霧崎奈波の不定期ラジオ

霧崎奈波の不定期ラジオ ～じこはおこるさ！ だってクリスマスだもの！ 後編～

……すんませんね、話が脱線しちゃって。

いや、元はと言えばお前が約束破ったからだろうが。

そういうところだぞ、マジで。

ほら、霧崎君マジサイテーってさ。ホントだよなー。

付き合わされる俺の身にもなってほしいもんだ。

けど、付き合ってはくれるのな？

まあ、乱入しちゃったからには参加しないといけないし。

今更引き下がれないしな。

ていうか、俺が余計なこと言い出さなきゃよかったわけでしてね。

すみませんね、ほんと。

次はないと思えよ、お前マジで。

分かりましたよ。

そういうわけなんで、こっから二人で放送しまーす。

よろしくお願いしまーす。

てか、シャンメリーって……子供かよ。

まあまあ、そう言わずに。

酔っ払いとか見たくないでしょ？

ほら、お仕事お疲れさまでした。

おう、お前もお疲れさんでした。

シャンメリー以外何も用意してないのかよ。

チキンもケーキもぜーんぶ俺のお昼ご飯ですよ。

ランチにしては豪華すぎじゃね？

いや、スタジオで食ってきた。

年末に動画上げるっていうんで、それの収録でね。

あ、楽しみにしててくださいねー。また変なことやると思うんで。

てか、例のアイツのファン辞めますって……俺のファンいたのかよ。

何気に人気みたいだぞ、よかったな。

何言ってんだ、お前が勝手に話したくせに。

どうせ、あることないこと話してたんだろ？

いや、あることしか話してない。

どうせなら、真実味のある嘘も話してほしかったかな！

真実味のある嘘ってなんだよ……。

お前が髪の毛ばっさり切ったら、野郎にナンパされたこととか？

それはただの真実だろうがよ、お前。

つっても高校の時の話だろ。

ああ、そんとき、繁華街で待ち合わせしてたんだ。

時間通りに来てみればさ、こいつが大学生くらいの男たちに囲まれてたんだ。

俺も最初は、やけにカジュアルな服装してる女子がナンパされてるなと思ったんだ。

なるほどな、どうりで声をかけられなかったわけだ。

そしたら、俺に手を振ってきたんだよ。

もしかして、助けを求めてんのかなって思ってさ。

正直、ちょっとだけドキッとした。

こっちは必死こいてお前のこと呼んでたってのにな……。

俺はあの時のときめきを返せと言いたい。

でさ、近づいてみたら、まさかのこいつだったわけですよ。

まあ、髪も今みたいにうねってなくて、ストレートだったからさ。

余計それっぽく見えたんだろうな。

で、大学生に「こいつ男ですよ」って言ったんだよ。

そしたら、大学生のほうがパニックになっちゃってさ。

「すんませんでしたー！」って、必死に謝られちゃって。

つられて俺も「ややこしくてすんません！」って謝っちゃった。

今思えば、すげえ光景だったよな。

俺を挟んでお互いに謝ってるんだもんなー。

あれでよく職質されなかったな。

他人事みたいに言ってんじゃねえよ。

逃げなかったお前もお前だろうが。

すまんね。

見知らぬ人たちに話しかけられたもんだったから、かなりビビってたんだ。

はい、みなさん。よーく見ておいてくださいね。

これが普段の霧崎君です。いわゆる、ビビり崎君です。

ビビリ崎ってなんだよ。

俺の亜種を作るな。

お前こそ普段の舞台度胸はどこいったんだよ。

しょうがないだろー。

あんときは完全にオフモードだったし。

オフモードでもシャキッとしとけよ。

おい、ストレートのときの写真見たいってよ。

ちょっと待ってろ、確かアルバムに保存しておいたはず……。

何で残ってんだよ、こえーよ。

お前の携帯こそ何なんだよ。

あ、あった。これだ。

ほい、これでどーですかね。

写真だと本人爆睡中ですけど。

えーっと、そうそう。

確か、修学旅行の時だったかな。

お前、覚えてる？　

ちょっと待て、何で人の寝顔撮ってんだよ。

てか、こんなのいつ撮った。俺は知らんぞ。

ああ、これ？

もう時効過ぎてると思うから言っておくけどさ。

お前の写真が欲しいって言ってくる女子が結構な人数いてな。

もちろん、最初は断ってたし、写真くらい自分で撮れって言ってたんだよ。

けど、俺はついに思いついたのだよ。

これに値段付けて売ったら、そこそこ儲かるんじゃねえ？って。

せんせー、マジもんのサイコパスがここにいるんですけどー！

俺以上にやべえのがここにいます！

で、1枚300円で売ったらそこそこ儲かった。

まあ、全部音ゲー代に消えたけど。

うっわ……怖すぎて笑えねえよ。

俺の知らないところで何してんのマジで。

ガチの闇商人じゃん。

まあ、俺も途中で飽きたからさ。

3か月くらいでやめたんだけど。

闇商人飽きるの早いな。

てか、辞めてよかったよホント。

それでも、写真を欲しがる人がいたからさ。

代わりに、いい感じに撮れる角度とか時間帯とか教えといた。

とんでもない情報流してんじゃねえ！

どうりで俺のほうに携帯向ける女子多いなって思ったよ！

アレ全部お前のせいだったのかよ！

自分の行動を振り返ってみることだな。

身から出た錆ってやつだ。

その錆でアンタは儲かったってか。

頼むから俺を売るな。いくら何でも安すぎるだろ。

けど、今みたいなイベント時期とかすごかったんだぞ。

誕生日にクリスマスにバレンタインデー……くそ、今でも腹が立つ。

こいつに直接渡さないで俺を通す女子のなんと多いことか！

俺はこいつのマネージャーか何かかよってさ。

いや、親衛隊でもボディーガードでもねえよ。

変なこと言ってんじゃねえ。

そういうことなんで、プレゼント類は事務所に送ってくださいね。

こいつの自宅に届きでもしたら、こっちから通報しちゃうんで。

特定されたら、お前を訴えるからな。

おお、くわばらくわばら。

じゃあ、そろそろいい時間帯だし、この辺でお開きにしますかね。

そっちは明日も仕事でしょ？

おう。俺みたいなすげえ奴がいるから世界が回るんだよ。

感謝しやがれってんだ。

感謝感激雨あられってね。

じゃ、今日のお相手は霧崎奈波と！

例のアイツでしたー。

それでは、ごきげんようー。

じゃあなー、いい夢見ろよー。