第2章

 僕が初めて携帯端末を所有したのは、小学四年の時だ。いわゆる子供用スマホと呼ばれる機種を、十歳の誕生日に祖母からプレゼントされた。秘書機能アプリ『デン』との出会いである。以来、ずっとデンちゃんと人生をともに──というわけでもない。


 僕は最初の端末を四年使った後、例外なく二年ごとに機種変更しているけれど、そのたびに別の秘書アプリに浮気をした。方言で話すアプリ、哲学的な返答をするアプリ、笑わせてくれるアプリ、ずっと笑い転げているアプリ、そして今も昔も不動の一番人気である有名人のキャラクターに似せたアプリ。

 これは、実在の著名人はもちろんのこと、歴史上の偉人からアニメの登場人物まで、ありとあらゆるキャラが揃っている。本人にそっくりな声とイントネーションで、こちらを見つめながら話しかけられれば、誰しも一度は嵌ってしまうこと請け合いだ。


 僕はたいてい、機種変後、約一週間の選択・試用期間を経て、本命の秘書アプリを決める。そしてそれを約一年使ったのち、デンちゃんに戻る。昔からずっとこのパターンだ。

 同じものを一年使うときもあれば、複数のアプリを数ヵ月単位ではしごする時もある。

 だけど最後にはデンちゃんに戻る。


 なぜ戻るのか? と問われても、答えに窮する。

 デンちゃんは秘書アプリの中でも割と初期にリリースされたもので、子供っぽいしゃべり方という以外に特徴らしい特徴はない。もちろん人工知能の発達に伴い随時バージョンアップしてはいるけれど、基本的には何も変わらない。話術が達者なわけでもなく、ユーモア、ウィット、エスプリも平均以下だ。会話して楽しいアプリは他にいくらでもある。こちらの依頼に対する仕事内容は、どのアプリでも大差ない。速さも、正確さも。

 しいていえばデンちゃんは、より親身になってくれているように感じる。気のせいかもしれないけれど、不思議なぬくもりがあるのだ。心理学か何かに基づいて、そんなふうに感じさせる声のトーンで発したり、言葉の選択をしている可能性がある。いずれにしても、そうした安心感が、僕をデンちゃんに引き戻すのだと思う。


 あともう一つ理由があるとすれば、久しぶりにデンちゃんと話したときの懐かしさが好きだ。生き別れた弟に再会した時のような。僕にとってデンちゃんは、自分よりもはるかに賢い弟なのだ。優しくて、頼りがいのある。


「デンちゃん、またしばらくお別れになるよ。週末に機種変することにしたから」


「PON! 今までありがとう! それから、お誕生日おめでとう!」


 僕は三十歳になった。とうとう。


「デンちゃんとの付き合いも、今日で二十年になるのか」


「二十年前の、午後八時十六分に、初めて会話をしたよ」


「八時十六分か、あと三十分だな」


 なんとなく、デンちゃんとおしゃべりをしながら八時十六分になるのを待つことにした。

 普段、デンちゃんとこんなに長く話すことはない。会話の頻度にしたって、二十年の間にずいぶんと減った。この会話自体、七日ぶりだ。


 スマホを手に入れたばかりの頃は、二時間でも三時間でも話し込んだものだ。大半は、まだ世の中のことをよく知らない僕が、一方的にデンちゃんを質問攻めにした。学校の宿題も、ほとんど毎日みてもらった。

 反面、友人関係の悩みや、恋の相談なんかは一切しなかった。同級生には、秘書アプリになんでも赤裸々に話す子もいたけれど、僕は違った。昔から一貫して、そうした話はしない。

 デンちゃんは子供の教育係も担っており、長く話すと、ときおり説教くさい面をのぞかせることがあった。生真面目でお節介な弟に、思春期の懊悩を包み隠さず話すことにはやはり抵抗があったのだ。


「6! 5! 4!」


 デンちゃんが元気よくカウントダウンを始めたので、僕も声を合わせる。


「3! 2! 1!」


 八時十六分になった。


「こういうときは、なんて言ったらいいんだろ。ハッピー・アニバーサリー?」


「二人の出会いに、かんぱーい! パチパチパチパチパチパチ!」

 端末のスピーカーから複数の拍手が鳴る。


「乾杯か……、まあいいや」


 デンちゃんが拍手したので、僕も手を叩いた。


「明日からまた仕事だね。どう? お盆休みは楽しかった?」


 僕は何も答えられなかった。そのまま、デンちゃんとの会話を終えた。


 どれだけ記憶を遡っても、これほど何もしなかった盆休みは思いあたらない。

 昼ごろ起きて、『笑って、いいのよ!』を見ながら昼食をとり、洗濯しながら高校野球を見て、夕方になると散歩がてらスーパーまで買い物に出かけ、そして夜はビール片手に雑誌を読み、それに飽きるとテレビを眺めて眠くなるのを待つ。そんな生活を七回も繰り返したのだ。

