アリスとタイムマシン

アリスとタイムマシン(1)

 アリスとラビーは、今日からここに3週間滞在することが決まり。自宅なのに何か変な感じもするアリスは、肝心なことを思い出した。未来のアリスに聞きたいことがある。それは、後悔のない人生を送って来たのか。他にも娘のこととか、孫のことも、ハワイってどんなところなのか、未来の風景をたくさん見て見たい。

 アリスは、そんなことを考えていると、私がここにいる事態、もう既に未来が変わっているのか。頭がこんがらがってしまうアリスだが、未来のアリスに1つだけ質問した。

「おばあちゃん。私の人生、後悔のない人生を送って来た?」

「私の人生に後悔はない。もし、後悔していたとしても、教えることはできない。そのせいで他人の未来をかえることもあるからね」

 そんなことを言われ、ますます、頭がこんがらがってしまうアリスだが、後悔がないのならそれでいいと思いつつ、後悔のない人生を決めるのは私。私次第ということだけはわかっているつもりのアリス。


 その話をアリスの隣で黙って聞いていたラビーは、「後悔はない」、その発言に納得がいかない。これは私の勘だけど、おそらく、あの小説は完結せずに、あのノートは机の引き出しの中に閉まったままになっているはず。あの小説を完結していないことを後悔しているはず。

 お母さんもいまだそのことを気にしている。私は聞かされた、アリスが研究所に行っている時、ソファーに座り、お姉ちゃんが小説家を諦めたことを私に話し。そのことをどう思うか聞かれ、私は答えられなかった。ラビーはそのことを思い出し、未完成の小説のことを後悔していないのか、未来のアリスに聞こうと思ったが、今は聞かない方がいいと思った。


 この時、アリスはふと両親はどこにいるのか、未来のアリスに聞こうと思ったが、聞くのをやめ。もうここにはいないことを悟ったアリス。


 しばらくして、アリスは、自分達の部屋となる部屋を掃除することに。

 1階は3部屋あるが、1つ目の部屋は、未来のアリスの部屋。2つ目の部屋は、物置になっている。娘の品物が多い。3つ目の部屋は、空き部屋。ここの部屋を掃除するのだが、アリスはこの時代の掃除道具に驚いていた。


 空き部屋の掃除が終わると、2つ目の部屋には、バラバラになっているベッドが1つあり。未来のアリスと一緒にアリスもベッドを組み立てるのを手伝っていると。かなり重量があるベッドなのに、平気そうにベッドを組み立てる未来のアリス。どうやら、体は丈夫にできている。我ながら感心するアリス。ラビーはその様子を見ていた。

 机も置き。ラビーのベッドは、平べったい柔らかいクッションが用意してあり。これで、ここに3週間滞在できる準備ができた。


 未来のアリスはアリスとラビーに、夕食まで時間があるから、2階を見て来なさいと言い。言われるがまま、アリスとラビーは2階へ行き。部屋数は4部屋。両向かいにドアが2つずつあり。手前の部屋から見ていくことに。


 ここは、以前アリスが使っていた部屋。ドアを開けると、驚いたアリス。

 凄く、可愛い部屋になっている。カーテンの柄も可愛い。そして、見たこともないもだらけ。多分、これはぬいぐるみ。あちらこちらに置いてあり。いろんな、ポスターが貼ってある。それに、何かいい匂いが。ここは女の子の部屋。そう思ったアリスは、この部屋はもしかしたら、孫娘の部屋。しばらく見ていた。

 ラビーは、二足歩行は止め。ぴょんぴょんと、いつものスタイルで歩き回っている。


 次の部屋は、さっきとは違い、ぬいぐるみは2つに、ポスターは1枚。よく見ると、『シンデレラ』の文字。そのポスターには、お城が絵描かれ、長い階段に、シンデレラがガラスの靴を落とし、それを追いかける王子が描かれ、素敵なポスター。この部屋も何かいい匂いがする。女の子の部屋。もしかしたら、孫娘は2人いるのか。2部屋とも、きちんと掃除はしてある。今でも使っているようにも思える。


 次の部屋に行くと。1階で見たあれは何。黒い長方形の物がここにもある。大きさ的には、1階の方が大きい。ここにあるのは、横長さが1メートルくらいはある。その近くには、ソファーとクッションが置いてあり。

 アリスが特に気になるのが、この本棚、違う。小さな本のようで、本ではない。アリスはそれを手に取ると、手のひらの2倍はあり、薄っぺらなケースなのか。よく見ると、『くまのぷーさん』と書いてある。他にも沢山あり、数えてみると50ある。その中には、あのポスターの絵が描かれた、『シンデレラ』もあった。これって何。

