凪る嵐に光明を

雪風

凪編 第壱幕 八大地獄へいらっしゃい

01 見覚えのない洞窟



水たまりにつゆが一滴響きそれと同じ音がそこら1帯から聞こえてくる。ピチャピチャとぬるいお湯が”ぼく”の背中を叩くように落ちてくる。それにここ1帯がひどく蒸し暑い。

目を覚まし辺りを見渡すが、知らない洞窟に居た。


「・・・・。ここは何処?」


苔か何かわからないけども辺りを照らしていて明るく洞窟が見渡せる。(ヒカリゴケとかいうやつかな?緑色に光ってるし)

目を擦りもう一度辺りを見渡す。


天井から水滴が地面に向かって落ちてゆく、それ以外は特に何もなく通路はすぐに曲がっているため先が見えない。


「・・・・」


目を凝らしよく洞窟を見るがやはり状況がよく掴めない。


「・・・・暑い、ブレザー脱ご」

流石に冬服では耐えきれずブレザーやセーター・マフラーを脱ぎブラウスの袖を折る。


そうだ、スマホスマホと思い鞄からスマホを取り出す・・が

「えっ?・・・・嘘」


なんと目にしたのは圏外と書いてある字であった。(なんてこった)


「どうしよう、どうしよう」ぼくは焦る、洞窟なんて初めてだし下手に動くと遭難しかねない。


いや、もう遭難してるんだ。


落ち着け、落ち着くんだぼく。


「ハー フー」ぼくは深呼吸をして落ち着く。


「ズッ」落ち着いたとたん頭から電気が走る。

頭痛コレも踏まえて思い出そう。


「よし、ちゃんと思いだせ、なんでぼくがここにいるのか探るために」


3時間前 PM4:00


「ん〜、学校終わったー!」


ぼく、火野ひの なぎは伸びをしながら駅へ向かっていた。

時間が時間だけに家に帰る学生が多くいる。(自分もだけど)


「もう、凪ったら、はしたないことして」とぼくの親友、海渡みとは言う。


「海渡はホントにオカンというかお姉ちゃんというか」と思ったことを口に出す。


「もう、私は凪にちゃんとしてほしいの〜!」


「ハイハイ」とぼくは流す。


「絶対聞いてないでしょ、凪は」


その後もくだらない話しをしながら電車に乗り。約20分電車に揺られる。


「まもなく〜、終点富士、富士です」


おなじみの電車の放送が流れて電車は目的地に着く。


「じゃぁまた明日☆」と言い残して海渡は自転車に跨り信号を渡って行く。


「うん、またねー」ぼくは夕日に照らされながら町へと消えていく海渡に軽く手を振る。


自分はというと朝が雨だったためにバスで来たので歩いて帰る。


雨は降っていなかったので歩いて帰ることにした。この頃のぼくは、この後何が起こるかも知らずに・・・。

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