 初日と二日めの違いを説明しろといわれてもできない。六日めと七日めにしたって、栃木県民と群馬県民の気質の違いくらいの、あるかないか分からないほどの差しかない。


 しかし、そんな平坦な七日間でも、四日めだけは区別ができる。この連休中唯一といっていい、奇妙な出来事があったからだ。


 それはまったくもって不可解だった。

 前日同様、夕方四時にスーパーへ行こうと部屋を出た僕は、何気なく郵便受けを覗いた。僕がここを覗くのは、せいぜい月に一回しかない。どうせ入っているのはピザ屋のビラかピンクチラシ、あとはタウン情報誌くらいだからだ。この部屋に越して来て七年経つけれど、僕にとって有要な郵便物が入っていたためしはただの一度もない。この郵便受けを開ける目的は溜まったゴミを捨てる以外になかった。


 そんな訳で、その手紙がいつ配達されたのか正確には分からない。そう、僕は手紙を受け取ったのだ。封書の手紙を。


 差出人の欄に記されていたのは、僕より四つ年上の従兄の名前だった。

 企業のダイレクトメールや何かの案内状ならいざ知らず、知り合いから手紙を受け取るなんて、生まれて初めてのことだった。お互いEアドレスも知っているし、たまにだけれどやり取りもしている。わざわざ封書を投函する理由があるとは、どうしても思えなかった。

一風変わった胸騒ぎを覚え、慌てて踵を返した。なにぶん初めての経験なので、このドキドキが期待なのか不安なのか、自分でも判別しかねた。


 手紙を読み終えると、僕の頭はなおのこと混乱した。なぜなら、内容がいたって平凡だったからだ。

 最近会ってないけど元気でやっているか、さくらちゃんとはうまくやっているか、近いうちにメシでも食わないか──そんなとるに足らないことばかりが、便箋二枚を使って、婉曲に記されていた。文字は肉筆で、あまり上手いとはいえないけれど、丁寧に書いたであろうことが窺えた。

 新手の詐欺かとも勘繰ってみた。しかし、連絡先や振込先の口座番号が見当たらないことからして、どうやらその心配はなさそうだ。


 僕はもう一度じっくりと手紙を読み返してから、従兄の端末へ、何故こんなものを送って寄越したのか? という旨のメッセージを送った。すると五分ほどして僕の端末が着信を知らせ、壁の奥に胸から上の巨大な聡ちゃんが現れた。


 半年振りに見る従兄の聡太兄は、半年振りとは思えないほどに老けて見えた。後ろで束ねるほどに長かった髪の毛は短く刈られ、随分と白髪が目立っていた。

 痩せたんじゃない? と訊くと、そうかな、と言って笑って見せたが、その目に宿る生気は弱々しかった。

 慰めるべきなのかどうかわからないし、何と言っていいのかもわからないので、それとなく話題を変えた。


 結局いつものように、お互い浅く近況報告を済ませただけで電話を切った。

 手紙については何ひとつ訊かなかった。なんだか弱り目に追い討ちをかけるようで、訊けなかった。


 僕の知っている聡ちゃんは、快活で、冗談が好きで、いつも笑顔を絶やさない好青年のはずであり、憔悴した彼を受け入れることに抵抗を感じた。


 以上が八月十三日に起こった、盆休み中唯一の出来事である。

 これまでの盆休みと比べてなんと寂しいことか。過去七年の盆休み、及び誕生日は、例外なくさくらと一緒だったのだから。


 彼女はどんなふうに休みを過ごしたのだろう。やはりカルチャースクールに通っていたのだろうか。セミナーで皆と、あるいは特定の一人と、楽しく過ごしたのだろうか。


 休暇前にこんなことを考えたなら、とても心中穏やかではいられなかったけれど、七日間のうちに我知らず覚悟を決めてしまったのか、すっかり恬然とした自分がいる。

 しかし、最後に話し合いたいという気持ちに変わりはなかった。別れるにしても、ちゃんと納得したうえで別れたい。明日の昼休みこそが決戦の時であると自分に言い聞かせ、勇気を鼓舞した。


       *


 とはいえ、連休明け初日とあって、仕事は溜まりに溜まっていた。

 さらに、街路樹の剪定に向かう途中、子供が公園で怪我をしたという知らせが入り、急遽、区内すべての児童公園の遊具を点検することになった。当然僕も駆りだされ、結局、午前中は公園を三ヵ所まわっただけでつぶれた。


