第10話 軽音部

「リブラ!貴方こそ、生徒会の職務はどうしたの?!」


「ん、リブラも生徒会なのか?」


「ああ、私は書記、スピカは会計を担当しています。本来、賤混者ハーフは生徒会に入らないのですが、なかなか破天荒な会長です」


リブラが、苦笑する。


「有能な者を適切な地位につける、当然の事よ!」


「……速記が得意な事は認めますよ」


ガサッ


リブラから、複数の蔦が伸びる。

なるほど、鉛筆を沢山持てるのか。


「しかし、私の職務は書記、今日は会議も無いし、やる事は無い筈ですが」


「色々決済が必要な事案が溜まっているから、貴方に任せると書置き残してきたわ!」


「書記にふらないで貰えますかね??!せめて副会長にふってください!」


「副会長は3年勢力でしょ!敵勢力に借りを作る訳にはいかないわ!」


「勝手に学年別に対立させないで貰えますかね??!」


リリーは深々と溜め息をつくと、


「貴方、そんな事を言ってて良いの?次期生徒会選……副会長の復権も有り得る……次も勝てる保証は無いのよ?」


「副会長は3年なので、来年は卒業していますが……」


スピカが申し訳無さそうに言う。


「良く状況は分からないが。王女殿下もルシフと遊びたいのであれば、一緒に来ては如何か?生徒会の仕事は、明日では間に合わぬのか?」


シリウスがぽつりと言う。

そういう話じゃない。


「そうね……リブラ、スピカ、明日頑張るわよ!今日はみんなでルシフを歓迎しましょう」


それで良いのか?!


「……分かりました」


リブラが溜め息をつく。

実はしょっちゅう無茶振りされているのだろうか。


「え、わ、私もですかああああああ?!」


スピカが叫ぶ。

スピカは初体験?


……


ルシフは、ふと、今のやり取りを思い返し、


「王女殿下?」


「はい?」


ルシフの呟きに、リリーが小首を傾げ。



この時期、そろそろ夏が近い。

早くも、暑さを感じさせる日差しが、窓から差し込み。



「お前、王貴血者アークじゃないかあああああああああああ!」



ルシフの叫びが廊下に響き渡った。

血の相性は最悪。

そして、立場的にも、お持ち帰りできる存在ではない。


つまり、ルシフが作る予定の学園ハーレムに、最も遠い距離にいる存在であった。


--


「此処が音楽室、授業中でもないのに音楽が響いているのは、補習の生徒かしらね」


「あの、吹奏楽部だと思います」


リリーの説明を、スピカが補足する。


「こちらは3年の教室が並ぶ階ね。ほら、放課後なのに残って勉強……1年との戦いに備えているのね。負けられないわ」


「別に学年別対抗戦は無いですし、ただの補習じゃないですかね?自習なら、図書館の自習室を使うでしょう」


リブラのツッコミ。


「こっちが武道館、運動部が集まってるわ。文化館には錬金術部、古代魔術部、人形部……文化系の部活をしているの」


「部活か、得意の分野を更に伸ばすには都合が良いな」


ルシフは、特に得意戦法というものを持たない。

なので、特に入りたい部活というものは無い。

軽音部に入れば女の子にモテるだろうか、その程度の認識だ。

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