第32話:奴隷商の息子は牛を買う②
おっぱいに腕を引かれて牛を見に行くと、すでに骨だけになりつつあった。
なんとも見事に肉を削いだもんだ。
意外とこの娘たちは優秀だぞ。
「見事なもんだな。誰がやったんだ?」
奴隷たちはおずおずと手をあげる。マリレーネが、ハイハイハイ!ウチウチとうるさい。
「みんなよくやった。今夜はみんなでバーベキューをしよう。アルノルト、バーベキューの用意だ!」
「あの、バーベキューとは……」
「なんだ、知らないのか?」
俺は炭と網とトングを用意させた。
簡易のバーベキューコンロも作ると、奴隷たちはキャッキャと喜びながら手伝ってくれる。
「パオリーアとマリレーネは下ごしらえをしてくれるか?」
「はい、教えてください」
巨乳の二人はおっぱいを揺らして、素直に分からないことは分からないと言って教えてくださいと頭を下げる。
「いいよ。教えてあげよう。アルノルトには教えてやらないぞ」
「そ、そんなニート様ぁー!私にも教えてください」
アルノルトは情けない声を出す。
とりあえず、親父も誘ってみてくれと頼み、塩と胡椒を持ってくるように言った。
デルトにニンニクなど薬味を頼むと、すぐにもってきてくれた。
この世界の調味料は、元いた世界のものと大差ない。
むしろ精製されすぎていないのでおいしいとさえ思う。
醤油がないのが残念だが焼肉のタレに近い味のタレもできた。
コラウスに頼んだレタスに似た野菜が来る。
包丁さばきはアーヴィアがなかなかのもんだ。
「アーヴィアは包丁を使い慣れているが、料理の経験があるのか?」
「はい。家では小さな弟がいたので、よく手伝っていました」
マリレーネが負けじと包丁を持つ。
待て、待て、お前は危ないから刃物を持つな!
「マリレーネはタンを持ってきてくれ」
「タンってちょっと気持ち悪い牛の舌ですよね。すぐに持ってきます」
他の奴隷たちの数人がマリレーネについていく。
俺が一人一人指示を出さなくても、三人の奴隷はうまく役割を振り、共同でやっている。
エルフとの溝はまだ解消されていないが、エルフも数人がマリレーネの後ろを行っている。
何だかんだと、マリレーネはエルフたちにも一目置かれているようだ。
パオリーアは、俺のそばに来てジッと見つめてくる。
な、なんだろ? この視線。熱いまなざし……
「私にも何か指示をいただければ」
そ、そう言うことか! 思わず勘違いしてしまったよ。
「パオリーアは俺のそばにいろ」
「はいっ!」
満面の笑みで俺に引っ付くように立つ。近い、近い……
でも、可愛いな、おい!
◆
網の上に肉を置いていく。それを見た奴隷たちも、自分たちで肉を焼いていく。
人数が多いため、バーベキュー台を四箇所作った。
親父が、アルノルトと一緒に庭へ出てきた。
奴隷たちは一斉に膝を地面に付け、胸に手を当てて礼を取る。
「よいよい、今日は礼を取らなくてもいいから。好きに肉を焼きなさい」
親父、分かってるじゃないか! 空気の読める親父、さすが俺の親だ。本当の親ではないけど、今の俺の肉体にはこの親父の血も流れている。
「肉をみんなで焼くなど初めてじゃな。奴隷たちも私たちを気にせずに食べれば良い」
「「ありがとうございます」」
奴隷たちも、アルノルトたちも、肉を焼き、タレにつけて食べる。
シンプルだが、これが一番うまい!牛肉も久しぶりに食べた。
マリレーネにタンをカットさせると厚すぎたので、アーヴィアに頼んで薄く切ってもらう。
この娘は、意外と料理が得意そうだ。それにひきかえ、獅子娘は食い意地だけは張っている。
ふと見ると、マリレーネはヨダレを垂らしそうになりながら、肉が焼けるのを凝視している。
「ほれ、マリレーネ焼けたからこれを食え」
俺はレモンに似た果実の果汁を垂らしてマリレーネに取り分ける。
アーヴィアも、真似してレモン汁をかける。この世界ではこの酸っぱい系果実がレモンってことでいいよ、同じ味だし。
「うわっ、これおいしいです! 牛の舌ってこんなにうまいんだ!」
「マリちゃん、そんなに何枚も一度に口に入れたら喉に詰まっちゃうよ」
「大丈夫だよ、うぐっ、ゲホゲホ」
ゴホゴホ咳き込みながら、さらにタンを二、三枚をまとめて口の中へ。
まだ食う気かい!
「肉は逃げない。ゆっくり噛んで食べろ」
「はい……申し訳ありません」
デルトが摘んだこの世界のレタスを、焼いた肉に巻いて食べる。
真似をして奴隷たちも同じことをする。
バーベキューは初めてだから、食べ方がわからないんだろう。
親父も俺がするのを見てから食べている。うん、みんなえらい、えらい。
でも自由に食べた方が美味しいよ。
「ニート様、こんなおいしい肉を食べたの初めてだよ。ありがとうございますっ!」
マリレーネが肉を飲み込むと、感激しているのか目がウルウルしている。
よっぽど肉が好きなんだな。だから、そんなにおっぱいが大きいのかな?
「さあ、肉はまだある。食べられるだけ食べていいぞ!」
奴隷たちは、返事すると思い思いに肉を焼いて食べた。
肉のストックはまだ当分あるだろう。しっかりと、筋肉を育てようと。
「ニート様。今夜のご奉仕は誰か要望はありますか?」
「今夜……俺はいいよ。奴隷の中で来たいという子がいたら、その子で。いなかったら、別に今夜はいらないから」
「わかりました。奴隷たちに尋ねてみましょう」
結局、俺はエールまで飲みまくって酔いつぶれてしまい、アーヴィアとパオリーアが介抱してくれたという……申し訳ない。
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