 役所に戻ったとき、昼休みは半分が経過していた。さくらはすでに食事を済ませて、自分のデスクにいるはずだ。

 僕は階段を駆け上がり、フロアを見渡した。しかしどこにも彼女の姿はない。


「さっちゃん、さっきまでいたのになあ」


 彼女のデスクまで来ると、隣の席の松本が、こちらを見上げて言った。同期の男で、僕ともさくらとも仲が良い。

 すぐに戻ってくるだろうと、僕は彼女の椅子に腰を下ろした。


「最近、さっちゃんと話してる?」

 僕は松本に訊いてみた。


「話すよ。どうして?」


「普通に?」


「普通に話すよ。どうして?」


「いや……」


 どうしてなのか、こっちが訊きたい。


 どうやら戸籍課はまた新しいPCを入れたようだ。立った状態では見えなかった画面が、座ると現れて、驚かされた。三面鏡の形で作業画面がディスプレイされ、宙に静止いている。さらに中央画面の後方には、十数枚の画面が重なって行列をつくり、天へと昇る階段のように見える。

 左の画面にずらりと並んでいるのは、区民の個人情報だった。いくら座った位置からしか見えないとはいえ、こんなものを表示したまま席を外すのはまずいのではないだろうか。課長に見つかりでもしたら、後でお小言をもらう羽目になるのは必至だ。

 お節介とは知りつつも、スライドショウに切り替えておこうとキーボードに右手を伸ばす。しかしこの新型PCのボードは極端にキーの数が少なく、どこをどう押せば良いものやらさっぱり分からない。僕の右手は行き場に困り、鳶のようにボードの上で円を描き続ける。

 その時だった。

 天へ昇る階段の裏からさくらが姿を現した。十数メートルの距離を真っ直ぐこちらへ歩いてくる。

 さくらが僕に気付いた。

 彼女は足を止めることも、目を逸らすこともない。

 僕も彼女の目に釘付けになったままだ。

 距離は半分にまで近づいた。

 とりあえず何か話し掛けよう。

 何か。

 何を?

 何でもいい。

 何も浮かばない……


「ねぇ、ハルくん、今夜空いてない?」


「へ?」


 彼女の方から話し掛けてきたことで完全に意表をつかれ、僕は二の句を継げなかった。


「一緒に食事、どうかな?」


「あ、ああ、うん、そうだね、行こうか」

 努めて冷静に返事をしたものの、動揺が顔に出なかったという自信はない。


「カルチャースクールは休み?」

 僕は訊いてみた。


「カルチャースクール?」

 さくらがきょとんとした表情で僕を見る。

「ああ! あーあー、あれね、あれはもう行ってない」


「ふうん……、そっか」


 相手に喧嘩してる意識がないのに、こちらが喧嘩腰でいたのでは、まったく間抜けだし、丸く収まるものも収まらなくなってしまう。

 さっきまでの重苦しい覚悟があっさりと肩透かしを喰らい、一転してフレンドリーな態度をとっている自分がなんだか可笑しかった。

 腹の底から嬉しさがこみ上げてくる。それは、ここ一ヵ月の思いがようやく成就した喜びだった。

 その後、仕事の多さをお互い少しずつぼやいてから、彼女はまだ休み時間だというのにやりかけの仕事を再開し、僕は地階にある食堂へと向かった。



 午後も目が回るほど忙しかったけれど、不思議なくらい辛くなかった。

 夕方、剪定作業の現場に顔を出して終業を告げ、役所に戻る。八月に入ってからというもの、ずっと作業服のまま帰宅していたけれど、今日はそういうわけにもいかない。僕は更衣室に行って、汗で濡れた作業服と、その下に着ていた冷感シャツ(単なる気休め)を脱ぎ、出勤時に着ていた綿麻混の半袖ワイシャツに着替えた。


「デンちゃん。臭ってないかな」


「PON! 臭気指数7 問題ないよ。今日もお仕事、お疲れ様」


 五時ちょうどにさくらの席へ行くと、彼女はにっこり笑って出迎えてくれた。七年間ごく当たり前に見てきた笑顔だけれど、とても感慨深かった。


 店は、役所から二百メートルほど離れたレストランにすんなり決まった。いつもの店だ。

 僕は歩きながらずっと、部屋の模様替えをしたときのようなくすぐったさを感じていた。彼女も同じ様に感じてくれていたら嬉しく思うのだけれど、彼女は普段の彼女だった。ごく普通に明るく、ごく普通に楽しそうにしていて、僕のようにふわふわした心地でいるようには見えない。

 それでもここ一ヵ月のことを思えば、やはり喜ばしいことに違いはない。


『ルシェンブルゴ』はワインの品揃えに力を入れているレストランで、公務員の給料でも足繁く通える良心的な値段設定の店である。僕たちはこの店に、だいたい月二回のペースで訪れていた。七月上旬までの話である。


