第24話

 信じられないが、世の中にはいろいろな家庭があるということはわかっている。


 昭和の頃の日本なら、親が働いている間に子供が外で一人で遊んでいるなんていうことは日常茶飯事であった。令和になっても昭和と同じ考え方で、親が近くにいなくても外で子供が自由に遊びまわることを許している親がいるのかもしれない。


 私があれこれ考えたところで、所詮この子はよその家の子だ。我が子である桃香が私の手元から離れなければそれでいい。『よそはよそ、うちはうち』だ。どうにもできない面倒な思考をストップさせるには便利な言葉だった。


 「じゃあそろそろお家に帰ろっか」


 家から持ってきた桃香の遊び道具が揃っていることを確認して話しかける。桃香ははーいという気のない返事を返してきた。まだここで遊びたいのかもしれない。できるなら夕方まで存分に遊ばせてやりたいが、私は夕方から仕事に行かなければならなかった。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る