第7話 山村健太

山村ヤマ健太ケンさん。本当に彼、弁護士なんですよ!」

 またクリスが間に入って口添えをしてくれた。

 彼女がいなければ、さらに厄介な事になっただろう。


「な、マジかよ……」

 山村健太はオレを一瞥いちべつし、思わず顔を歪めた。


「シンゴ君❗ 助けてくれよォ~❗❗

 俺は、ラブリなんてデリ彼女カノ知らないッて言ってンのに……❗ この刑事さんたち、信じてくれないンだ……❗❗」

 馬場は泣きながらわめきたてた。


「ンゥ…、彼は調ですよねェ。

 どう言う経緯けいいなのか、弁護士ボクにも説明して貰えますか」


「チッ……」山村警部は舌打ちをした。


山村ヤマケンさん、私からも頼みますよ❗❗」

 クリスも詳しい事情を聴きたいようだ。


「フン…… ま、良いだろう…… まず今、世間を騒がせている『一億円オジさん』の事件ヤマは知ってるな❓❓」


「ええ、その被害者オジさんがラブリってデリ彼女カノ頻繁ひんぱんに指名していたのは了解わかりました。

 けど、それがどうして馬場ジョーカーと関わって来るのでしょうか」


「フゥ~ン」

 山村は、ふて腐れたようにそっぽを向いた。

 

「俺は何度も、そんなラブリなんて知らないッて、言ってンのにィ……」

 馬場は情けない顔で助けを求めた。


山村ヤマケンさん❗❗」

 クリスも説明を続けて欲しいみたいだ。


「ああ、解ったよ。フン、指紋が出たンだ」

「え、指紋が…… どこからです」

「ジェラルミン ケースだ❗❗」


「え、ジェラルミンッて……

 一億円が入っていたと言うヤツですか」

 どうも雲行きが怪しくなってきた。



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