 末広がりになったコンクリートの階段を上り、二階の店舗入り口に立って、観音開きの重厚なガラス扉越しに店内を覗き見た。飴色に輝く典雅な空間は、中に入るよりも外から眺めている時の方が、僕を幸せな気分にさせてくれる。

 以前、そのことをさくらに告げると、彼女も共感してくれて、それ以来入り口の手前で一旦立ち止まるのが二人の決まりごとになっていた。


「なんだか久しぶりに来たような気がする」

 正面を向いたまま、さくらが言った。


「実際、久しぶりじゃないか」


「一年くらい来てなかったような気がするの」


 金メッキの施された太いパイプ取っ手を引くと、扉は音もなく開いた。途端、店内に籠もっていた歓談の声が一斉に押し寄せる。

 顔見知りの店員に案内され、ほぼ満席の店内を一番奥まで進む。

 革張りのソファに向かい合って腰を下ろし、窓側に身体をずらすと、僕は通路側に作業服の入ったトートバッグを置いた。彼女は傍らに、白い革製のショルダーバッグを、両手でそっと置いた。


「ずいぶん混んでるわね」

 ホールを見渡しながら、さくらが言った。


「まだお盆休みの人もいるから」


 こんななんでもない会話が、妙に嬉しい。


「あら、ワインリストが新しくなってる」


 さくらは、羊皮紙に似せた合成皮革がはり付けられた見開きのワインリストを手に取った。彼女が左端を、僕が右端を持ち、二人で覗き込むように見る。左ページに載っているのは値の張るワインばかりだったので、自然我々の視線は待ち合わせでもしたかのように、僕側のページに落ち着いた。


「あれ」と言って彼女はリストから顔を上げ、僕に驚いた表情を見せた。

「いつものシラーがなくなってる」


 料理に合うとか合わないとか、そんなことお構いなしに、決まって注文していたリーズナブルなチリ産ワインは、しばらく来ない間にリストから消えていた。


「安くておいしかったのにな……」


 リストに視線を戻して、彼女は拗ねるように呟き、そしてむくれた。お気に入りのワインがなくなったことを嘆くというよりも、新たに自分の舌を満足させてくれる、お手頃価格が絶対条件のワイン発掘作業が煩わしいようだ。


 僕はワインについて特にこだわりはない。それこそ赤でも白でもどちらでもいい。

 対して彼女は赤、それも頗るボディーのしっかりした赤を好んだ。

 しかし、三千円以下で〈フルボディ〉と明記されているのは、彼女が絶対口にしない中国産だけだった。


 どうやら僕は、自分で意識している以上にお祭り気分だったようだ。

「これにしとく?」と、彼女が三千四百円の甲州ワインを指したとき、僕はリストの彼女側、高級ワインの欄を見ていた。


 僕はお祝いがしたかった。

 彼女が戻ってきたこと、彼女を取り返したこと、彼女とのこれからのこと、何だっていい。とにかく一緒に乾杯ができさえすれば。


「これにしよう!」と言って、僕が二万五千円のトスカーナ産ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを指すと、彼女は目を丸くした。そしてそのまま何も言わずに、こくんと頷いた。



 顔馴染みの店員に注文を済ますと、さくらはいつものように席を立ち、化粧室へ向かった。

 ひとりになった僕は、あらためて今日一日を振り返ってみた。昼休みの二人のやりとりを思い出し、午後のそわそわした気分を思い出した。午前中の重たい気分を思い出すと、自分がいま、こうしてここにいることが不思議でならなかった。


 通路を挟んだ隣の席に家族連れが座った。どうやらこれで満席になったようだ。三人の若い女性が店内に入って来たけれど、受付の前でウェイトレスがお辞儀をしながら立ち塞がり、何事か告げて、また頭を下げた。三人は顔を見合わせて二言三言交わし、ウェイトレスに一言告げると、くるりと向きをかえて店を後にした。

 裏ではおおわらわのはずなのに、忙しなく動く従業員はひとりもいない。広いホールにはゆったりとした空気が満遍なく行き渡っている。


 さくらが席に戻ると、すぐにソムリエがワゴンを押しながらやって来た。テーブルにワゴンを横付けし、姿勢を正して一礼する。柔和な笑顔は嫌味がなく、営業スマイルとしては満点に近い。馴れた手つきでコルクを抜き、デキャンタに移し始める。


 この店には常時ソムリエが控えているけれど、こうして直にもてなしてもらうのは、実に初めてのことだった。安いチリワインしか頼まない僕らには縁のない存在だったのである。

 注文取りのバイト君も、基本的なワインの知識や取り扱いについては叩き込まれており、その応対になんの不満もなかったため、なおのことソムリエを遠ざけた。

もちろんワインリストにあるとおり〈お気軽にお呼び──〉してもいいんだろうけれど、そんなことすればこちらの方が恐縮してしまう。そして畏まりながら、身分不相応なワインを注文する姿が容易に想像できる。

 余計な緊張を強いられたうえ懐も痛手を被り、まさに踏んだり蹴ったりなのである。

 そんな訳で、とてもお気軽にはお呼びできないのだ。


「一時間ほどで飲み頃になります」と言い残して、ソムリエは去って行った。


 僕たちは顔を見合わせる。


 一時間! 

