第11話 信長の末裔

「それは…… 可能性のひとつに過ぎない」

 山村は不敵に笑みを浮かべた。


「え……」

「良いか。侵入したゲソコン馬場カレのモノと一致したんだ」


「え、それは事前にヤツらが靴を盗んで」

「そうだよ……」馬場も頷いた。


「とにかく任意なら馬場ジョーカーを保釈してくれ。俺が保証人になる」

 山村に頼んだ。


「フン…… それは出来ないな……

 証拠を隠滅する可能性がある」

「な、証拠ッて、俺は無実だ❗❗

 金も盗んでないし、誰も殺してなンかいない」


「さ、茶番はここまでだ。ビジュアル系だか何か知らないが、とっとと取調室ここから出て行って貰おうか」

 山村はアゴで命じた。


「ぬゥ……、解ったよ」

「え、シンゴ君、まさか、このまま帰っちゃうのォ~」

 

「フフ…、安心しろ❗ すぐに釈放してやるよ…… ちょっと待って下さい」

 俺はスマホで、ある所へ電話をした。


「あ、お久しぶりです❗ 織田シンゴです。

 ハイ……、お祖母様は元気です。

 実は、折り入ってお願いが有りまして」


「ン……」憮然とした顔で山村は待っていた。


山村ヤマケンさん。代わってくれと……」

 スマホを彼の前に差し出した。


「え、俺に……」嫌々、スマホを手に取った。

「ハイ……、代わりました。山村ですが」

 初めは、ワケも解らず電話に出たが、急に態度が変わった。


「え、ま、まさか警視総監……❓❓

 ハイ、何ですって…… ハイ……

 このシンゴッてヤツが……

 の、織田信長の末裔……❓」

 驚きの余り、山村は目を白黒させていた。


「ハ、ハイ…… わ、解りました……」

 仕舞いにはペコペコして通話を切った。

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