運命の糸に手繰り寄せられた三人が、過去の因果を焼き切る炎を得るための旅

因果応報という言葉がある。
けれど、因果がもたらすのは、何も報いだけじゃない。
過去に囚われ続けれる者は、前も足元も上手く見ることができなくなり、進む道を見失ってしまう。

この物語は、奇妙な縁で知り合った三人が旅の道連れとなり、行き着いた先でそれぞれの因果と向き合い乗り越える、人間ドラマメインのファンタジー作品です。

精緻な筆致で描き出される世界観は、恐ろしい戦争の爪痕や教会内の宗派の対立など、ダークな雰囲気をたたえています。
ストーリー自体は、とある目的地に向かって旅をするというシンプルなものですが、登場人物それぞれの過去や心の瑕疵が絶妙に絡んできて、展開に奥行きと深みを生んでいます。

一人では見つけられない道であっても、二人なら、三人なら、因果を断ち切って前へ進むための灯火たる炎を得られるかもしれない。
これまであった心の闇が綺麗に晴れ、温かな気持ちが残る、素晴らしい読後感のラストでした。

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