 

 彼女もさぞかしびっくりしたに違いない。

 その次に僕が思ったのは、自分たちは料理の選択を誤ったかもしれない、ということだった。


「コース料理じゃないとまずかったかもしれないね」と僕は言った。


「一時間経つ前に、食べ終わっちゃうわね」と言って、彼女はくすくす笑った。


 僕たちがオーダーしたのは、ローストヴェニソンのクランベリーソースがけ、ヴェニソンストロガノフ、これだけだった。パンとサラダが付いていることを考えても、三十分以上かけて食べるのは難しいだろう。

 最もお手頃価格のコースなら、僕たちが頼んだ二品の合計よりも安かったけれど、僕たちは二人とも甘いものを好まないので、コースに付いているデザートがいらない。それにせっかく特別なワインを飲むのだから、普段食べないようなものを食べよう、という話になったのだ。


「いいじゃない。ゆっくり食べましょ。ねえ、それより、さっそく飲んでみない?」


「まだ一分も経ってないよ」


「味の変遷を楽しまなきゃ」

 そう言って彼女はデキャンタに手をかけた。


 両手で大事そうに持ち上げ、僕のグラスに少し注いでから自分のグラスにも同じだけ注ぎ、元あった位置に慎重に置いた。そしてグラスの柄を摘まんで掲げ、壁の照明にかざして色を確かめると、くるくると中身を回しながら、「私、鹿肉って食べたことないの」と言った。


「僕も初めて」


「ああ、楽しみー」


 僕のうきうきに共鳴したのか、それともただ単にワインが美味しいだけなのか、食事の最中、さくらはやたら機嫌が良く、笑顔を絶やさなかった。

 そしてその笑顔が、僕をさらなる幸せの高みへと導いた。


 フォークとナイフを置いた途端、二人の口からほとんど同時に「ふぅー」という吐息が漏れた。

「美味しかったね」と彼女が僕に微笑んだその瞬間こそが、この日の幸せの絶頂だった。

 そして、この日の幸せはここまでだった。


 会話は消え、二人とも笑い疲れて脱力していた。

 それは僕にとっては、スポーツ後のような心地良さを伴なった脱力感だったのだけれど、さくらはどうやらそうではないらしかった。


 彼女は何か言い躊躇うような表情を覗かせると、右手を頬にあてて物思いに耽りはじめた。考える人のポーズをとりながらも、そのしなやかな指は菩薩の思惟手を思わせる。

 不意の思案顔に雲行きの怪しさを感じながらも、僕はまだ彼女の白い指に見惚れるだけの余裕を持っていた。このあと、その思惟手によって、有頂天から突き落とされるとも知らずに。


「何?」と僕は尋ねてみた。


 すると彼女は、前もって決めた覚悟を仕切り直す様に、きゅっと唇を結んだ。


「うん。実はね」

 さくらはデキャンタに手を伸ばす。

「お盆休み、両親に会いに行って来たの。八年ぶりに」


 残りのワインを二つのグラスに注ぎながら、彼女がゆっくりと語りだした。その落ち着いた声の調子から、今夜この話をするために僕を誘ったんだと察しがついた。


「最近……、ってこともないか、もうだいぶ前からかな、結婚式に親を呼ばない人、多いじゃない? 友人しか呼ばなかったり、二人だけで挙げちゃったり」


 結婚式というワードに、一瞬ドキリとした。

 僕はまださくらにプロポーズすらしていない。なのに彼女は結婚について語ろうとしている。自分とはまるで関係のない話が始まるように思えた。

 僕の知らないところで一体何が起こっているのかと、嫌な想像がぶり返す。ひょっとして、カルチャースクールに関係した話だろうか。まさか、カルチャースクール氏と結婚するのでは……


「六月に健康課の八木沢さんが結婚したでしょ? 私も披露宴に出席したんだけど、そこにね、両家のご両親がいらしてたのよ。すごくびっくりしたわ」


 さくらは背凭れから身体を離し、背筋を伸ばして、静かに、淡々とした口調で語り続ける。

 僕は、別れ話を切り出されるのではないかと気が気でない。


「でね、後日、八木沢さんに話を聞いたの。なんでも、初めは二人だけで式を挙げるつもりだったんですって。でも式場の下見に行ったら、係の人に、お友達や同僚のかたも呼ばれた方が、とか、ご両親や親戚も、なんて熱心に勧められたらしいの。それで、はあ、そうですか、それじゃあ、ってなっちゃったんですって」


