第2話 歴代の勇者がどうしょうもない


石積みの壁に穴を開けたので、その弾みで上に積まれていた壁まで連載的に壊れて大騒ぎになっていたが知らん。

お前達が悪いんだぞ。


何故だろうか、勇者は良くて何故聖剣の守り人はダメなのだろうか?



初代勇者とは、よく話したものだ。


初代以外の勇者とも話したことがあるから勇者についてはかなり知っている。

そこから、人間世界の一般常識みたいなものも聞いていたから完璧だったはずなのだが。


それこそ、毎度毎度、聖剣を取りに来た時も話したし、魔王を倒して聖剣を返しに来た時も彼の武勇伝を聞いたものだ。



そこで初代勇者は、王様から100zの軍資金をもらいひのきの棒なる装備片手に戦って来たらしい。


ひのきの棒というのは俗に言う角材だ。

何故か壊れないらしいが、聖剣を手にする前までは、そのちょっといい匂いのする木で出来た角材で敵を撲殺してきたらしい。


その癖が抜けなくて聖剣でも刃ではなく平らな方で魔王を撲殺したとか、なんとか。


まあ、それはどうだっていいんだ。


『自分が勇者で魔王討伐のために王様から派遣された』というだけで100%割引きになったらしい。

……それ、タダじゃん。


俺も『聖剣の守り人だぞ』と言ったのに、奴ら馬鹿なのか、まるで"始めて聞いた"と言わんばかりに頭を傾げ、しまいには『はぁ、それは、凄いですね』と心にも無い言い方をしやがった!


くそッたれ!舐めてんのか!!


ああッ!忘れてた!

そういえば4代目の勇者がこんなこと言ってたな。


『金が足りなくなったらどうすればいいかって?』

『そんなの簡単だよ』

『家の中に入って箪笥を漁ったり、壺を割ってヘソクリを徴収するのさ』

『え?いや、拒否させないよ?そういう時こそ、勇者の力を見せて屈服させりゃあいいのさ』

『凡人どもは、強大な力を持つものには

責任が伴うとか言ってるが、まあ機会はねえと思うがアンタも気をつけろよ』

『そういうことをほざいて奴ら口八丁に庇護を得ようとしてくる』

『本当は違う。力を持つものに責任は無い。力を持つものには、その力をふるい他者を従えるという自由があるのさ……』



あー、さっきのぼったくりパン屋で机とか床を破壊して力を見せつければタダでもらえたのか?

やっちまった。


次の街へ行けばいいだろう。

地図がなくとも道という、草の生えてない場所を進んでいけばいいらしいからな。


そういえば、都市によっては入場に金がかかるところがあるらしい。



流石に毎回、壁を壊すと体が粉塵で埃っぽくなりそうだから、ジャンプして飛びこえよう。



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