36歳処女の無双会社員はいきなり魔王城に行く事になる

リディアさんのいきなりの魔王に会ってくれないか?という誘いに私は目が点になって驚く。ちょっ!?待って!?いきなり話が急展開すぎない!?ただでさえ、まだ異世界転移してから国王様達から話を色々聞いたばかりの時に、いきなり魔王幹部が攻めてきた事だって急展開だと思ってるのに……この上ラスボスに会えって……


「まぁ、勇者様も突然の事で驚いているかもしれませんけど、話は単純で勇者様に魔王ちゃんの話を聞いてもらいたいのよ」


話を聞く?それだけ?一体どういう事なんだろう?私のそんな考えを察したのか、リディアさんは微笑を浮かべ


「そうねぇ〜……魔族には魔族の事情があってね。まぁ、その話については直接魔王ちゃんの口から聞いた方がいいと思うの。だから、勇者様。魔王ちゃんに会ってもらえるかしら?」


う〜ん……いきなり魔王に会えなんてどうかとは思うんだけど、正直話を聞くだけなら私でも出来そうよね。それに、リディアさんが嘘をついてるようには見えないし……


「そんなの信用出来ませんわ!いきなり勇者様を魔王に会わせるだなんて!」


「そうだ!それにお前は魔王幹部だろう!どうせその話も勇者様を殺す為の罠に違いない!」


だけど、セリーナ様やカトレアさんはリディアさんの言う事を信用出来ないみたいである。まぁ、何度も戦争してきた相手を信じるのは難しいよね……


「そうね……いくつかあなた達の勘違いを解かなきゃいけないみたいだけど……私別に魔王幹部じゃないわよ?」


「はぁ!?何を言ってるんですか!?」


「現にお前は魔王の右腕と言われているだろう!」


「元々私って旅しながら、好みの男がいたら誘惑して捨てるなんて生活をしていたんだけど、ある日、魔族領に行ったら偶然現魔王ちゃんに出会ってね。その時、魔王ちゃんの話を聞いて色々手助けすしたくなったから手助けしてるだけ。で、魔王ちゃんの部下の中で私が1番強かったもんだから、自然と幹部だの右腕だの呼ばれるようになったのよねぇ〜」


リディアさんは困ったわ〜と言わんばかりのポーズをして、溜息をついてそう言った。なんだろ色々凄い話過ぎるんだけど……


「それと……何度も言ってるけど今は勇者様の性奴隷になりたくて仕方ないの♡だから、もう勇者様を殺すようなマネをしたりは絶対しないわ♡」


「ですが!貴方は現に勇者様を……!」


「強烈な召喚魔法の気配を感じたもの。一応魔王ちゃんに協力している身としては、魔族を全て滅ぼしかねない存在を放っておけないでしょ。まぁ、勇者様のあの一撃を受けて、勇者様の人となりが十分に分かったし……それに、この勇者様なら本当に魔族全滅させられるだけの力を持ってるから、戦うより話し合った方がいいでしょ」


なんだか私が凄く化け物みたいな扱いをされてるけど……まぁ、いいか……話し合いで済みそうならそれに越したことないし……ただ……


「行って話し合うだけなら歓迎だけど、本当に襲いかかってきたりしない?」


「大丈夫よ♡勇者様は私を倒して急激にレベルアップして、更にあり得ない数値になってるから♡ぶっちゃけ魔王ちゃんなんてワンパンよ♡」


いや……流石にラスボスをワンパンは無理だと思うんだけど……まぁ、いいか……とりあえず行くだけ行ってみよう……


「分かったよ……行くよ。魔王様に会いに」


「お待ちください。勇者様。私も一緒に行きますわ」


そう言って挙手して発言したのはセリーナ様だった。


「えっ!?いや……でも……流石にセリーナ様を連れて行くのは……」


「これでも勇者様を召喚した程の魔力はあります。処女を失った為これ以上の成長はありませんが、それでも自分の身は自分で守れます。それに、魔王と話すというなら、王族である私が代表して行くべきだと思うんです」


確かに……セリーナ様の言葉は最もなんだけど……すると、今度はカトレアさんが挙手をして


「勇者様!私も同行させてください!元より勇者様の剣や盾になると申しました身です!それに、一応元セリーナ様の護衛騎士でもありますし!」


いや、一応とか元じゃなくて今でもセリーナ様の護衛騎士だと思うんだけど……まぁ、カトレアさんがついて来てくれるなら多少は安心かな?現状倒されてる姿しか見てないけど……


「まぁ、いいでしょう。王女様がいるなら話も進めやすいでしょうし。それじゃあ、勇者様にその他2人も私の所に集まってもらえる?」


リディアさんに言われた通り、私達はリディアさんの周りに集まると、私達の足元に魔方陣が浮かび上がり、それがまばゆい光を放ち、私は思わず目を閉じた。






そして、私がゆっくり目を開けると……そこは先程と同じ西洋風の城ではあったが、どこか薄暗い冷たい雰囲気のするいかにも魔王が住む城という感じだった。

ふと、周りを見回すと、玉座に短めの黒髪をしたイケメンの青年が座っていた。もしかして、彼が魔王様だろうか?その魔王様はリディアさんを認識すると口を開いた。


「戻ったか。リディア。それでどうだったんだ?」


「はぁ〜い♡魔王ちゃん♡その事でお話があるの」


リディアさんが魔王と呼んだので、この青年が魔王様に間違いないっぽいんだけど……リディアさん魔王に気さくすぎない!?まぁ、魔王様もそんな気にしてる様子はなさそうだけど……


「目的の勇者様をここに連れて来ちゃった♡」


「はぁ!?なんだと!!?」


魔王様が椅子から立ち上がって目を見開いて驚いていた。

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