一行目、初手から詰み筋に入っていた瞬間の衝撃

授業参観日に子供が突然の爆弾投下、否応なく始まってしまう公開処刑のお話。
とはいえ、全体的にはほのぼのとしたお話でした。登場人物たちの関係性、彼ら彼女らの間に確かに感じられる、信頼感のようなものがとても心地よかったです。
翔太くんの立ち位置と存在感が好き。このお話そのものは大人たちの物語で、彼はある意味ただの爆弾投下役なのですけれど。でも、というか、なのに、というか、なぜかしっかり真ん中にいる感じ。不思議。
最後、おどけて内心に嘯く「ごくつぶし」という自嘲。もちろん本当にごくつぶしというわけではなくて(雑誌の仕事もしていますし)、でもそこに「元奨励会員」という設定が加わるだけで生じる謎の重み。だいたい大崎善生先生のせい。
よく考えると結構すごい風評被害が発生しているのですけれど、反面、それを冗談にしてしまえる仲というのがしっかり伝わってくる、その空気感がこの作品の最大の魅力だと思います。ほっとできるお話でした。