第8話 遠く離れて消えた背中

 川の浅瀬で君は尻餅をついて泣いている。


 僕の手足を拘束するものはなく自由で、そこには僕と君しかいなかった。


 でも――



「ごめんね、ハク」


 君に背を向け歩く。

 泣き声がより大きくなっても、振り返らずにただ前を見つめる。

 


「これでいいんだ」


 自分に言い聞かせるように呟き、君を置いてただ一人歩き続ける。

 



 ――この夢を見ることは、もうないだろう。





 

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吸血鬼のごはん ももも @momom-

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