第19話 無の境地に達した者だけが得る喜び…。

 よく、あなたは、こういうタイプですね、とか。

 あなたが考えているのは、きっと、こうに違いない、とか。

 あなたが言いたいのは、絶対、これでしょ?

 面と向かって断定的な決めつけをされる。


 しかし、その実、そういうときに限って、自分は何も考えていないことが多い。

 的を得ていない批評は、自分の評価を落とすだけでなく、批評だけが空を切る。


 むかし、20年以上は前のことですが、大和市は鶴間駅の近くに、車体工業という、いすゞの下請け工場があった。大学の夏期休暇を利用して、約2ヶ月くらいの期間工のアルバイトをしたのですが、その帰り道に立ち寄った、スナックで、ある感銘を受けた。


 そこのママさんに、ずばり自分の性格を言い当てられたのだ。

 自分の心の内面をずばり言い当てられたのは、後にも先にも、この1回、こっきりだけだったので、とても驚いた記憶があります。


 あなたは、こういう性格をしている。

 だから、こういう時は気をつけなさいとか。

 こういう性格は直した方がいいとか、お話は多岐にわたったと思う。


 飲み屋の女性、特にママさんクラスになると、やはりそれなりに人生経験、場数を踏んでいますので、話していてとても惹き込まれる魅力がありますよね。


 彼女たちの前でどんなに自分を大きく見せたところで、隠し事や嘘を貫き通すことは容易ではなく、その眼力たるや人の裏側を見る目は、確かに営業と同じくらい侮れないものがある。


 私は表面上、結構、ずぼらに見られがちですが、その反面、とても神経質で、ナイーブな面も持ち合わせている。


 一見、初対面の相手には、ひょうきん者に見られがちですが、実は気むずかしい一面もあり、相手はそういう特性を知ってか知らずか、心の防御戦を踏み越えて、土足で自分の懐に飛び込んでくることが多い。


 自分は、そういう意味では、おしゃべりしやすい相手として認識されるようで、掴み所のない性格が効を成しているのかなと思う。


 インテリの人に多く見られますが、固定観念の強いタイプは、得てして相手の反応を無視して理論を振りかざす傾向が強く、自分の思い込みや先入観で対話することが多い。


 自分の抱いた第一印象、先入観で近付いてきて、勝手な理論を振りかざすまではいいとしても、挙げ句、誤爆することがよくあるので、扱いに困ってしまう。多くは的外れな見解で、物事の表層しか捉えていないことが多い。


 私の性格は、自分でも営業職に適していると思うくらい、何を考えているかよくわからないところが長所であり、普段は、ポーカーフェイスなので、余程のことがない限り、自分の考えを読まれることが少ない。俗に言う、玉虫色の性格をしているのだと思う。


 よく、うなぎのように掴み所がないって、昔は言われましたが、これはヤクザや、マフィア関係の本をたくさん読んだ影響が顕著に表れているのだと思います。大好きな映画、【ゴッド・ファーザー】に拠るところが大きいのでしょう。


 極道は、どんな場面でも、相手に心の内を読まれてはいけない。

 チンピラ、三下は、年中、怒っているようなイメージが強いですが、マフィアや極道、それも親分(ドン)クラスになると、重大な局面やピンチの場面で敵対する相手組織のドンと対座する機会も多く、ポーカーフェイスを崩せないのが常である。


 もしも、ヤクザ屋さんが自分の心の内を見透かされる展開ばかりが続くようなら、相手に付け入る隙を与えるばかりでなく、先手必勝の機会を相手に奪われてしまい、つまりは死の扉(開かずの間、禁忌の扉)を、自ら、こじ開けてしまうことになる。


 自分を語らないメリットは確かにあると思う。男は黙って、サッポロビールというように、黙することが時に有効であることは言わずもがな、だ。


 多くを語ることにより評価を落とすくらいなら、黙していた方がいいに決まっている。


 たしかに黙っているデメリットは否定できないが、要らぬことを喋り、あらぬ誤解を受けるくらいなら、諸刃の剣を自らに課す必要もないのかなと思う。


 一方、私は、多くの誤解を受ける恐れを回避したい切なる願いから、私の経歴を含めて、自分語りをしてきました。


 その反動として、信じたくない一部の人達によって、嘘ではないかという心ない書き込みを無数受けましたし、どこか胡散臭く感じる部分があったのでしょう。


 2ちゃんねらーなどのアンチによる、攻撃を受けました。

 嘘だと否定され、それを一から順序立てて証明するのはとても骨が折れる作業で、なにより面倒ですし、億劫でもあり、敢えて弁解する方策を採りませんでした。


 少しずつ真実が明らかにされてゆき、話題に上る話が嘘ではなく真実だということが徐々に明るみに出れば、段々と私を見る目も変わっていき、最後はオセロゲームのように黒が白にすべて引っ繰り返される逆転現象が起きるのでしょうが、それにはそれ相応の時間がかかると思っています。


 私的な感想ですけど、やはり無の境地は強いというか、何も考えていない人に難癖をつけたところで、策士は絶対に無策な人物に勝つことなどできないんじゃないかなって思います。


 なにしろ、ミラーに向かって、自分自身に問い掛けるわけですから、相手の手の内が全く読めない以上、自問自答のブーメランを繰り返すことしかできません。


 この人は、こうだとか、ああだとか、決めつけて批評しているうちは確かに楽しいかもしれませんが、段々と、私を攻撃してる2ちゃんねらーが嘘を吐いていることが周囲の目に明らかになり、徐々に信用を失っていき、そして周りから完全に孤立して相手にされなくなる頃には、いつの間にか立場が逆転していることでしょう。


 雉も鳴かずば打たれまい、この格言にあるとおり、余計な策謀を巡らさない限り、声を上げて何かを叫ばない限り、相手は自分の真意、心の底にある大切なモノに、踏み込んではこれないように思う。


 策士は、いつの時代も、最後は自滅する運命に辿り着く。

 最後に残るものが真実であり、やはり最後までリングで立っていられる者だけが、勝利の美酒に酔えるのではないかと思う。


 私を名指しで批判した、多くの2ちゃんねらーも、多くは身バレして、最後は丸裸にされ、ペンネームと引き換えに信用を失っていった。


 どんなに匿名を傘に着て裏で悪行を重ねようが、最後には真実が白日の下に晒され、自滅する運命を辿った。


 常に無の境地に達することはできませんが、時々、これが無の境地かなっていう、トランス状態に陥ることは正直あります。そのたびに無は強い、そう思い知らされます。


 無は強い。

 何かを考えていそうで、実は何も考えていない、そんな大人でありたいなと思う。


 いつも、どんな局面でも物事を受けて立てるような、動のように見せて、実は静なる動かざる山のようで、そんな人物になりたいなと思う。


 ビー・ウオーター。

 水になれと、かつてブルース・リーは言った。


 策謀は、いつか必ず破綻する運命を辿る。

 2ちゃんねらーに警告したい。

 君たちの時代は間違いなく終わる…。

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