第23話:奴隷たちの下着採寸


 今日、私は旦那様に下着を買っていただいた。


 旦那様っていうのは、下着屋の女将さんがニート様のことをそう呼んでいたから、私もそう呼ぶことにしたの。

 だって、旦那様って呼び方素敵ですよね? 私の旦那様って言ってみたいって思ったんです。


 ダバオの街を歩いている時、旦那様はときどき振り返って私が逃げていないかって確認されていましたが、私は旦那様のお買い物のお手伝いに呼んでいただけたことが嬉しくて、逃げるなんて滅相もありません。


 しかも、奴隷を売るお店では旦那様が奴隷の女の子が檻に入れられているのを見て、とても怒ってくださって涙が止まらないほど感動しました。

 私はこの旦那様に一生お仕えしたいと思ったのです。


 街は華やかで賑やかで、街の女の人たちは魅力的で……

 旦那様もキョロキョロと女の子のおっぱいやお尻ばかりを見ていて、私はヤキモチを妬いてしまいました。

 私のおっぱいやお尻ではご満足いただけないのは理解しています。

 でも、大きなおっぱいが好きみたいなので、私も頑張っておっぱいが大きくなるように頑張ろうと思います。


 実は、下着屋さんに旦那様が連れて行ってくださいました。

 どうも奴隷たちのパンツを買ってくださるらしいのです。

 今まで下着は簡単な布のものしかけたことがなくて、店の女将さんがいろいろと教えてくださいました。

 その時に、おっぱいを大きくするマッサージがあるからって、親切に教えてくださって、それを毎日欠かさずしようって思っています。


 女の子はお腹を冷やしたらダメなんだそうで、おへそが隠れるほどのパンツを勧めてくれました。

 しかし、私の大きな尻尾が邪魔で腰まで上がらなかったんです。

 それに、どうせ身に着けるのなら旦那様のお好みの物がいいなって思って、恥ずかしいんですが勇気を出してどんなパンツがお好きか尋ねました。


「紐パン!」


 旦那様は、紐パンと即座に答えてくださいました。

 少し血走った目をされたので、ちょっぴり怖かったのですが旦那様がよろこんでくださるのであればと、女将さんに紐パンを選んでいただきました。


 パンツは横で紐で結ぶタイプで、女の子らしくて可愛いから人気の商品だと言ってました。

 布面積が小さければ小さいほど、男の人は喜ぶんだそうです。


 旦那様も同じようなことをおっしゃっていて、旦那様は、女の子の下着にもお詳しいんだなって感心しました。

 履いてみると、ちょうどパンツの位置が尻尾の下なので尻尾が邪魔になりませんでした。


 お尻の割れ目が半分ほど見えているほうがチャーミングだと女将さんが褒めてくださって、きっと旦那様もお喜びになりますよだって。

 とても恥ずかしかったのですが、喜んでいただけるのならと私は買っていただくことにしました。

 帰りはうれしくって、ぎゅっと胸に抱いて大切に落とさないように持って帰りました。


「そんなに握りしめなくてもったりしないよ」


 旦那様は、そうおっしゃいましたがスリや盗賊に盗られたらと思うと、気が抜けません。

 だから、お部屋に戻った時はホッとして涙が出てしまいました。

 お部屋の女の子たちが、何があったのって心配してくれたんですが、嬉し泣きだって言って買っていただいたパンツを見せたのです。


「わぁ、いいなぁ」


 みんなの目が輝いて、羨ましそうに私を見てくれました。

 みんなの分は明日下着屋さんが来て、旦那様が買ってくださると教えてあげるとわぁって盛り上がりました。

 ブラとパンツを身につけたら、みんな可愛いって言ってくれたので嬉しかったけど、旦那様には見ていただける機会が来るのでしょうか?