 その時、ラビーが閃いた。

「お姉ちゃん。もしかしたら、これって、アニメというものじゃないの!?」

「えっ!? これが!?」

 アリスは聞きたいことが多すぎて、アニメのことを聞いていなかった。おばあちゃんはこれを見なさいって言ってたけど、意味が分からない。アリスはこれ以上これに触ると、そう思い、最後の部屋に行くった。


 最後の部屋には、驚くほどの本がある。いったいこの部屋に何冊あるのか。一通り見て見ることに。

 いろんなジャンルの本。アリスが読んでいた本もある。1000冊以上はある。本だらけの中、小さな机が窓そばに。

 これは、アリスの母親が使用していた机。読書室にあった机。アリスは椅子に座り辺りを見渡し。各部屋が様変わりしていたことに、少し寂しさを感じていた。

 しばらくここにいると、ラビーがこの部屋の時計を見て。

「お姉ちゃん、そろそろ下に行かないと、もうじき夕方だよ」

「……そうだね」

 2人は1階に行くと。何やらいい匂いがし。キッチンへ行くと。未来のアリスが楽しそうに何か作っている。それを見てアリスは。

「おばあちゃん、何作ってるの?」

 その声に驚き。

「もー、ちょっと脅かさないでよね……。今、美味しい御馳走が出来るから、テレビでも見てなさい」

 テレビと言われ、アリスは思い出した。電波に映像をのせて、それを受信して映し出しもの。アリスの父親から聞き存在は知っていた。


 未来のアリスは、料理をしながら。

「アリス、そこの台に上にのっている、黒いのがあるでしょう!? そのリモコンを持って、ソファーの近くの台の上にのってある、黒い大きなのがあるから、そこに行って、そのリモコンの赤いボタンを押して。次に、DVDボタン押して、再生ボタンを押して見て!?」

「えっ!? あれがテレビなの!?」


 アリスはリモコンを手に、言われた通りに操作してみた。

 すると、何かが映しだされ。音が聞こえ、見ていると。『シンデレラ』の文字が。絵が動いている。アリスとラビーは、これが、アニメというものなのか、そう思いながら、ソファーに座り。2人は無言で見ていた。


 20分くらい経ち。未来のアリスはアリスの後ろに立ち。

「これがアニメ。感想は!?」

 返事がない。夢中で見ている2人。

 すると、未来のアリスは、テーブルに置いていたリモコンを取り、電源を切り。

「あなた達。食事にしましょう!?」

 2人そろって。

「えー!? 食事!? まだ見たいのに」

「ほら、テーブルところ行きなさい」

 2人は少し不機嫌。しかし、お腹が鳴り。ダイニングテーブルに行くと。またもや、見た事もない食べ物が。

 すると、未来のアリスが、またもや料理の紹介を始めた。

 メイン料理は、天ぷら。次に、卵焼きとご飯に、お味噌汁と漬物。その隣には、何か置いてある。

 お箸の使い方が始まり。流石アリス、手先は器用。2分くらいでお箸の持ち方をマスターした。

 食事が始まり。ラビーの食事は、お昼に食べたものと少し似ていた。

 アリスは、初めて食べる味ばかりで感動の嵐。全ての料理が美味しく、この先どんな料理がでるのか楽しみになり、日本食が好きになった。


 食事が終わり、後片付けの手伝いをするアリス。しかし、テレビが気になる様子。

 後片付けが終わると。アリスはさっきのDVDの続きを見にソファーのところに行くと。ラビーがソファーに寝ている。このままベッドにと思ったが、起こさないと怒られると思い。ラビーを起こして、続きを見ることに。

 すると、未来のアリスも一緒に見ることになり、3人で見ていた。

 見終わると、面白かったねと言い。アリスは、あの本屋の主に言った事を思いだし。その事をラビーに聞いてみた。

 すると、確かにそれも面白い。シンデレラにとっては、いや、王子様にとってはいいのかもしれないね。シンデレラの人となりが垣間見えて。別な話の広がりも見える。

 それを隣で聞いていた、未来のアリスは。

「流石ラビー、やはりあたしの妹だね」、何か嬉しそう。

 この時ラビーは、やはり後悔しているに違いない、そう思った。


 アリスは、2階にあるDVDが気になっていたが、とりあえず今日はここまでということになり。アリスとラビーは、自分達の部屋に行った。

 アリスは、ここでの生活が気に入り、3週間の短い期間だが、楽しく過ごそうと思った。

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