第6話 ビジュアル系弁護士シンゴ

 警察署前は、マスコミや野次馬で騒然としていた。


 美人巨乳刑事 クリスの後を着いて行くが当然のように警察官に制止とめられた。


「ちょっと、君❗ 何ですか❗❓

 関係者以外は入らないで❗❗」


「俺は任意で取り調べを受けてる容疑者モノの担当弁護士ですよ❗」

 弁護士の証しである胸のヒマワリのバッチを親指で差した。


「な、弁護士……❓❓❓」

 バッチを見せたにも関わらず警察官は、とても信じられないといった顔つきだ。


「マジよ! 彼はビジュアル系弁護士なの」

 刑事のクリスの口添えで助かった。


「え、ビジュアル系弁護士ですか……」

 茫然と警察官はオレたちを見送った。


 クリスが一緒にいたので、とどこおりなく警察署内へ入った。


 署内でも度々、不審者扱いされ、ようやく取り調べ室へ着いた。


「ここよ……」

 クリスがチラッと俺の方を見た。


「ああ……」

 俺はキョロキョロしていた。

 警察署の中など刑事ドラマの『相棒』でしか見た事がなかった。


 ドアを開けると、取り調べを受けていた馬場ジョーカーが、待ってましたとばかり声を張り上げた。


「わァ~ー😆🎶✨ シンゴ君❗❗❗」

 相変わらずニヤけた顔つきだ。


「ン……」

 三十歳代のこわての刑事がこちらを振り返った。

 少しだけ俳優の桐💟健太に似ていた。

「何だァ~ー❓ お前は❗」

 明らかに威嚇するような眼差しだ。


「フフ、彼に依頼された弁護士ですよ」


「な、な、何ィ~、弁護士……❓ 

 ウソをつけェ… ここは、ライブハウスの楽屋じゃねぇ~ンだよ……」

 桐💟健太似の刑事は手で、『シッシッ』と追い払う振りをした。


 だが、俺も『ハイ そうですか』と引き下がるワケにも行かない。


「フフ、楽屋にしちゃァ~、殺風景過ぎるだろう」


「はァ~、何ィ~」

「俺は、世界でただひとりの【ビジュアル系弁護士】シンゴだ❗」


「な、何だとォ ビジュアル系弁護士だァ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る