ノイロー・ゼエト・ソラン・ジュ・テーム

脳幹 まこと

ノイロー・ゼエト・ソラン・ジュ・テーム

司会「さて、今回もやって参りました、ノイローゼ干支そらんじて。全国から厳選されました、精神的に追い詰められた人が語るエキセントリックな干支詠唱が好評を得ておりますこの企画。今回はどのような干支が飛び出すのか。さあ、開幕です!!」

挑戦者「

司会「おお、最初は順調な滑り出しです」

挑戦者「

司会「おおっと、ネズミを二匹追加しました。今回の詠唱者はどうやら少し慎重な性格のようです」

挑戦者「うし

司会「はい」

挑戦者「丑丑丑うしうしうし

司会「間髪入れず三点バースト。慎重ですねえ」

挑戦者「とら。………………」

司会「おや、止まってしまいました。まだまだ序盤です、どうなることやら」

挑戦者「…………

司会「ああーーーーっとおう!!? ここに来て、まさかのネズミぃ!! 最初からです!! 慎重なんてモノじゃない!!」

挑戦者「子子子ねえねえねえ

司会「なぜ少し語尾を伸ばすのか。これにより、あたかも子供が親に「ねえねえねえ」とせがむ感じが出てしまった。子供が好きそうなネズミといえば……あれか、あれなのか!?」

挑戦者「丑寅子うしとらね丑寅子子うしとらねえねえ丑寅子うしとらね丑寅子うしとらね丑寅子子うしとらねえねえ丑寅子うしとらね丑寅子うしとらね丑寅子子うしとらねえねえ――」

司会「なんだこのループはあ!? ウシから起動してネズミで締めるこのループはなんなんだあ!?」

(三十分後)

挑戦者「丑寅子うしとらね丑寅子子うしとらねえねえ丑寅子うしとらね丑寅子うしとらね丑寅子子うしとらねえねえ丑寅子うしとらね――」

司会「慎重どころの騒ぎではありませんね。このループはいつまで続くのでしょうか。観客席も少ししらけている様子です」

挑戦者「丑寅子うしとらね丑寅子うしとらねえねえうしとら…………」

司会「おや?」

挑戦者「

司会「産まれたああああああ!!!! 四匹目の獣が産まれたあああああ!!!! 観客席もこの突然のフィーバーにどよめきを隠せませんっ!!」

挑戦者「うっ卯卯ううっ卯卯卯ううう……」

司会「待て、様子が、様子おかしいぞ!!」

挑戦者「子子子子子子子子ねねねねねねねね

司会「わああああああああああ!!!! 反動かあああ!!! ま、まさかあああ!!!」

挑戦者「うしとら……」

司会「頼む、次はだと言ってくれェーーーーー!!!」

挑戦者「

司会「ファーーーーーーッk」

挑戦者「丑寅子うしとらね丑寅子子うしとらねえねえ丑寅子うしとらね丑寅子うしとらね丑寅子子うしとらねえねえ丑寅子うしとらね丑寅うしとら――」

司会「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああ

男A「倒れた!! 司会が泡吹いて倒れたァーーー!! 司会の方がノイローゼになったようです!! 私ですか!? 私はディレクターですッ!!!」

男B「この番組はもうおしまいのようだな」

ディレクター「あ、あなたはスポンサー代表の子丑寅卯辰巳ねうしとらうたつみ 午未申酉戌亥うまひつじさるとりいぬい様!!!」

子丑寅卯辰巳 午未申酉戌亥「十二支を用いたわしのステルスマーケティング戦略も、ここに終わったわけだ……」

子丑寅卯辰巳ねうしとらうたつみ、スタジオの爆破スイッチを押す)

ディレクター「わああああああ!! 崩れる、崩れるぞおおおお!!」

司会「ううっ……私としたことが失神していたのか……」

ディレクター「司会いいいいい!!!」

司会「ディレクター!? 一体、何が……!?」

ディレクター「あんたがへまを扱いたせいで番組はもう終わりだ。子丑寅卯辰巳ねうしとらうたつみ様がスイッチを押した。もう、五分も経たずにスタジオは崩壊する!!!」

司会「そ、そんな……」

挑戦者「卯卯卯うっうっうっ子子子ねえねえねえ♪」

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