第41話 41話もの話数をかけて…遂に東大受験の本格的な授業が始動する!

八木教授の意外な回答に田中は疑問を浮かべる。


田中「なんで、最終的に結果を出すのはBくんなんですか?」


八木教授「それは、挫折した時に立ち直れるかどうかだ。Aくんの場合、順調に進んでた分、挫折した時のダメージがでかすぎて立ち直れない可能性が高い。それに対して、Bくんは、挫折した時のダメージが少ない分、この挫折を乗り越えられる可能性が高い」


田中「まあ、確かにAくんの立場で挫折したら立ち直れなそうですけど」


八木教授「受験に限らず、この先、社会に出た時、挫折というものは、何度も味わう事になるものだ。大事なのは、この挫折を乗り越える事、挫折を乗り越えて成長する事。だから、乱暴なやり方だったが、この生中継という場を材料にして、田中に挫折をしてもらい立ち直り成長する事を教え込みたかった。」


八木教授の熱弁に田中は耳を傾け、あの時の事は、計画通りだと言った八木教授の言葉の真意を理解した。


八木教授「挫折を乗り越えて、田中。お前は、強くなった。遠回りしたやり方だったが、この貴重な経験を受験に限らず、この先、生きていく長い人生の中の糧にしてほしい。必ず、役に立つときが来るはずだ」


田中「八木教授の計画の真意を聞いて、安心しました。てか、計画とはいえ、演技にしては上手すぎますよ!」


笑いだす田中の顔を見て、目を背ける八木教授。


田中「え?演技とかじゃなかったんですか?」


田中は八木教授の反応を見て、目をキョトンとさせる。


八木教授「過ぎた事だし、細かい事は気にすんな。それより、基盤は出来たわけだし、東大受験に向けて本格的に動き出すとしよう」


八木教授は、部屋の中に散乱しているカップラーメンとかのゴミ山の中を手探りで漁って、数冊の分厚い本を取り出して田中に見せる。


八木教授「これは、元糞たぬき上司から借りた、東大の過去問集だ。これから、東大受験に向けて、この過去問の解き方を八木流の授業できっちり教え込んでやる」


田中「なんか、初めて八木教授が真面目に東大受験に向けて授業するように感じるのですが。」


八木教授「そ、そうか。結構、最初から真面目に授業してたけど」


田中「いや、最初の授業は、桜を見る会がどうたらこうたらってやつです」


八木教授「あ、そういやそうだったな。まあ、これまでの授業は、この東大受験に向けての本格的な授業をするための姿勢作りだしな。はは」


田中「物は言いようってやつですね」


八木教授「細かい事はツッコむな!いざ!東大合格に向けて、本格始動だ!!」


田中「はい!よろしくお願いします!」


田中は力強く返事をした。


八木教授の東大過去問を使った授業は、時に真面目で、時にふざけた感じで、進んで行った。


田中は絶対東大に合格してやるという決意を胸に、八木教授の八木流東大合格授業を真剣に時にふざけて聞いていた。


つづく

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