第2話 私はキャッチコピー

 私はキャッチコピー。君はキャッチコピーって知ってる?ひとの注意を引く宣伝文句のこと。煽り文句とか。文句って苦情とか怒られる言い訳の方じゃなくてね。


 私は仲間うちでもあんまりお客様を呼び止められる方じゃない。中には声や曲とテレビに出てる子もいるしね、あとは色やデザインがすごい可愛くて面白い子がいっぱいいる。でもここにいる限りはお客様をキャッチしなくちゃね。


 私たちは商品や、注目してほしいものがあってこそ存在する。だからその商品をすぐ欲しいひとがターゲット。

 具体的に数字で呼び込む、どうですか?安いですよ、安すぎませんよ?みんな見てますよ、あなただけじゃないんです、ほかのひともみんな気になってます。

 そして使いやすいし使いごたえがある、もし何かあっても安心ですよ。

 一般や世間の目線から、またはその逆説を使う。かきたいのにかけない、眠たいのに眠れないそこのあなた。こんなに高いのに多くの人が買う理由、とかね。いろんなうたい文句で誘う。もちろん歌を歌うわけじゃないけど。

 私が生まれてくるときは大変だったとよく聞かされていたから、私は頑張る。


 そうして私は商品の前で立ったり座ったりしながら、ここにいる。いつか新しい子と変わるかもしれない。この商品自体なくなっちゃうかもしれない。でもだからこそ今がある。


 ねぇ君、こっち見たでしょ。ちょっと気になってるんじゃないかな?もうちょっと近くで見てみない?これを求めてるってことは君も悩んでるんじゃないかなあ。


 君のことも教えてよ?

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