第19話 学園4大女王

王都にやってきて、一代で成功を収めた豪商。

今や、王都の流通の8割に関わると言われる。

人格的にも問題はなく、一般市民の人気も高い。


その娘、ルピナス。

父に劣らぬ……どころか、それを上回る商才を持ち、都市計画や戦線の補給等、重要な案件は直接王から相談される。

ルピナスを見かけた王が、呼び止め、世間話をする……ルピナスはそんな存在だ。

その美貌も有り、学園4大女王に数えられている。

決して、一般市民ではない。


他のメンバーも、雲の上の存在。


ルシフは、もともと相談役となる予定だったので良いとしても。


言うに及ばず、リリー王女。

王貴血者アークにして、第一王位継承者。

そして、学園の学業序列、武闘序列、共に1位。

そして生徒会長。


レオ。

リリー王女に次ぐ人気。

使ものの、抜群の身体能力と剣技で、学園上位の武闘序列。

運動部の試合に助っ人として入ると、敵も味方も非常に盛り上がる。


スピカ。

レオに次ぐ人気。

回復と補助魔法しか使えないものの、複数属性の第陸階位シクスを操る。

賤混者ハーフならではの身体能力もあり、武闘序列も相当高い。

優しい性格、生徒会役員というのもあって、非常に高い人気だ。


そして、男なので4大女王といった称号は無いものの。

リブラ。

生徒会書記、である事は皆認識しているが、実質は副会長、または生徒会長と思われている。

リリー王女も十分優秀なのだが、リブラが優秀過ぎるのだ。

生徒会長の最大の偉業は、リブラを登用した事、そう言う者もいる。

自身から出る蔦、そして植物を自在に操る能力により、武闘序列は高い。


シリウス。

見た目の怖さから近付く者は少ないが、その実力は本物。

魔法を使えないハンデは感じさせない。

高い身体能力と技量、それだけで武闘序列2位に位置する。

地味に、学業序列も相当高い。


ディアナは思う。

明らかに自分は場違いだ。

元々、唯一の部員だったにも関わらず……


「さて、まず何をするか……分かっているわね?」


リリーが尋ねる。


「あの……部長は王女殿下にお譲り──」


「それはディアナの役目でしょ。私は生徒会長をやってるのよ?」


ディアナの提言を、リリーが封殺。


となると、部活対抗戦……本当に出るのか……私も参加だろうか……

ディアナが寒気を覚える。


「そうですね、史学部らしく、さっきルシフさんが言ってた事を議論してみましょうか。ルシフさん、先程、近代史で間違えたと言うのは?」


「ん?ああ。勇者の最後、だな」


リブラの質問に、ルシフが答える。


「勇者の最後、ですか?有名な話ですし、議論の余地は無い筈ですが」


ディアナが小首を傾げ、


「俺が故郷で、姉弟子から聞いた話は──勇者は、魔王に勝利し、故郷へ帰った、と。だから、勇者はまだ生きてると思ってたんだよ」


「ちょっと、ルシフ……流石に、その勘違いは酷いわ。歴史は全て姉弟子さんから?色々覚え直した方が──あれ?」


苦笑してツッコミを入れるリリー。

ふと、ディアナの様子に気付く。


「勇者が……でも……なら……」


「ディアナ?」


リリーが小首を傾げる。

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