 きっと来ると思うんです。


 だって、私聞いちゃったんです。アルノルトさんと旦那様がお話しされていたのを。


「下着は脱がせる楽しみがある!」


 旦那様は、本当に嬉しそうに笑顔でそう言っていたので、きっと私のパンツも脱がせて楽しみたいと思っておいでです。

 私はいつでも覚悟はできています。だから、さっそく昨夜もブラとパンツを身につけて待っていました。


「パオ姉ちゃん、おっぱい大きくなった!」


「パオ姉ちゃんのおっぱい、すごくきれい!」


 女の子たちが、私がブラを着けると驚いていましたが、私もビックリです。

 乳房が持ち上げられて強調されました。

 だから、自分でも綺麗な体だなって自信が持てました。あっ、ブラっていうのは乳房に当てる布のことです。

 女将さんは胸当てって言っていましたが、旦那様がブラって言っていたので私も女将さんもブラって言うようにしました。

 女将さんが、おっぱいの形をよくするので、寝る時以外は着けておいたほうがいいよって教えてくださいました。

 みんなでおっぱいマッサージをして楽しかったです。


「パオリーア姉さんは、そんなに大きい胸してるのに、マッサージいる?」


 他の子はそう言ってくれるし、自分でも大きいとは思います。

 しかし、旦那様が気に入ってくださっているか不安なのです。

 おっぱいが大きくなる秘伝のマッサージを教えてくださり女将さんには感謝です。


 その女将さんは、今ちょうどお屋敷にお越しになっています。

 やさしそうなふくよかな女性で、とても明るくていい人です。


「へぇ、楽しみ。私も綺麗なおっぱいになるかな?」


 黙って聞いていた同じ部屋の女の子が、私にそう聞いてきました。


「正直よくわからないけど大丈夫よ」


「でも、ニート様って脱がせるために履かせるなんて、変わってる人だね」


「……うん。でも、私は旦那様が奴隷思いな一面を見ちゃったから、本当はいい人なんじゃないかって思ってる」


 これは本心ですが、またいつお怒りになって鞭打たれるか不安な気持ちもあります。

 でも、もうそんなことはないのではないかと淡い期待を持っています。

 だって、最近はいつも手にしていた鞭を持っていないのですもの。


「パオ姉ちゃんは、ニート様のことが好きなんだ……」


「あっ、そ、そんな……もーどうして、そうなっちゃうわけっ?」


「あはは、顔が真っ赤になってるよー!」



 ◆


 奴隷たちは、一階の大広間に全員が集められて並ばされました。

 旦那様も、女将さんの隣に立って見守ってくださいます。

 私は昨日買っていただいたので、並ばずに入り口の横に立っていたら、旦那様から採寸の手伝いのお役目をいただきました。


 一列に並んだ奴隷の女の子たちは、何をされるのかと戦々恐々としています。

 震えている女の子もいました。

 エルフの娘たちも、床にひれ伏してじっとしていました。


 たまりり兼ねて、私はその場で貫頭衣チュニックを脱ぎました。


 女将さんが、まぁっ!って驚かれたのですが、みんなも私の下着姿を見てワーッてビックリしていました。


「みんな聞いて! 今日は私が身につけているこのブラとパンツの採寸をするの。みんなの体型に合ったものをニート様がご用意してくださるので、怖がらなくていいよ。だから、順番がきたら服を脱いで裸になってください」


 私は、みんなに向かって言いました。少しでも安心して欲しくて、衝動的に脱ぎましたが効果てきめんでした。


「な、なんでパオ姉ちゃんだけ先に着てんねん!」


 マリレーネがいつもの口調で抗議していたけど、まだ順番も来ていないのに真っ先に裸になっていました。

 きっと早く着てみたいって思ったのだと思います。


 以前の旦那様は、マリレーネの不遜な態度に怒って毎日殴ったり蹴ったり、何日も食事を抜いたりしていたのに、ここ二ヶ月ほどはマリレーネにとても優しいんです。

 今も、旦那様はマリレーネが服を脱いだら、ずっとおっぱいを凝視されています。

 やっぱり、おっぱいが大好きなのですね。


 女将さんが、一人ずつ丁寧に胸の大きさやお尻の大きさを紙に書いていました。


「はい、次の子。お名前は? じゃぁ、少し脇を広げて……そうそう」


 女将さんが目盛りが入った紐を胸の下と、胸の一番高いところを測って、何やら紙に書いています。

 エルフは尻尾がないので、お尻の大きさを測るだけでしたが、獣人族は尻尾の位置なども測っていました。

 獣人属の下着を作るのって大変そうです。


 旦那様はその様子を、黙って見ていたのですが、目が真っ赤です。ゴミでも入ったのでしょうか?

 もし、痛いようならふぅふぅと瞳に息を吹きかけて差し上げるのに。


「ひぁっ! 冷たい! あははは、脇はやめてくれよ、くすぐったいわ!」


 相変わらずマリレーネは賑やかです。旦那様の前でもいつも普段通りにしていて、すごいな。


「おい、マリレーネ。うるさいぞ!」


 さすがに旦那様も見かねて叱りつけていましたが、以前のように足蹴にしたりせず、シュンとしたマリレーネを見てニコニコしています。

 最近は、旦那様が大きな声を出しても、叩いたりしませんが、後でアルノルトさんにこっぴどく叱られるので、みんなはおとなしく順番を待っています。

 騒がしいのはマリレーネくらいですね。


 全員の採寸が終わったところで、アルノルトさんが部屋に戻れと命じられました。

 私も帰ろうとしたら、旦那様が呼び止めてくださって、


「パオリーア……助かったぞ。し、下着姿がとても……に、似合ってた……」


 鼻息が荒くて何を言っているのかわかりませんでしたが、私のことを褒めてくださっているのは伝わりました。


「ゆっくりと見ていただきたいです。いつでもお待ちしています」


 勇気を出して旦那様に言えたので、私は自分を褒めてあげたいです。

 奴隷たちに下着が届く日が、今から待ち遠しいです。

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