第8話行三郎


3人で、お寺に入るーー時代は、明治である


だが、この「帝都」は、ある世界の「明治」と少しだけ違うところがある


それはーー時間経過と、年号の違い、、、詳しくは書かないが


「渡部おりん、弦化二年11月二〇日死去」


「渡部行三郎弦化四年七月八日死去」


そう書かれた、お墓の前で手を合わせる

うっすらと、涙が伝う

「さぁ、て、と、二人ともーー陣屋に戻るだろう、朝飯にしよう」



陣屋の中、自分たちの部屋に入る

「お邪魔します」「お邪魔します」


ーーここにいるのは「組織」の人間たちでもあるので、あとで部屋を新たに二人分用意すると、勝之助は言っていた


ーー渡部は、勝之助のことが心配である、倒れないかと、最近少し見てて怖いくらいなのだ、がんばりすぎる



畳の上に、寝ているのはーー六歳と八歳の子供

姉弟だ

「ほら、お六、起きてーーおきなさい、お六――ご飯だよ」

ぐずり、「やだーーあとにするー」とかそういうことをいう、おろくのわきをくすぐる

「おっかさん、やめてーーやめて」とりあえず、起こす


あと一人、「慎吾」の方はどうかというと、慎吾は仕事中のお父さんである、勝之助の仕事の見学をしていたのだ、疲れているのだろう

だがーーおこす

「起きなさい、慎吾ーーおきろ、ばか弟」


自分も、今起きたばっかりなのに、お姉ちゃんであるーーおろくが起こす



表舞台で、戦う華である、滅殺部隊とは別に、裏方とでも呼べる人間は存在する


当主であり、一三代目の「大蔵おおくら」様御一家を中心に


十の槍と、それを頂点に仰ぐ――戦闘部隊、通称「鷹」《タカ》


と、裏方部隊「ぎょう」の二つでできている


ーーこのうち、渡辺というか、累の「夫」であり、子供たちの父親である、勝之助は「行」に当てはまる人物だ


ーー会計というのが、勝之助の役職であり

それでいながら、「学問所」(学校のようなもの)の先生をしている


「「「いただきまーす」」」

それゆえに、多忙であり、数日から、一か月の出張もある


だからーー朝ごはんの時父親のいない風景は、時々あった

「ねぇ、おっかぁ俺ーーおおきくなったら、書物読むから書物かってくれない?」

おろくからのことばである、


そろそろ、8歳学問を教える時期である

「だったら私に任せて」

椎葉が胸を張るーーそしてーー

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