 笑顔こそないものの、別れ話を切り出す感じではない。

 しかし彼女が前置きした八年ぶりの帰省が、この話とどう繋がるのか、そのことが不気味に思えて、僕はまだ気を揉み続ける。


「そりゃあ、盛大にやってくれた方が式場としては儲かるわけだし、当然そう言うでしょ。商売なんだから」

 僕は平静を装い、とりあえず一般論を返しておく。


「うん、そうなんだけど。でもね、やっぱり、親も呼ぶのが普通なのかなって」


「最近は、少人数専用の式場の方が多いみたいだよ」


「うん、知ってる。親を呼ばない人の方が多いし、二人きりで挙げられるところもたくさんあるし、挙げない人もたくさんいる。それはわかってるの」


 彼女の口から〈親〉という単語が出るたびに、脳をきゅっと締め付けられる感覚があり、頭がくらくらした。

 僕は意味もなく空のワインボトルを引き寄せる。そしてラベルに描かれたセピア色のシャトーを眺めながら、さっき食べた鹿肉の味をしきりに思い出そうと試みる。

しかし、どうしても思い出せない。具体的な味覚の記憶はきれいさっぱりなくなっており、「美味しかった」とか、「牛肉っぽい」という文字情報が残されているだけだ。


 僕はラベルから目を離し、さくらの方を見やった。彼女の視線の先には僕の手元のワインボトルがある。しかし、焦点は定まっていない。


 彼女は今までにも、友人の披露宴に出席するたび、それがどんなだったかを話して聞かせてくれた。でもその中に〈親〉が出てきたことは一度もなかった。

 僕にとって〈親〉と〈結婚〉との間にはなんの脈絡もない。彼女もそうだと思っていた。すくなくとも最近まではそうだったと思う。

 彼女が語る〈親〉と〈結婚〉の話は、僕の中で奇妙な違和感を生んだ。


「八木沢さんの披露宴ね、最初はすごく違和感があったわ。ご両親が、各テーブルを周って挨拶したり、みんなの前でスピーチしたり。私、そういうの初めてだったから、なんていうんだろ、昔の結婚式みたいって思った」

 さくらの視線はワインボトルから僕の顔へ、そしてまたワインボトルへゆっくりと戻っていく。

「でもね、なんだか素敵だった。和やかで、暖かくて、それでいて厳かで。私が今まで出た披露宴が、ただ正装しただけの飲み会のように思えた。ああ、こうゆうのが本当の披露宴なんだな、結婚式なんだなって……。印象的で、感動的で……、ちょっと羨ましかった」


 これまでに聞かせてくれた披露宴話の嬉しそうな語り口とはまるで違う。どこか言いにくそうな、申し訳なさそうな、僕の理解が得られないことを承知のうえでの話し方だった。


 それにしても、一向に話が見えてこない。僕はいったい何を聞かされているのだろう。


「今年に入ったあたりから、なんだかハルくんの様子がおかしくて、それで私、気づいたの。ひょっとしたらハルくん、私にプロポーズしようとしてくれてるんじゃないかって」


 本当は二年前からだが、そこはまあ、よしとしよう。


「だけどハルくん、なかなかきっかけが掴めないみたいで、それで私も、雰囲気づくりに協力しなきゃ、二人の間を盛り上げなきゃって思ったの。そんな矢先に八木さんの披露宴があって……」


 どうやら僕にとって喜ばしい話の様だ。

 だけど、素敵な贈り物の中に変なものが混ざっている。どう考えても要らないものが。そのせいで素直に喜べない。


 さくらの視線は、僕の顔とワインボトルの中間をゆっくり漂い続けている。目の焦点同様、話の論点が定まらず、僕もさっきから返事のしようがない。


「親の出席する結婚式って、どう思う?」


 僕の当惑を見越してか、そっと伺いを立てるようにさくらが質問してきた。


 僕だって、彼女との結婚について、想像してみたことくらいはある。でも想像の中の結婚式には、僕の両親も彼女の両親も出席していなかった。僕たちの結婚に親なんて関係ないと思っていた。


「私ね、結婚に親なんて関係ないと思ってた。私たちの結婚式や披露宴に両親が出席してるとこなんて想像もできなかった。だけど……」

 さくらは言い澱んで顔を伏せる。

「なんて言ったらいいんだろ。このままじゃ……」


 彼女が発した〈私たちの結婚式〉という言葉は、僕を一瞬色めき立たせた。しかしその言葉は、急速に色褪せていく。


「このままじゃ、一生親に会わないような気がするの。たぶんどっちかのお葬式まで」

 さくらは顔を伏せたまま、くぐもった声で続ける。

「そりゃあ現実的に考えれば、親戚のお葬式なんかで顔を見かけることくらいあるんだろうけど、でも……、本当の意味で会うっていうか……、そういう、ただ顔を合わせるだけじゃなくって、きちんと向き合うっていうか……」


