第9話 最終話

私は体を勢いにあずけながら、階段を降りていく。

体が少し浮いたのがわかった。

二人の前にすっと姿を現すと、二人が顔をあげた。

私の姿を見つけると、ミヨちゃんは笑顔で手を振った。

すばやく

「トモ、OKやよ。」

という。

ー OKってー! ー

私の胸は高鳴る。

天にも昇る気分だ。

「トモ、こっちおいで…。」

ミヨちゃんの言葉にドキッとする。

私はなべくんの前に立った。

「トモ、付き合ってもいいって…。交換日記からはじめましょうだって…。」

私は顔を上げて、彼の顔をチラッと見ると、下を向いた。

「本当に…!」

心臓の音が彼に伝わらないか心配だ。

3人の沈黙の中、時間が過ぎていく。

止まることのない時が刻む数秒間…。

今、この瞬間から私となべくんは、彼氏と彼女になるんだ。

「今日からよろしくね。」

なべくんの声がかすかに聞こえた。

彼は振り返って私を見つめる。

私はうなずいた。

彼は照れくさそうにした。

「じゃあ、又、明日…。」

と立ち去っていく彼。

彼の後ろ姿が眩しかった。

ミヨちゃんは私の手を握った。

片方の手でわたしの頭を撫でた。

「良かったね。実はなっちゃんところも上手く行きそうなんよ。」

「えっ、そうなん、良かった。」

私は今年で13歳だ。

自分の足でしっかりと歩きだしてる。

もっと自由に飛べるかもしれない。

「本当に良かった。ミヨちゃん凄いね。ミヨちゃんがいなければ、今日という日はなかったわ。」

「私のおかげかな〜。」

「ありがとうね。」

彼女は目を細めてにっこりとした。

時の流れがゆっくりと感じる。

「さぁ、私達も帰ろうか…。なっちゃんも校門の所で待ってることだし…。」

2人でB棟の校舎を足早に出ていく。

日は傾き、夕日のオレンジ色の光が目に飛び込んできた。

でっかい太陽が見えた。

何か壮大な自然の姿があった。

手で少し遮りながら、2人は、夕日を見る。

心地良い風が頬を撫でる。

私は思わず校庭を振り返る。

グランド内では、野球部員たちが列をなしてラインに沿って走っている。

かけ声をかけながら走っている。

それを見ながら、彼の立ち去る姿を思い出す。

少し無邪気だった彼。

私はなべくんが好きだ。

私はこの瞬間を忘れないだろう。

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交換日記 恋下うらら @koimo

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