転がる大きな岩

石島修治

才能は消耗品

私は大きな岩だった。

大きさは才能だった。

そこにメディアという一級河川ができた。


水の流れは速くて、しかも激しくて、

私は、たちどころに頭をぶつけて削られた。

そんな私でも、

時代の潮流に乗れたからなのか、

どんどんと私を押す力も強くなった。


痛い……。怖い……。


「止まりたい!」と願っても、

もう戻れない。止まれない。

私は凡庸な岩へと成り下がった。

そこら辺に転がっている岩のほうが、

よっぽど立派に見えるくらいだ。


私は、流される。ただただ、流される。


たどり着いた場所は、砂利のたまり場。

みんな貧相なサイズばかりだった。

そう感じた私がもっとも貧相だった。


ここに、水の流れはもうない。

私は、もう流されたくない。


ふと目を転じると、

上流の河川から、

巨大な岩が転がってくるのが見えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転がる大きな岩 石島修治 @ishizimashuzi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