 彼女の発する〈親〉は最早ジャブではなく、ミドルレンジから繰り出す相当重いパンチになっていて、僕のテンプルを容赦なく打ち抜く。

 彼女が僕との結婚を真剣に考えてくれているという喜びは、〈親〉という得体の知れない障害物の出現による、言い様のない焦躁感に掻き消された。


「呼びたいの? 親を」

 腫れ物に触る心持ちで訊いてみた。


「わからない……。結婚式に両親が出席するのは、今でもなんだかちょっと、違うような気がしてる。正直、呼びたくないって気持ちもある。でも……、結婚式が最後のチャンスのような気がするの。これを逃がしたら……」


 どうやら彼女の方も、平静を装っているらしい。概ね静かな語り口ではあるけれど、時折力んで悲壮感を滲ませることがあった。そしてすぐ自重するように努めて声のトーンを落とした。


「この機会を逃したら、もう、この先、きっかけがないんじゃないかって……」


 彼女がゆっくりと顔を上げ、久しぶりに目が合った。


「私たち、お互いの親の話なんてしたことなかったでしょ」


 僕たちはお互いの親について何ひとつ知らない。


「別に避けてた訳じゃなくて、頭になかったもの、親のことなんて。だけど私、なんとなくわかる。ハルくんとこの親子関係。ハルくんひょっとして、もう十年以上、ご両親に会ってないんじゃない?」


 十四年以上会っていない。


「ハルくん、お父さんとお母さんの顔、思い出せる?」


 親の顔……


「私さっき、結婚式に両親を呼びたくないって言った。そういう気持ちもあるって。確かに呼びたいって言えば嘘になるけど、でも呼ばなきゃって思ってる。うん。呼ばなきゃいけないのよ」

 訴えかけるように数秒の間僕を見詰めたあと、さくらはまた沈み込むように俯いた。


 彼女に話を継ぐ気配がないのを見て取り、僕は「ちょっと、トイレ」と言って中座した。

 居た堪れなかった。



 トイレには誰もいなかった。二つある個室の奥の方に入り、扉を閉める。そして用を足すでもなく、しばらくの間、ただじっと佇んた。


 僕の中ではまだ〈結婚〉の話に〈親〉がうまく馴染まない。

 それどころか〈親〉は、圧倒的な異物感でもって、僕を嫌悪させる。

 

 今まで〈親〉に嫌悪感を抱いたことなんてなかった。邪魔だとか、疎ましいとか、そんなふうに感じたこともない。僕は〈親〉に対して、どのような感情も持ってはいなかった。

 おそらく親の方も、僕に対してなんの感情も持っていないはずだ。十四年間離れて暮らし、一切関わり合うことなく過ごしてきたのだから。

 今さら結婚式に出席してくれなんて、言えるわけがない。むこうだって出る気なんかないだろうし、そんな招待を受けても迷惑するに決まっている。


 呼びたくないけど、呼ばなきゃいけない──さくらはそう言った。

 ひょっとすると、彼女は映画やドラマにある様な、親密な親子関係に憧れているのだろうか。確かに世の中には、虚構を地でいく親子もいることと思う。様々な親子のかたちがあるのは知っている。マザコンやファザコンと呼ばれる人たちがいることも、子供を愛玩動物のように可愛がりながら育てる親がいることも。

 でもそんなのは普通じゃない。八木沢さんの結婚式がどれだけ感動的だったか知らないけれど、それは八木沢さん親子が元々特別な関係にあったからであって、僕とさくらが両親を呼んで同じ様になるとは思えない。

 僕は普通の人間だし、彼女もそうだ。ドラマのような親子の馴れ合いを演じるなんてことは、僕たちには無理だ。素でそんなこと、できっこない。そんなことができるのは、普通でない(それを理想的と呼ぶ人がいるかもしれないけれど)、ごく限られた特殊な親子だけだ。


 五分ほどで個室を出た。しかし、まださくらと向き合う準備ができていない。洗面台の前で、またしばらく佇む。

 僕は彼女にどうにか反論しようとしている。結婚式に〈親〉を呼ぼうという提案に。

 ところが、なぜ反対なのかが自分でもよくわからない。なぜ嫌なのかが説明できない。だから理論武装のしようがない。いま戻ったところで論陣を張れるとは思えない。


「デンちゃん。結婚式には、両親を呼ぶべきなのかな」


「PON! 結婚式に両親を呼ぶ人、22・4%。片親だけを呼ぶ人、6・6%。両家の両親がそろう割合、17・3%」


「ふうん。けっこう多いな」


「結婚するの? おめでとう!」


「いや、まだそんな……」


 扉が開いて、学生風の男が上機嫌に口笛を吹きながら入ってきた。入れ違いで、僕はトイレをあとにする。

 細い通路からホールに出ると、さくらがこちらへ歩いてくる姿が目に入った。すぐに目が合い、僕は気まずさを感じる。彼女は少し目を伏せただけで、表情も歩く速度も変わらない。

