【短編】二人だけの秘密の関係

咲倉なこ

第1話



私には義理の弟がいる。





うちの親は私が小さい頃に離婚。



それからお母さんは一生懸命働きながら私を育ててくれて。



3年前に再婚した。



その再婚相手には連れ子がいて、今は家族4人で一緒に暮らしている。





一見して普通の家族だけど、私達兄弟には秘密がある。







トントン。




部屋で勉強をしていると扉をノックする音が聞こえた。





「入ってもいい?」



「どうぞ」





扉を開けると直ぐに私に向かって飛びかかってくる晄。



この子が私の弟であり、私の一番大切な人。





晄のあまりの勢いに、バランスを崩しそうになってすぐ横のベットに倒れ込んだ。



「ちょっといきなり何?」



びっくりして少し怒り口調でそう言うと、


「えー、華恋ちゃん冷たい」


と甘えた声を出す晄。





「勉強中だったの」



「せっかく2人きりなのに?」



今日はお父さんは出張でお母さんは夜勤だから、晄と二人きりだったりする。





「だって、テスト近いんだもん」



「俺が教えてあげよっか?」



「えー、晄に教えてもらうようになったら終わりだよ」



「マジでひどいんだけど!」




そう言いながら、ほっぺたを膨らませて怒る晄。



こんな言い合いをしていてもらちが明かない。



私の上に乗っている晄を押して、ベッドから起き上がろうとした。



だけど晄の力で全然身体が動かない。





「もう力では俺に勝てないよ」



マジメな顔でそう吐く晄。





「生意気」



「なんとでも言ってよ」



晄は余裕そうに言いながら、顔がだんだんと近づいてきて。



唇が触れるギリギリのところで止まった。





晄は私の目を見ながらニコニコしてる。





「華恋ちゃん、好き。大好き」





晄はいつもド直球に気持ちを伝えてくれて。



それがすごく嬉しくて、ドキドキする。





お互い見つめ合っていると、かすかに階段を上ってくる足音が聞こえて。



晄と二人、顔を見合わせて急いで距離をとった。





「華恋、扉開けっ放しじゃない…って晄ちゃんいたの?ホント仲いいわね」



「宿題で分からないところがあったから」



晄はとっさに誤魔化した。



「へー、そう?ふーん?」





「…お母さん。今日夜勤じゃなかった?」



いる気配全然してなかったけど…。



「シフト変わったの。

それより次のシフト希望出したいから、三者面談の日、分かったらすぐ教えてね」



お母さんはそう言いって1階へ降りて行った。





晄と顔を見合わせて、ほっと息をつく。



晄は扉を閉めながら



「危なかったね」



なんて言って、ちっともそう思ってなさそうな顔で笑って、



「ねー、続きしよ?」



って、徐々に距離を詰めてくる。





「何言ってるの。お母さんいるんだよ?」


「いるね」



「バレたらどうするの?」


「バレないよ。ドア閉めたし」





そういう問題じゃなくって。



「また急に入ってきたらどうすんの?」





「その時はその時だよ」



晄はそう言いって急に顔が近づいてきたと思ったら、一瞬で唇を塞がれた。



その瞬間、晄の香りでいっぱいになって、頭がくらくらする。



思考が停止しそう。





「華恋ちゃんだってホントは、俺とイチャイチャしたいんでしょ?」



「そんなこと…「分かるよ」



私の言葉にかぶせて、また唇を重ねてくる晄。



ほらまた何も考えられなくなる。





弟のクセにいつも生意気なんだから。



そんな晄に、いつも私の気持ちはかき乱されてばっかり。





「晄、大好きだよ」





「うん、知ってる!」











.END

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【短編】二人だけの秘密の関係 咲倉なこ @sakura-nako

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