第14話 泊ってきませんか?

何とか立ち直った美香を連れてレストランを出た後、俺達は遊園地に向かった。

ここの遊園地は夜間営業ありで、夜はライトアップもされムーディーな雰囲気でデートには最適!・・・とホームページに書いてあった。

俺もね。若い子が喜びそうなデートスポットとか調べたんだよ一応。

俺としては、少し大人にイルミネーション見ながら園内を散歩して、最後はホテルでディナーとか考えてたりはしてたんだけど、どうなんだろ美香って何気に体育会系らしいし、そういうのよりジェットコースターとか絶叫系アトラクション乗ったりする方が好きだったりするんだろうか?

俺ジェットコースター乗ったのは学生の頃だから20年近く前だけど最新のって結構ハードなんだよな?乗るって言われたら・・・大丈夫か俺?


などと、脳内シミュレーションをしつつ、ゆっくり歩いて遊園地エリアに着いた頃には日も暮れてイルミネーションの光が園内を彩り幻想的な空間を作り始めていた。


「わぁ綺麗ですね」


入り口を入ると前面に広がる花壇に青と白のLEDによるイルミネーションが海の様に広がっていた。そしてメインストリートの並木には電球色のLEDが光の葉っぱの様に色づいていた。


「ここのイルミネーションの数は関東でも上位に入る量らしいよ」

「素敵~」


うん。ここに連れてきたのは正解だったみたいだな。

イルミネーションを見ながら、少し歩いていると近くをジェットコースターが通過していった。高速で光の列車が走っているみたいだ。


「わぁジェットコースターも電飾で光ってますよ」

「そそうだな・・・ ジェットコースター・・美香ってジェットコースターとかって好きなのか?乗るなら一緒に乗るよ?」

「え?あぁ 私絶叫系とか苦手で。。乗るなら観覧車とかの方がいいです」

「そうなんだ。じゃぁ後で観覧車乗ろうか。多分夜景がきれいに見えるぞ」

「はい」


絶叫系苦手なのか・・・ちょっとホッとした。


その後、園内のイルミネーションやライトアップされたアトラクションを見ながら散策し、ランドマークにもなっている観覧車に乗った。


「あ、横浜や川野辺の方まで見えますね」

「おっ本当だ。海沿いで遮蔽物が無いからよく見えるんだな」

「・・・何となく夜の観覧車。それも二人きりって緊張しますね」

「そうだな。俺もこんなシチュエーションは初めてだよ」

「・・・・・」


何となく沈黙しちゃうなこの雰囲気。


「今日は、楽しんでもらえたかな?

 俺もこういうところ初めてで勝手がわからなくて」

「凄く楽しかったです。リードしてくれてありがとうございました」

「楽しんでくれたみたいで良かったよ。

 今日はこの後、ホテルのディナー予約してあるからちょっと贅沢しようか」

「はい! あ、そろそろ一番上ですね。

俺の方に顔を向けた美香。俺は抱き寄せてそっとキスをした。

「あ、んっ 洋さん・・・」

「美香・・・好きだよ」

「私もです」

俺達は昇降口に着くまで、抱き合いながらゆっくりした時間を過ごした。


そして、隣のエリアにあるホテル。

その最上階にあるレストランに向かった。


「あ、あの・・・このホテルもレストランも凄く高そうだし高級店みたいなんですけど私みたいなのが来て大丈夫なんでしょうか・・・」

「大丈夫だよ。一応ドレスコードもクリアはしてるし、ちゃんと予約もしてあるからね」

「そうなんですか。そ そのこういうところ初めてで・・・何か緊張します」

「大丈夫だよ。ここは高級店だけど、それ程格式張ってはいない店だから」

「洋さんはこのお店来たことあるんですか?」

「あぁ銀座店だけど行ったことあるよ」

「やっぱり都会のビジネスマンは違いますね。私なんて最近、出かけても隣町のショッピングモールくらいですから」

「はは、そんなに毎日いいもの食べてるわけじゃないよ。

 高級なお店は接待とかで行く位かな。同僚との飲みは新橋の立ち飲み屋や安い居酒屋が多いし

 会社の歓送迎会や忘年会も普通の居酒屋だよ」

そうですよ。うちら中小のサラリーマンはそこまで贅沢は出来ないのですよ。


「そうなんですか。でも接待とかはやっぱりあるんですね」

「まぁたまにだけどね。取引先との打ち合わせを夕飯時にセッティングして食事しながらとかね。

 先月もあったけど、その時は西村さんも同席したよ」

「え~梨花ちゃんもですか!羨ましいなぁ」

あぁ・・・・あの時は結構無茶な相談されて西村ちゃんも困ってたなぁ確か。


「接待って言っても仕事だし、色々大変なんだぞ」

「わかってますけど、洋さんと一緒が羨ましいなと・・・」

もしかして西村ちゃんに妬いてるのか!!なんて可愛い!


「ま まぁ仕事だからね西村さんは。

 美香の気になる店とかあれば今度連れてってあげるよ」

「ありがとうございます。

 あ、でも高級店じゃなくて普通の居酒屋で大丈夫ですよ」

それ凄く助かります。


「ところで、明日も時間ってとれるかな?」

「え?はい。特に用事とかないですが・・・何かあるんですか?」

「ここのホテル予約してある」

「ええ!!も もしかして今日お泊りですか?」

「美香の都合がつくならと思うけどどうかな?」

「は はい。私は大丈夫です」

よ よかった。。。。駄目ならキャンセルだったからな。


「じゃぁ一緒にお酒も飲めるね」

「はい。あっでも飲み過ぎないようにはしますね」

「今日は俺と一緒なんだし大丈夫だよ」

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