第39話
私にとって秋穂は同士であり恋人であった深い関係の人物だったが、桃香からすれば赤の他人。そこをまだ子供だからと、慮ることなく生活していたことは紛れもない私の失態であった。失態を失態であると薄々気付きながらも別れることができなかった弱い自分・・・。
同棲相手を失った後は悲しみや淋しさよりも自責や後悔の念に憑かれることのほうが多かった。
そして変わったことといえばもう一つ。公園にいつもいる女児のことである。秋穂がいなくなったと同時にあの子の姿もぱたりと見なくなってしまったのだ。
私はあの子が嫌いだった。何度も公園で遭遇しているにも関わらず、まるで初めて会ったかのようにいつも私と桃香に名前を聞いてくる頭の悪さや清潔感のなさ。目が合うと付きまとってくる鬱陶しさや、大人としてそれを無下にしてはいけないという義務感に苛まれることが殊更苦痛だった。
あの子が公園から消えてくれて正直助かったと思っている。彼女を心配する気持ちがないわけではないが、気後れせず桃香お気に入りの公園に通える喜びと義務感から解放されて清々したという感情のほうが圧倒的に強かった。
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