第46話 あとがき―『高校時代の恩師の話』を添えて―

 このページは作者が物語にかけたテーマや想い、そして、読者の皆様への謝辞を述べているだけです。


 なので、「興味がないよっ」って方はぐわぁぁーっと画面を下へスクロールしちゃってください。(笑)


 続きのお話(ショートストーリー)があります。




 この作品を執筆するにあたって、僕は『自己愛』をテーマにしてきました。




 唐突ですが、皆さんは自分が好きですか?僕は自分が好きです。今は。


 そう。昔は違ったのです。




 僕は高校生の時、バレーボール部に所属していました。ありがたいことに一年生の時から先輩に混じってセッターとして試合に出させてもらっていました。


 セッターというのは、ダンっとジャンプしてぼかーーん!!と思いっきりボールを打つ人にふわっとボールをパスする人のことです。(某バレー漫画の影〇風)


 そんなセッターの何が難しいのか。


 何より、責任重大なのです。


 どれだけ、仲間がファインプレーをしても、セッターが機能しなければ、得点できないので、簡単に負けます。


 負ければ反省会をします。


 そこでみんなは口々に「俺があそこで決めておけばー」とか「俺が大事なところでサーブミスしちゃったからだ」と顧みるのですが、セッターである僕のミスで負けたのが火を見るより明らかなのに、気を遣って僕のことを責めないのです。


 その優しさが僕にとって苦痛でした。


 悪いのは僕なのに。


 僕のせいで負けたのに。


 自分の不甲斐なさに、自分のことが嫌いになっていきました。


 すると、バレーボールも何だか楽しくなくなっていきました。


 友達と話していても、暗い気持ちが常に背後に付いてまわっていました。


 こんな気分になるくらいなら、中学から続けてきたバレーボールも辞めてしまおうとまで考えました。


 そんなときです。


 当時の顧問の先生が悩んでいる僕にこう言ってくれました。



「自分は好きか?」



 僕は「いいえ」と答えました。


「気持ちはわかる。うまくいかないときはほんと辛いよな」


 先生は親身になって、僕の話を「うん、うん」と文句の一つも言わずにひたすら聞いてくれました。


 僕が好きなだけ話し終わった後、先生は真っすぐ目を射抜き、口を開いて、


「ゆっくりでいい。ゆっくりでいいから自分を好きになりなさい。自分を信じてみなさい。人のためにこれだけ悩めるのは君の特権であり長所だよ」と。


 それを聞いた僕は、もう少しだけ頑張ってみようとバレーボールを続けます。


 もちろん、漫画やラノベの世界ではないので、すぐに上手くいくなんてことは起こりません。


 粘って粘って粘った高二の夏。先輩の引退試合での出来事です。




 試合はフルセットで、互いのチームが二十点台に乗り、つまり、正念場ということです。




 試合模様としては、エースの点取り合戦といったところです。


 相手のセッターも僕も、レシーブが上がればエースに託すといった運びで、いわゆるセオリー通りの流れでした。


 なので、相手ブロッカーはうちのチームのエースを全員でマークしていたのです。


 それを見て、僕は考えました。


「逆サイドがら空きじゃね?」と。


 バレーボールを知っている方なら、特にセッターの方ならこの発想の危うさを理解できると思います。


「そんなのわかっていても上げる勇気なんてない」と。


 もし、ここでエースではなく、しかも今日それほど調子がいいわけではない選手に上げて得点できなかったら、それこそ僕のミスだ。先輩の顔に泥を塗る行為だ。


 きっと先生の言葉を聞いていなかったら、セオリー通りエースにトスしていたでしょう。


 でも、「自分を信じて」という言の葉が背中を押してくれたのです。


 相手ブロッカーどころか、敵味方、監督、観客全てを含めた人間を欺いた感覚。


 先輩はノーブロックで相手レシーバーを吹き飛ばして見事得点しました。


 すると、仲間たちは心からの笑顔で「ナイストスッ!」と喜んでくれました。


 そして、なにより嬉しかったのは、先生が僕を名前で呼び、親指を立てて「それでいい」と言ってくれたことです。


 そのとき、初めて僕は自分のことが好きになれた気がします。




 唯一心残りがあるとすれば、僕が感謝を伝える前に先生が学校を辞めてしまったことです。


 なので、僕は先生から学んだものを小説という形で表現することにしました。


 先生、ありがとうございました。



 そういうわけで、僕は『自分を好きでいる』、『自分を信じる』ことの素晴らしさを表現するために、『自己愛』をテーマに書かせていただきました。


 なにも、自分を好きになれば必ず成功すると言っているわけではありません。


 自分の人生が誰かのためになっていると実感できるのは一生の財産になるのかなぁと、若者ながらふと思考した所存でございます。



 僕の拙作『未来が見えるヒロインによると、どうやら僕たちは付き合うことになるようです。』のヒロイン、冬知屋紗希は自分が嫌いでしたが、凌太と出会えたことで、自分を好きになっていきました。


 読者の方々も紗希のように自分を好きになるきっかけを見つけられれば、作者としては嬉しい限りです。




 とまあ、風変わりなあとがきをしてみましたが、どうでしたか?


 ラノベをよく読む方なら、これ、あの人気ラノベ作家のオマージュだろと勘づいてるかもしれません。


 ご名答。僕、あの作品大好きなんですよ。(作者は年下好きではあるが、ロリコンではない……本当だよ?)


 いやはや、孤独に下書きを八万字ほど執筆していたときはまさかここまで多くの方に読んでいただけるとは想像もつきませんでした。


 作者は全力を捧げたつもりですが、読者の方々の中にはどこかご不満な点もあったことでしょう。


 ご意見、ご感想をいただければ恐縮です。




 そして、ここからは謝辞です。


 まだまだ、初々しい蒼下銀杏の拙作をお読みいただいた読者の皆様には頭がいくつあっても下げきれません。転生したらまずヒドラになりたいです。


 誠にありがとうございました。


 作品をフォローしてくださった方々。応援ボタンやレビューのお星さまをポチっと押してくださった方々。その上、コメント、レビューの感想まで書いてくださった方々。そして、ツイッターで反応してくださった方々。


 とても励みになりました。


 おかげさまでこれからも執筆活動は続けようと考えております。


 皆様のご期待に応えられるよう、誠心誠意、精進していきます。


 宜しくお願い致します。





 そして、ここからはお知らせじみた宣伝です。


 この作品は一旦、完結扱いにしますが、終わりません。終わらせません。もっと紗希たちの甘々が見たいんじゃぁぁぁ(作者渾身の叫び)


 つまり、第一章が終了し、第二章が幕開けとなるということです。


 予定としては、凌太と紗希の甘々日常編を挟んでから、クレイジー黒野に焦点を当てた話になりそうです。


 多分感動系になります。今作と同じくらいかそれ以上に書いてみたい物語だったので、伏線もいくつかすでに張っています。


 また、新作も出そうかなと企んでおります。こちらはもっとライトなお話にする方向です。


 おそらく、一か月後には投稿していると思います。頑張れ、蒼下!


 ということで、蒼下が続編や新作を投稿したときすぐにわかるように、蒼下銀杏を作者フォローしてほしいのです。


 さすれば、通知であなた方に作品ができたと伝わることになります。


 もちろん。面白い、次も読みたいと思っていただいた方だけで大丈夫です。強制はしません。


 蒼下銀杏は全身全霊で皆様の日常の楽しみの一つとなれるよう努力します。


 

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