさしく『クールビューティ』


「私、こでから自分らしく生きる」


南が噛んだ。昔みたいに......


 南はご飯の時に喋るとよく噛む娘だった


「は、はは、昔みたいだ」


「嫌、昔の南は?」


「そんな事ないよ。でも今のままの方が絶対モテるし、得だよ」


「それはわかってるけど、私疲れちゃったの、


 もう、演技に疲れたの。自分らしく生きたいの」


南、悪戯っ子で男の子みたいに活発だった南


 何度俺を助ける為に男の子と喧嘩しただろうか?


 誰も今の南からは信じられないだろう


 南から乱暴な言葉が出たり、男の子をグーで殴ったり


 小学校の時、二宮金次郎の象をヤスリで粉にしたのは南だ


 犯人は当時特定されなかったけど、俺は知っている


 何故なら、俺は南に強制的に協力させられて一晩中かかって


 金次郎の象を一緒に粉にしたんだ


「ふふっ」


南が悪戯っ子の様に笑う


「何か悪戯考えてるだろ?」


「わかっちゃった」


「わかるよ」


みんなの南が壊れた。そして残念な女の子が誕生した


 多分、誰もが勘弁してくれというだろう


 かくゆう俺も勘弁して欲しい

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