第3話「光」


ーー「肉」とは不思議なものだ、「彼」は思う


生物が存在した証であり、それは生物のものであったはずなのに、「食卓」に並ぶそれは「単なる「栄養」」でしかなくて


生きるために、喰らうなんて言い訳でしかないけど、その言い訳を考えざるを得なかった昔の人はなんて偉かったんだと思う


ーーなぜなら、彼は「猟師」だ


殺すということがどういうことか知っている、クマを、イノシシを、父親がとったそれを昔から好んで食べてきた


ーーどうだ、うまいかーーうん


その父親の誇らしげな笑顔の裏に隠された「残酷」は彼が、「猟師」になって初めて感じたものだ


ーー獲物はおいしい、獲物を川につけ、血抜きし、皮をはぎ、内臓をとり、骨をとり解体し、やっと「食肉」になる


死ぬ直前、まで向かってくる「獲物」がいる

何度も、何度も、かわいそうになるくらいに「罠」に向かって突進する「獲物」がいる、そこに出口はないのに

ーーなんで、そこまでするのか、なぜ、そこまでするのか考えてみた、ああ、きっと

もし喰われるのが俺たち人間だとしてもーー同じように抵抗するだろう、最後の最後力尽きる時まで


ーーだから、彼の武器は「銃」だーーこれは命を奪う銃だ


黒い霧を殺す銃だーーダン、ダン

霧が晴れていく


「よし、これで」4人は、固まる、とりあえず話し合いをしようということになる


銃男は、「現代」九州人で、「村風三郎むらかぜさぶろう

昔は、本州にいた

がりがりのやせ男ではないが、筋肉質であり太っているイメージはない


弓の方の女は「椎葉七しいばななつという、こちらも現代人だ


こちらの方は、少し「茶めかかった黒髪」といったところか

身長も平均


「それじゃ、俺たちからか、っつーても、椎葉さん、であってるんだよな

椎葉さん、この状態なんだと思う」

「さぁ」

肩をすくめる


「とりあえず、俺たちの紹介もさせてくれ」

「そうだ、そうだ」


ーー江戸の元「神職」で、男か女かわかんない感じの年齢不詳

は、「まぁ、おにぎり作ってきたんだけど食べる」

「食べる」

とおにぎりを出し、さっそく椎葉をてなずけている


ーー体は、男か女かでいえば、女である

ただーー感覚として女が、しっくりこない、というのはある

体の感覚が違うとでもいえばいいのか?声が自分の声はもっと低い気がする

体毛がこんなに、薄いわけないと思う

胸はーーもとより絶壁だから気にしたことはないが


ーー「最後は俺だな」


彼は、「人」ではなかったーー正確に言えば「管理人」とでも呼べるような存在だったのだ

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