第10話 作戦

 明日はお姉ちゃんが札幌へ帰ってしまう。どうも受験を口実にして、私とパパを二人きりの生活に戻してあげようという、応援隊長の任務から札幌へ戻るらしいです。それだけで無い事は、言われなくても私には分かります。大切な人に早く逢いたいはずです。

 久しぶりに会えたのに寂しいな。いや、正確には少し前におばさんの葬儀で会っていたのだけど、楽しいのは、本当に久しぶりだった。



 今、就寝前です。自分の部屋にいます。外は雷と吹雪の音がしています。

 なんか心地いい、すぐ眠れそう。


 そんな時、お姉ちゃんがノックもせずに部屋に入って来た。


「彩夏、起きてる?」


「うん、もうすぐ寝るけど」


「私が居るうちに作戦決行するよ、今から」

「彩夏って、雷、苦手だったよね」


「えっ、別に大丈夫だけど」


「良いから、彩夏は雷苦手なの! それと、今ブラ付けてる?」

「つけていたら外して!」

「それと、彩夏は寝るときは無意識で右下になっているよね、私もそうだけど」

「私が言い出すから、言い終わったら直ぐお父さんの左側に滑り込んで。私は右側にするから」


「えっ、それって…………」


「彩夏は大人の女性だよ。それを教えてやるの」

「さぁ、行くよ」


 応援隊長には逆らえない彩夏でした。


 パパは、夜明け前に、私の身体が大人だと気付いたみたいです。


 気付いてからパパは、寝ていないのが分かりました。


 だって私は眠ったふりをしていたけど、ずっとドキドキして眠れなかったもの。





 今度雷が鳴ったら、一人で頑張れるかな?

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