第35話 年末年始の慌ただしさと①

クリスマスが過ぎるとあっという間に年末だ。

美香との楽しいクリスマスの一夜を過ごした後、年末に向けて残った仕事も何とか片付け今年も無事に仕事納めを迎えることが出来た。

ということで今日は午前中で仕事も終わり、午後は事務所の掃除を行い今は食堂で納会に参加している。


「よぉ相原。今年もお疲れ!新しい契約も取れたし大活躍だったよな」

「先輩のフォローあっての契約ですよ。うちのグループだけじゃ結局処理しきれませんでしたからね」

「はは よくわかってるな。契約を取るのは会社的には確かに重要だけど取った後の運用やお客様のフォローも考えて動かないと後で痛い目を見るからな」

「ですよね本当耳が痛いですよ・・・今後は注意します」


夏に相原が大口の案件を受注してきたんだけど相原のグループ内のリソースで構築や運用が間に合わず、うちのグループで対応を一部巻き取ったんだよな。

相原にしてみればギリギリの要員で回すことを考えてたんだろうけど社員の残業ありきの提案は出来ないし、いい勉強になったんじゃないかな。

残業当たり前の時代は終わったんですよ・・・働き方改革ですよね。


「そういえば相原は年末実家に帰るのか?確か箱根だよな?」

「はい。年明けですが帰る予定です。年末は近所ですが美樹の実家に顔出すことになるかと。どちらの家も"孫の顔見せろ"ってうるさくて・・・」

「まぁ美樹さんのところは初孫だしな楽しみなんだろ」

「ですね。可愛がってくれるのは嬉しいことです。

 そういえば、相良さんって結婚式来月ですよね。準備大丈夫なんですか?」

「まぁ・・・何とかなるんじゃないかな・・・」

「先輩!現実逃避は駄目ですよ・・・奥さん任せじゃなくて先輩もちゃんとやらないと」

「・・・まぁ俺も美香も実家が家の近所だから年始の挨拶とかに行く手間は無いけど・・・それ以外は式の準備で休みは終わりそうだな」


って式までもう1か月無いんだよな。一応凛子から渡されたスケジュール通りには進んでると思うけど気持ち的には焦るよな・・・


一頻り仲の良い社員と話しをして楽しく飲んで、気が付くと納会も終わりの時間。仕事に戻る残念な奴らもいたが、大多数は2次会ということで新橋の街に繰り出していった。


「みんな元気だねぇ~ 俺は先に帰らせて頂きますよ」


例年なら二次会参加は当たり前なところだけど"準備大丈夫ですか"とか言われちゃうとやっぱり気にはなるよな・・・


「相原それに及川、そして"及川の奥様" 俺は先に帰るからな良い年を!」

「あ、先輩お疲れ様です。式の準備頑張ってくださいね良い年を!」

「って相良さん!その奥様って呼び方は結構恥ずかしいからやめてください!

 って豊さんも笑わない!!」

「あ、先輩良い年を!」

「おぅ及川も新婚なんだから奥様を大切にな」

「はい!」

「だ~か~ら~奥様はやめてって相良さん!!」


西村ちゃんが本気でブチ切れそうだったので俺は荷物を持って早々に食堂を後にした。

でも照れながらもちょっとだけ嬉しそうだったよな。西村ちゃんは結構ツンデレだから。


そんなことを思いながら俺は家で待つ美香のためにと駅前のケーキ屋でお土産にシュークリームを購入し家路についた。


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「おかえりなさ~い」

「あぁただいま」


学校が冬休みに入り、美香にもまとまった時間が出来たということで、昨日美香は俺のマンションに引っ越してきた。

まだまだ段ボールが山積みの状態だけど式の準備と合わせて少しずつ片付けを行っている感じだ。

それにしても俺自身1人暮らしが長かったせいかもしれないけど、家に帰ると美香が居るという生活は何だか楽しくもあり恥ずかしくもある。何だか不思議な感じがするよな。

それに・・・お土産買って帰るなんて習慣もなかったもんな。


「これお土産のシュークリームな。美香好きだったろ」

「わぁありがとうございます。でも・・・太っちゃうのが心配だぁ~」

「大丈夫だよ。シュークリーム1個食べたくらいじゃ太らないよ」

「うぅでも・・・昨日もケーキ買ってきてくれたじゃないですかぁ。ウエディングドレスを綺麗に着るためにも式までにもう少しダイエットしないと!」

「まぁあんまり無理するなよ。無理なダイエットして体壊したら元も子もないからな」


そんなに太ってる様には見えないけどやっぱり女性は気にするもんなのかねぇ

俺の方こそ下っ腹が気になるんだけど・・・そっかダイエットするなら今度ジムに一緒に行くのもいいかもしれないな。


「あ、そういえば招待状の発送頼んでおきましたよ」

「ありがとうな。悪いな何だか色々任せちゃってるみたいで」

「気にしないで下さいよ。洋さんも仕事されてるんですし。それに文面とデザインを選んで凛子さんにお願いしただけですから」

「それでもだよ。本当助かったありがとな。そうだ何か俺に出来ることはあるか?今更だけど手伝うぞ」


少しくらいは俺も準備手伝わないと流石に任せっきりはまずいよな。

それに俺だって結婚式は初なんだ。やっぱり2人で作り上げたいしな。


「じゃ じゃあ明日から洋さんお休みですよね。一緒に式の小道具や年末の食材の買い出しとか行きませんか?

 最近洋さん忙しかったから一緒に出掛けたいなぁなんて・・・駄目ですか?」


やっば・・・俺の嫁さん凄く可愛い!

疲れ気味で正直明日は寝て過ごしたいけど、この誘いを断れる程に俺のメンタルは強くないぞ。


「も もちろん!買い物位幾らでも付き合うよ。荷物が多くなりそうなら車出してショッピングモールに行くんでも良いよな」

「はい。そうしてもらえると助かります! ふふ買い物デートですね♪」


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