第9話 大蔵の浮気現場を押さえる

恋子は秀一に身を任せながら・・

《 どうするべきか? 》と考えていた。



秀一の執拗で、時々意識が遠退きながらも、

『 やはり、お灸を据えてやるべきだわ! 』

という結論を導きだしていた。



秀一は恋子の高まりが 一山越えたのを確認すると、

満足そうにクールダウンに入り、

その後タバコに火を着けた。



恋子「ねえ、秀一さん・・」


秀一「うん? 」



恋子「うちの旦那に少しお灸を据えてやりたいの・・」


秀一はタバコの煙に少し噎せてしまった。



秀一「いつもの恋ちゃん らしく無いねえ・・ 」


恋子は秀一の胸に甘えながら・・

「だって・・悔しいじゃない☆ 」


秀一は自分に甘える恋子を『可愛い』と感じながらも、女の『怖さ』にも気がいった。



秀一「どうして やりたいのさ? 」


恋子「ん~☆ 手荒な事は考えてないんだけど・・ 」


秀一は恋子の次の言葉を待った。



恋子「二度と私の行動に口出しできないように・・・

私の前に膝間付かせて・・・

土下座してもらおうかな~☆」



秀一は『やはり・・女は怖い!』と思わされた。


恋子「秀一さん、手を貸してくれる?・・ 」



秀一は、恋子の計画がたとえどんなに残忍なものであっても、

『ノー』とは言えない自分である事を知っていた。



秀一「モチロン。それで どんな計画なのさ? 」


恋子「うん。計画っていうほどじゃないけど、浮気の現場を押さえれば良いだけだから・・・

言い訳出来ないようにしてね……。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~



夜になると恋子と秀一は、計画を実行するべく、昼間に恋子の旦那を目撃した旅館に潜入。


馴染みというのもあり、女将と女中を買収。



盗撮用カメラを設置させた。


カメラは恋子の旦那『大蔵』の情事の全てを記録・・・



そのカメラで彼らの宿帳を撮影する事も忘れなかった。


探偵に依頼しても、ここまではやってくれないだろう。



そして、一通り情事が終わった頃を見計らって、現場を押さえる・・・



①秀一は探偵を名乗る。

②恋子も同行する。

③恋子が泣き崩れる。

④カメラの映像を流す。

⑤大蔵に問い詰める。

⑥大蔵の謝罪を求める。


計画通りに全ていった・・・



現場を後にする車の中で

秀一「恋ちゃん、辛かったな・・」


恋子「そう見える?・・・ 」



薄笑いをする恋子に気がつくと、

秀一は《やっぱり女は怖いな!》

と思わされた。



恋子「恋子は・・悲劇のヒロインとして

円満な離婚を迎える事も出来るけど・・

どうしようかなあ?・・・ 」


秀一は、少し心が踊った。

「恋ちゃん、それって・・・行く行くは

俺と結婚してくれるとかかな?」



恋子「う~ん、まだ秀一さんから

プロポーズされて無いしなあ・・・ 」


秀一は、ちょっとネクタイを締め直すポーズをした。



恋子「秀一さん・・・

どうするかは、もう少し考えさせて・・・

こればっかりは…簡単な問題じゃないからね。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~



恋子が採った行動は、取り合えずの別居である。



恋子は青少年健全育成協議会の全国会議の役員活動に専念する・・・という名目で東京に部屋を借りた。


秀一の自宅から僅か5分という立地だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る