第38話

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 金太は家で昼ごはんをすませると、メンバーにLINEを送った。

《きょうは大事な話があります。だから、どうしても秘密基地に集まってください。

 集合時間はPM 2:00とします》

 それを受け取った几帳面なノッポは、集合時間の5分前に、真面目なアイコはその少しあとに秘密基地に姿を見せた。

 やはりここも一面雪に覆われ、いつも見ていたあの茶色一色の景色とはまったく違う顔を見せている。小屋の屋根にもしっかりと雪が積もっている。扉の前はノッポが蹴散らしたのか、ほころびた綿のように雪がそそけている。

 だが、昨夜からの雪も小降りになり、いまでは薄日が差すまでになっている。

 おかしなことに、肝心なリーダーである金太、デーモン、ネズミが姿を見せない。

 小屋のなかは外ほどではないが、それでも底冷えはきつい。ノッポは隅に置かれてあった毛布をアイコの膝にかけてやった。

 10分ほど過ぎたときにノッポがアイコにいった。

「それにしても遅かァ」

 ノッポは不服そうなに唇を突き出していう。

「まあ、そんなこともあるかも」

 アイコはあまり気にしてない様子だった。

「うん」ノッポは短く返事をしたあと、「あげようか」フリスクの箱をアイコの前に差し出した。アイコは黙って手のひらを上に向けた。ノッポが白い箱を振ると、錠剤がふたつ転がり出た。

「それより、大事な話ってなにかしら?」

 アイコは首を捻りながらつぶやいた。

「いつものように、そげんたいした話じゃなかろうもん」

「ところで、ノッポは九州に帰るんだってね」

 アイコはノッポのほうを向いて笑った。

「そげんことになった」

「いつ引っ越すの?」

 アイコは毛糸の手袋の上から両手を擦り合わせながら訊く。

「あと1週間したら公立の試験ばあるけん、たぶんそれがすんでからになると思うよ。なんか家んなかが、ばたばたしとって落ち着いて勉強ばできんト」

 ノッポは深刻な顔になっていった。

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