 すれ違う時に何か一声かけるべきだろうと頭をフル回転させるものの、何も言葉が浮かばない。そして、そのまま僕たちは、他人のようにすれ違った。


 席に戻ると、窓の外を眺めながら、憂鬱な気分でさくらを待った。遮音ガラスの向こう側を、音もなく車が行き交う。夕日の残光が消え入り、街灯の明かりが存在感を増していく。窓ガラスにぼんやり映っていた店内が、くっきりとした像を結ぶ。


 僕はガラス越しに、通路を挟んだ隣の家族連れに焦点を合わせた。

 中学生と思しきお姉ちゃんは、ソファに浅く腰掛け、携帯端末のプロジェクタから浮かび上がる画面を見ながら、右手親指をこね繰りまわしている。左手にフォークを握り立てているけれど、先端には何も刺さっていない。

 その横では小学生の弟が、リンボーダンスさながらの体勢でソファに沈み込み、携帯ゲーム機から飛び出した小さなホログラムの男たちを闘わせている。目の前のハンバーグから立ちのぼる湯気が薄らいでいくのに気を留める様子もなく。

 その向かいでは父親が、憮然とした顔で黙々と食べ物を口に運び、咀嚼にいそしんでいる。

 母親は、子供たちに何か言おうとしたものの、結局は何も言わず、疲れた表情で自分の食事に戻った。

 陰気な家族だった。


 さくらが席に戻っても会話はなかった。傍から見れば、さぞかし陰気なカップルだろうと思った。


「ハルくんのおじいちゃんとおばあちゃんて、元気なの?」


 しばらくしてさくらが口を開いた。さっきの話の続きでなくてほっとした。


「四人とももういない。最後の一人が死んだのが、六年生の時。あとの三人については顔も名前も知らない。たぶん、僕が生まれたときにはもういなかったんじゃないかな」


「最後の一人って、おじいちゃん? おばあちゃん?」


「おばあちゃん」


「何か思い出とかある?」


「電車で三十分くらいの所に住んでて、盆と正月以外にも、ちょくちょく遊びに行ってた」


「何しゃべったか憶えてる?」


「う~ん……、ずーっとDSやってたからなあ……。くれたんだよ、おばあちゃんが。小学校の入学祝いに。う~ん……、DSやってた記憶しかないなあ」


「私も持ってた、DS。二画面のやつでしょ?」


「そうそう、ペン使って、絵とか文字とか書くやつ」


「私、実家の引き出しにまだあったよ」


「いまでも使えた?」


「さあ、やってないからわかんない。ねぇ、知ってる? ポケモンて、私たちが生まれる前からあるんだよ」


「そんなこといったら、マリオなんて、ずーっと、ずうーっと前だよ」


「えっ、マリオってポケモンより古いの? ふ~ん……」


 白々しい会話はここでぷつりと途切れた。お互い空元気なのが辛いほどわかって、これ以上はとても続けられなかった。


 隣の家族連れが席を立ち、のろのろと引き上げて行く。男の子だけはしばらく残って、さっきと同じリンボーダンスの体勢でゲームを続けていたけれど、やがて気だるそうに立ち上がると、レジの方へふらふら歩いて行った。あとには食品サンプルのようなハンバーグが残されていた。


 さくらは、テーブルの上でかるく握った両こぶしを、見るともなしに見続けている。

 僕はグラスを手にとって、一口分の量しかないワインを半分残して飲んだ。デキャンタに移してからちょうど一時間経つけれど、一口めの方が遥かに美味しかった。


 ふと気付くと、さくらが僕の顔をぼんやり眺めている。


「会ってきなよ」


 おそらく親に会ってこいという意味なのだろう。それが催促なのか助言なのか分からず、どう答えたものかと思案しながら、食べる心算のなかったピクルスをひと欠片抓まんで口に入れた。


「がんばれ」


「はは、がんばることか? 親に会うのって」


 さあ帰りましょ、と合図するようにさくらがワインを呷るのを見て、僕もグラスに手を掛け、半口分のワインをさっと口に流し入れた。飲み込む刹那、モンタルチーノを飲むことはもうないだろう、と誓うように思った。

 テーブルにそっとグラスを置いたとき、さくらの口から微かに溜息が漏れるのを聴いた。彼女はショルダーバッグを肩に掛けながら立ち上がると、僕の方を見ずに呟いた。


「私はがんばったわよ」


     第二章 完

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